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東北を代表する夏祭り「青森ねぶた祭り」完全ガイド

日本を代表する夏祭りといえば、青森でおこなわれるねぶた祭りです。夜空に浮かびあがる大迫力の大型灯籠、乱舞するハネト、歓喜に酔いしれる観衆、響き渡る囃子の音。ねぶた祭りは、情熱と感動の“日本の火祭り”です。一度体感してみてはいかがですか。

執筆者:井藤 雪香

一度は見たいお祭りが、青森にあります

ねぶた祭り

大迫力の大型灯籠に鳴り響く囃子、情熱的なハネト。これぞ“祭”(写真提供:(公社)青森観光コンベンション協会)

夜空に浮かびあがる大迫力の大型灯籠、乱舞するハネト、歓喜に酔いしれる観衆、響き渡る囃子の音。ねぶた祭りは、情熱と感動の“日本の火祭り”です。ぜひ見にきて、体感してみてください。

知っておきたいねぶた祭りの基礎知識

ねぶた祭りとは、そもそもどのようなお祭りなのでしょうか。まずは、ねぶた祭りの概要と地域による違いについてご説明します。

■ねぶた祭りとは
東日本各地でおこなわれ、とりわけ青森県で盛んな夏祭り。なかでも有名な「青森ねぶた」と「弘前ねぷた」は、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。

ねぶた祭りの起源には諸説ありますが、七夕様の灯籠流しの変形であるといわれているようです。「七夕祭」の性質を基調に、古来から青森にある習俗や精霊送り、虫送り等の影響を受けながら独自の形に作り出されたものが、現在のねぶた祭りです。

■地域による祭りの違い
「ねぶた」と「ねぷた」、どちらも聞いたことはありませんか?これは、地域による呼び名の違いです。青森市や津軽東部と下北が「ねぶた」なのに対し、弘前市を中心とした津軽西部地方では「ねぷた」とされています。

地域ごとの違いは呼び名だけではありません。「青森ねぶた」と「弘前ねぷた」を例に比較してみると、青森が人形ねぶたで弘前は扇ねぷた。掛け声は、青森が「ラッセラー、ラッセラー」で弘前が「ヤーヤドー」。囃子のリズムやハネトの様も異なります。


青森県内ねぶた観光ガイド

ここでは、青森県内各地でおこなわれるねぶた祭りをご紹介します。前述のとおり地域による違いがありますので、いくつかまわって、その違いを楽しむのもいいかもしれません。

青森ねぶた祭り

青森ねぶた祭

平成24年度ねぶた大賞・優秀制作者賞(写真提供:(公社)青森観光コンベンション協会)

歌舞伎や武者を題材に作られた山車灯籠「ねぶた」が20数台、市内中心部に6日間出陣。青森の夏を彩ります。各ねぶたには囃子方、ハネトが続きます。ハネトは1台につき2000人にのぼることも。鳴り響く太鼓、笛、鉦の音に合わせて、「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに乱舞する様は圧巻です。

また、観光客でも参加できるのがねぶた祭の魅力のひとつ。体力に自信があったら、参加してみてはいかがでしょうか。下記の「観光のポイント」も参考にしてみてください。

・日程
8月2日・3日…子供ねぶた・大型ねぶた合同運行
8月4日~6日…大型ねぶた連合運行
8月7日…(昼)大型ねぶた連合運行、(夜)ねぶた海上運行・青森花火大会

・観光のポイント
1.沿道は観覧客で混雑します。ゆったり観覧したい場合は、事前に観覧席を購入しておくとよいでしょう。

2.ハネトは自由参加。衣装に身を包んで、祭りを体感してみてください。衣装はデパートなどで販売しているほか、レンタルと着付けをしてくれるところもあります。

3.最も盛り上がるのは4日~6日の大型ねぶた連合運行です。6日には、受賞ねぶたが賞の名を記した額を掲げます。団体賞最高位は「ねぶた大賞」です。

・問い合わせ先
公式ホームページ

017-723-7211(青森観光コンベンション協会)


 

弘前ねぷたまつり

弘前ねぷた

弘前ねぷたは扇型。青森ねぶたとはまた違った趣です(写真提供:弘前観光コンベンション協会)

