男性が被害者になる「逆DV」も多発

実は少なくない男性のDV被害者

実は少なくない男性のDV被害者

DV(ドメスティックバイオレンス)というと男性から女性へ、というのが真っ先に思い浮かびますが、実は「逆DV」とも呼ばれる、女性から男性へのDVも少なくありません。「男性として恥ずかしい」から誰にも相談できなかったり、また、思い切って相談に行った先の担当者から心ない言葉をかけられて、二重の苦しみを味わったり、「男は女性に手を上げるものではない」という道徳観から暴力を受けても無抵抗のままであったり……。

男性のDV被害は、ある意味女性以上に世の中に報道されにくく、また救いを求めての相談もしにくいものになっています。例えば、平成21年度に横浜市が行った「配偶者からの暴力に関する調査及び被害実態調査」によると、DVの被害経験は女性が43%に対し、男性は42%とほぼ同率。ところが、誰かに相談したのは女性が28%に対し男性は8%だったそうです。
 

女性から男性へのDVの特徴

女性から男性へのDVの中身については、「殴られた」「蹴られた」などの身体的なもののほか、「怒鳴る」「脅す」などの精神的なものも多く、「稼ぎが悪い」「もっと働け」など、収入に関することが暴力の原因として目立つのも特徴です。さらには「小遣いを渡さない」「外出制限」「食事を与えない」など、日常生活に関することでじわじわと痛めつける傾向があるのも、家事や家計を握っている女性ならではのDVと言えるかもしれません。また、うつ病など、夫が抵抗しにくいことに乗じての暴力もみられるそうです。

DVの原因としては複数の要因が考えられますが、ひとつは経済的な不満や不安があげられるでしょう。「金の切れ目が縁の切れ目」ではないですが、収入が不安定であったり、生活するのに十分な収入がないことへの不満が働き手である夫に向かっていることが考えられます。

また、最近、頻繁に報道される子どもへの虐待やネグレクトなどもそうですが、自分より弱いものを攻撃することで自分の地位を相対的に高めようとする心理もDVの要因の一つと考えられます。これは、両親に愛されたり信頼されたりという経験が少なく育ったために自己肯定感がもてず、自分に自信がないことの裏返しであったり、逆に過保護・過干渉に育ったことで自己愛が強い性格になってしまうことなど、女性側の生育環境にも原因がありそうです。さらに、昔と比べると夫婦平等の考え方が浸透し、夫や父が絶対的な権威を持つ家庭はごく少数派になっています。この点も、男性に対して暴力を振るうことへの抵抗感が薄れた原因と考えられます。

男性のDV被害を減らすには?

では、女性から男性へのDVをなくしていくにはどうしたらよいのか。まず一つは、「男性がDV被害者になることは特別な例ではない」ということを、このようなサイトで情報発信をしたり、マスメディアが報道することで、世間全体での認知を高めることが大事だと思います。被害者も「自分一人ではない」と思えば、周囲に相談をするなど、外に向けて動き出す勇気を持つことができます。男性であれ、女性であれ、暴力でパートナーを支配しようとすることが間違っているという認識を、世の中全体に高めることが大切です。

また、被害者の心理に配慮し、対面相談窓口だけではなく、匿名のままで相談しやすいメールや電話での窓口を増やすことも必要でしょう。さらに、DV加害者の女性に対しても、男性加害者の場合と同様、更生のためのサポートができる体制を整えていくことが検討課題といえるでしょう。

<参考>
「DV相談ナビ」がスタート!(政府広報オンライン)
配偶者からの暴力被害者支援情報(内閣府男女共同参画局)
 



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