「優しい時」にすがらない
逆にDV被害者がよく口にするのが「普段はやさしいんです」「感情がおさまると、普通なんです。」ということば。どんなDV夫でも24時間怒り続けている人はいません。暴力に耐えかねて相手が去ってしまいそうになると、自分のやさしさや弱さを見せて同情を引き、逃げられるのを防ごうとしたりします。DV被害者のほうはときどき見える“やさしさ”に、「ああ、やっぱりこの人はいい人なんだ」とすがってしまいがちですが、暴力の事実を冷静に把握し、見せかけのやさしさに騙されないようにしましょう。
自分が悪いと思いこんでいませんか?
さらに、DV被害者を取り巻く呪縛には自己否定感があります。暴力と合わせ、「お前が悪いからお仕置きをするんだ」「お前のせいで怒りたくもないのにイライラしてしまう」など、パートナーから否定的な言葉をかけられ続けているうちに、だんだん「私が悪いからあの人に暴力をふるわせてしまうのだ」といった、誤った自己否定感や罪悪感が生まれてしまいます。これが、被害者を苦しめる大きな足かせになります。まずは「自分は悪くない」ということをしっかり認識し、呪縛を解くことが大事です。
「自分が治してあげる」と思わず、まずは周囲に相談しましょう
腕の骨が折れたとき、医者に行かず、家庭だけで治そうとしますか? 「胃がんです」と言われた時、専門家のアドバイスをきかず、薬も飲まずに治そうとしますか? 病気やけがの際は、医者の門をたたき、専門家の意見を聞き、アドバイスに従い手順を踏んで、投薬などの治療を行うとすると思います。DVも同じです。暴力をふるう方は一種の心の病にかかっているとしっかり認識しましょう。そして、それを「自分の力で治そう」などと思わないことです。まずは専門家に相談し、アドバイスを仰ぎましょう。
最近では各地に自治体にDVの相談窓口などもできています。ただし、DV被害者が自分で声を上げないい限り、密室の中の出来事は外からはうかがい知ることができず、援助の手がとどかないことがあります。しっかり自己肯定し、冷静に事実を見つめ、そして周囲に助けを求めることが大切です。
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