弘前ねぷたの特徴は扇ねぷたであるということ。扇の表面である「鏡絵」には、メインとなる勇壮な武者絵が描かれます。一方、裏面の「見送り絵」には妖艶な美女が描かれ、鏡絵の「動」に対して「静」を表現しています。このコントラストが弘前ねぷたの魅力。ねぷたの後には、太鼓、笛、鉦の囃子方が続きます。曳き手は囃子のリズムに合わせて「ヤーヤドー」と声を掛け、祭りを盛り上げます。

・日程
8月1日~4日…夜間運行(土手町コース) 19:00~
8月5日・6日…夜間運行(駅前コース) 19:00~
8月7日…昼間運行(土手町なぬか日コース) 10:00~

・観光のポイント
1.「土手町コース」は有料の桜大通り観覧席がおすすめです。

2.「駅前コース」は、ヒロロ弘前店前でおこなわれるパフォーマンスが見どころです。

・問い合わせ先
公式ホームページ

0172-37-5501(弘前市立観光館)


 

黒石ねぷた祭り

黒石ねぷた

ねぷたが集合場所で一同に集う姿は壮観(写真提供:黒石青年会議所)

人形ねぷたと扇ねぷたの両方を楽しめるのが黒石ねぷたの特徴です。黒石市内や近隣町村から集まるねぷたは70台余りで、これは県内最大。町内の運行がほとんどで、囃子も曳き手も子供中心。囃子は「進め」「止まれ」「戻り」の3種類あります。ねぷたが連なるのは、200年以上前の古い民家が建ち並ぶこみせ通りなどの狭い路地。情緒ある市民のお祭りです。

・日程
7月30日…夜間審査合同運行
7月31日、8月1日、3日、4日…各町内自由運行
8月2日…夜間表彰合同運行
8月5日…昼間自由運行

・観光のポイント
こみせ通りが見やすいポイントです。

・問い合わせ先
公式ホームページ

0172-52-3369(黒石青年会議所)

五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぶた)

立佞武多

高さ約23m、重さ19トンもの巨大ねぷたに圧倒されます(写真提供:五所川原市観光協会)

立佞武多の魅力はなんといってもその大きさ。巨大ねぷたは、昔はほかの地区でも運行されていましたが、どれも電線の普及により小型化せざるを得なくなりました。もちろん五所川原も同じでしたが、平成8年に地元の有志により巨大ねぷたが復元され「立佞武多」と命名されると、平成10年には市が支援することを決定。電線等を埋設する整備をおこない、街を練り歩くことに成功、新たな祭りとして一躍有名になったのです。平成11年から毎年一台新作が登場する現在のスタイルになりました。

迫力あるあすなろ太鼓が先頭を練り歩き、囃子方、踊り手、ハネト、化人の後ろにねぷたが続きます。掛け声は「ヤッテマレ」。やっつけてしまえの意味で、「けんかねぷた」の名残です。

・日程
8月4日~8日…夜間立佞武多・ねぷた合同運行

・観光のポイント
市役所前が見やすいポイントです。

・問い合わせ先
公式ホームページ

0173-38-1515(五所川原市観光協会)

大湊ネブタ祭

大湊ネブタ

大湊ネブタは人形型。地域の町内会や職場が出来映えを競います(写真提供:むつ市)

下北各地でもねぶたが盛んにおこなわれています。なかでも最も大きく、120年以上も続く伝統のお祭りが「大湊ネブタ」です。
先立ち、流し踊りにねぶた、囃子方という順に並んで運行します。囃子は独特のリズムとメロディを奏で、囃子に合わせての流し踊りで町中が熱気に包まれます。

・期間
8月最初の木・金・・・各町内会による町内運行
8月最初の金・・・むつ市花火大会へのネブタの参加(一部の町内会のみの参加となります)
8月最初の土・日・・・合同運行(18:00頃~21:30頃)

・観光のポイント
1.JR大湊線大湊駅前で見るのがおすすめです。

2.ネブタ最終日の夕方には、むつ運動公園において、ネブタの審査発表や参加団体ネブタの展示・輪踊りがおこなわれます。

・問い合わせ先
0175-22-1111(むつ市商工観光課)

