【岡崎】 ~ レトロな商業ビルや町屋をアート空間に
岡崎は往年の商業ビルや江戸時代の商家など、歴史ある建造物を展示会場として活かしています。駅ビルの岡ビル百貨店は無料で鑑賞可能。その他の会場へは徒歩10~15分ほどかかるので、トリエンナーレ専用レンタサイクルを利用するのがおすすめです(東岡崎駅ビルインフォメーションにて。無料)。岡崎のメイン会場というべきがデパートのシビコ。6階フロアを丸ごと使って大がかりなインスタレーションが展開されます。また、江戸時代の商家・石原邸でも陶芸や絵画、コンセプチュアルアートなど多彩なジャンルの作品が、歴史ある空間を活かして展示されます。
花火の町・岡崎の地域性を意識した野村在の作品。6枚のパネルは線香花火の着火から炎が消えるまでを長時間露光したもの。一見難解そうだが、作品の意図が分かると偶然性の美しさが強く印象に残る (康生地区 岡崎シビコ6階)
【豊橋】 ~ 充実した古ビルのインスタレーション群
豊橋でも古い商業ビルを展示スペースにしたインスタレーションの数々を観られます。昭和30年代に農業用水にふたをする格好で建てられた水上ビルも会場のひとつ。水路に沿ってビルがなだらかにカーブしながら、約800mにわたって連なる建築構造そのものがユニークです。ここでひときわ人気を集めそうなのがブラジルのラウラ・リマの展示。ビル内の一角の1~4階までに約100羽の小鳥を放ち、鑑賞者は鳥の家にお邪魔するような形で入っていきます。
豊橋のメインとなるのが開発ビル。10階建てビルのおよそ半分のフロアが展示スペースとなり、1~2名の作家で1フロアを使い、大胆に作品世界を作り出しています。
公式ガイドブックを参考に町歩きやグルメも楽しみたい
ガイド・大竹のレクチャープログラムも
このように魅力的な作品目白押しで、駆け足でアートを観て回るだけでも大忙しのあいちトリエンナーレ。しかし、せっかく旅がテーマなのですから、街で過ごす時間も楽しみたいもの。書店や各会場で販売している公式ガイドブックでは、作家や作品の紹介の他、各地域の展示作品以外の見どころやグルメも紹介。ちなみに私・大竹も「アート目線でゆる散歩」という企画を担当し、3都市の楽しみ方を紹介しています。おいしいものを食べ、1泊でも2泊でも滞在してゆとりを持って巡ることをおすすめします。
最後にひとつ、手前味噌ですが私、大竹が参加するプログラムもご紹介します。トリエンナーレでは約30本の「レクチャープログラム」が組まれ、全プログラム無料・事前申し込み不要(フィールドワーク除く)で行われます。シンポジウム、アーティストトーク、レクチャー、フィールドワークの4カテゴリーがあり、私は「浅野祥雲~B級と文化・美術のはざまで」と題したレクチャーを行います。私のライフワークの取材・研究テーマ、コンクリート仏師・浅野祥雲を通して、B級とは?アートとは?を考える催しです。9月10日(土)14時~16時、愛知芸術文化センターにて。皆さまふるってご参加ください。
□あいちトリエンナーレ
・開催期間:2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)
・主な会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋・岡崎・豊橋のまちなか
・料金:普通チケット/一般1800円、大学生1300円、高校生700円 フリーパス/一般3600円、大学生2500円、高校生1200円 岡崎地区、豊橋地区のみのチケット/高校生以上300円 ※パフォーミングアーツなど別料金のプログラムあり
・問い合わせ:あいちトリエンナーレ実行委員会事務局 Tel052・971・6111