浅虫温泉ねぶた祭り

観光客も地元民も、参加型で一緒に楽しめる浅虫ねぶた祭り

観光客も地元民も、参加型で一緒に楽しめる浅虫ねぶた祭り(写真提供:青森観光コンベンション協会浅虫支部)

「ねぶた」発祥の地ともいわれている浅虫温泉で、7月15日、16日の2日間と8月14日に繰り広げられるお祭りです。出陣するのは町内会や小学校のねぶた4台。温泉街というロケーションで、アットホームな雰囲気を楽しめます。飛び入り参加は大歓迎。宿泊客にハネト衣装の貸し出しをしている旅館もあります。

・期間
2017年7月15日~16日、8月14日

・観光のポイント
観光客参加型が好評。宿泊して、宿にねぶた衣装を予約してください。(レンタル衣装がある宿は、下記問い合わせ先へ確認してください)

・問い合わせ先
017-752-3250(浅虫温泉観光協会)

 

 

もっとねぶたを楽しむ!ねぶた関連観光スポット

ねぶた祭りは青森の伝統的な文化。これから紹介するスポットは、ねぶたを文化として体感できるメニューや展示が盛りだくさんです。
また、通年オープンしている施設ではいつでもねぶたを体感することができるので、ねぶた期間外に青森を訪れる際でも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

■ねぶたラッセランド(青森市)
ラッセランド

ねぶた小屋が並ぶ「ラッセランド」。祭り期間中は観光客でにぎわいます(写真提供:青森観光コンベンション協会)


青森ベイエリアのシンボル「アスパム」裏手の青い海公園内に、期間限定で出現するねぶた制作場所「ラッセランド」。ねぶた観光の際には外せないスポットです。その年に出陣する制作途中のねぶたや、祭り期間中は出陣前のねぶた見ることができます。7月1日~8月6日は無料のねぶたガイド案内があり、ねぶたの歴史や制作工程などの説明を受けることができます。また、ねぶた祭前夜の8月1日には、この場所で「ねぶた祭前夜祭」がおこなわれます。

住所:青森市安方2-1(青森県観光物産館アスパム側)
営業時間:7月1日~8月6日/10:00~16:00
TEL:017-723-7211(青森観光コンベンション協会)
アクセス:JR青森駅より徒歩約7分
休館日:なし
入館料:なし

 

■ねぶたの里(青森市)
※「ねぶたの里」は2013年1月に閉園しました。
ねぶたの里

本番さながらの迫力が魅力のねぶた体験ショー(写真提供:ねぶたの里)


青森郊外の自然のなかにある、青森ねぶた祭の体験施設。ねぶた運行体験ショーをはじめ、大太鼓叩きお囃子体験、ねぶた制作紙はり体験、金魚ねぶた色付け体験など、ねぶたにまつわるさまざまな体験を季節問わず楽しむことができます。

住所:青森市横内八重菊1
TEL:017-738-1230
アクセス:JR青森駅より車で約30分
営業時間:<通常期>4月21日~11月30日/9:00~17:30、<早春・冬期>4月1日~4月20日・1月15日~2月末日/10:00~16:00
休館日:12月1日~1月14日、3月1日~3月31日
入館料:4月~11月/一般560円、12月~3月/一般420円

 

青森市文化観光交流施設ねぶたの家 ワ・ラッセ (青森市)
ワ・ラッセ

ベイエリアの景観を印象づける外観も特徴的です(写真提供:ワ・ラッセ)


この施設のメインは1Fの「ねぶたホール」です。祭り本番に出陣した5台の大型ねぶたのほか、中型ねぶたやねぶたのパーツなどが展示・紹介されています。また、2階の「ねぶたミュージアム」では、青森市民が守り育んできたねぶた祭の歴史を人々や街の姿を通して紹介。ねぶた祭りの世界にどっぷりと浸れます。ほかにも豊富な体験メニューや青森・ねぶた関連グッズを扱うショップなど、見どころ満載の施設です。

住所:青森市安方1丁目1-1
TEL:017-752-1311
アクセス:JR青森駅より徒歩1分
営業時間:5月~8月/9:00~19:00、9月~4月/9:00~18:00(ショップ、食事処は別)
休館日:2017年8月9日~10日(展示ねぶた総入れ替えのため)、12月31日、1月1日
入館料:一般600円

 

津軽藩ねぷた村(弘前市)
「津軽藩ねぷた村」。

弘前をはじめ、津軽の文化観光拠点である「津軽藩ねぷた村」


高さ約10mの大型扇ねぷたが常設展示されているほか、お囃子の実演や各種体験コーナーがあります。体験コーナーの種類はお囃子、金魚ねぷたの絵付けなどねぷたにまつわるもののほかにも、津軽塗(箸研ぎ)、あけびづる細工、津軽こぎん刺し、津軽天然愛染めなどの民芸製作、津軽弁講座、津軽三味線と豊富。ねぷたのジャンルを超えて、津軽の文化を存分に体感することができます。

住所:弘前市亀甲町61
TEL:0172-39-1511
アクセス:JR弘前駅より車で約10分(弘前公園中央高校口より徒歩2分)
営業時間:9:00~17:00(12月~3月は一部の実演は16:00で終了)
休館日:12月31日
入館料:一般550円(ショッピングエリアはなし)

 

津軽伝承工芸館(黒石市)
津軽伝承工芸館

「日本の道100選」にも選ばれた黒石こみせを再現した施設です(写真提供:津軽伝承工芸館)


7つの工房があり、職人による津軽の伝統工芸の技を間近で見ることができるスポット。展示資料室では黒石の伝統・文化や津軽の伝統工芸が映像等で紹介されています。エントランスホールでは黒石ねぷたの展示も。予約制の体験学習は、金魚ねぷたの絵付けをはじめ津軽塗制作、こけし絵付け、木工品制作など。弘前とはまた一味違う、黒石独特の津軽文化の趣を感じることができます。

住所:黒石市大字袋字富山65-1
TEL:0172-59-5300
アクセス:弘南鉄道黒石駅より車で約15分
営業時間:9:00~17:00
休館日:なし
入館料:なし

 

立佞武多の館(五所川原市)
立佞武多の館

展示室では巨大な立佞武多を間近で見ることができます(写真提供:立佞武多の館)


高さ23mの立佞武多が展示室にて常設展示されています。間近で見る大型立佞武多は迫力満点!
製作所では製作作業の見学のほか、本物の立佞武多の紙貼り、色付け体験ができます(無料、要問合せ)。さらに、体験工房での民芸体験は金魚ねぷたのほかに津軽凧もあります(有料)。立佞武多と津軽の文化にじっくりと触れることのできる施設です。

住所:五所川原市大町21-1
TEL:0173-38-3232
アクセス:JR五所川原駅より徒歩約5分
営業(入館)時間:4月~9月/9:00~19:00、10月~3月/9:00~17:00(臨時時間あり)
休館日:1月1日
入館料:展示室/一般600円、美術ギャラリー/一般300円(セット割あり)

 

竹浪比呂央ねぶた研究所

2010年1月にオープンした竹浪比呂央ねぶた研究所

竹浪比呂央ねぶた研究所(青森市)
ねぶた制作者を「ねぶた師」といいますが、その一人である竹浪比呂央(たけなみ ひろお)氏が立ち上げたねぶた小屋が「竹浪比呂央ねぶた研究所」です。自身や若手のねぶた師のための制作のアトリエであり、見学客にとっては、ねぶた師による制作を通年見学できる貴重なスポットとなっています。

竹浪比呂央ねぶた研究所

ねぶたは一つの創作作品。その創造の世界を知ることができます

研究所にスタッフがいたら、声をかけてみてください。随時見学させてもらえます。

その時々で見学できる作業内容は異なります。運がよければ、墨入れ前の真っ白なねぶたを見ることができるかも。貴重なこの姿を見るために、問い合わせてから訪れるファンもいるといいます。

年に4回、展覧会も開催されます。ねぶたをアートな作品として鑑賞したら、また違った楽しみ方ができそうです。

住所:青森市安方2丁目2-8
TEL:017-752-1616
アクセス:青森駅より徒歩約10分
見学時間:10:00~17:00
休館日:月曜
入館料:なし

 


※最新情報について変更となっている可能性があります。予めご了承下さいませ。
※各祭りやスポットの詳細は公式ホームページ等でご確認下さい。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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