1年も続く株安にうんざり?
2015年8月から1年あまり、株安が続いています。将来の生活設計のために、投資を始めてみたのに、損ばかりでうんざりしているなんて人はいませんか?株安で憂うつになっている人がいるとしたら、こんな考え方を身につけてはどうでしょう?株安に対する一つの解釈の仕方をお伝えします。こう考えると長期投資を続けることができます。
ただし、この記事は50歳未満の若い人に向けたものです。投資期間がたっぷりある人のための、株安に耐える解釈論です。年金生活が迫っていて、資産の目減りに青ざめている中高年の方には、いらだたしい話に聞こえるかもしれません。どうか、ご容赦ください。
株安が悪い!とは限らない
もし、あなたが10年や20年未来のために、投資をしているとしたら、今いいのは、株安か株高か?どちらだと思いますか?今、株安であるのは、10年後、20年後の未来から見たら、良いことなのでしょうか?悪いことなのでしょうか?「つみたて博士」と言われる星野泰平さんの「半値になっても儲かるつみたて投資」という本に、実に示唆に富むシミュレーションが載っています。毎月1万円のつみたて投資を10年間続けたときに、株価の推移によって、将来価値がどのように変化するという試算です。
下の図で、Aという株価推移とBという株価推移を表現しました。Aの場合は、最初に1万円で始まった株価が、7年目まで上がり続け(18,000円)、最後の3年で下がりました(15,000円)。Bの場合には、同じ1万円で始まったのですが、7年まで下げ続け(2,000円)、最後の3年で5,000円まで上がりました。
この二つの株価推移を見て、多くの人は、Aの方がお金は増えると思いがちです。Aという株(あるいは投資信託)は、Bよりも優秀で、良い成果を上げたと感じるでしょう。しかし、10年後のそれぞれの成績は、Aが125.6万円(+4.7%)、Bが139.2万円(+16.0%)という結果で、明らかにBの成績が勝っています。
半値になっても儲かるつみたて投資
ドルコスト平均法が生むマジック
このように、直感とは異なる結果が出るのは、ある仕組みのせいなのです。それは、安い時にたくさん買い、高い時には少ししか買わないという、定時定額購入ならではの自動調整機能です。これを、専門用語では「ドルコスト平均法」と呼びます。ドルコスト平均法で大事なことは、投資完了の直前に、株価がちょこっと上がってくれること。だから、途中で下がろうが、下がり続けようが、それは悪いことではない。安い分だけ、たくさんの数量(口数)を仕込むことができます。
一般的には、株価が高いことが良い、今の収益が大きいことが良いと捉えられていますが、本当はそうとも限らない。むしろ、大事なことは、株安が来ても、コツコツのつみたて投資を継続できることなのです。
考えずに自動的に続けることが成功の秘訣
機械的な定時定額購入であるから、このような意外なことが起こります。人間が余計な手を加えると、こうはなりません。例えば、安くなったら投資額を減らし、高くなったら投資額を増やしてというような「つみたて投資」をする人がいます。これは、ドルコスト平均法の原則から外れていますので、シミュレーションのような意外な好結果は生まれません。良かれと思って打った大作ですが、結果として、高いものをたくさん買い、安いものを少ししか買わないということになるので、かえってリターンを下げることとなります。人間が自分の能力で、相場に勝とうとすることをやめたとき、ドルコスト平均法のマジックは発生するのです。
もう一つ大事なことは、自分の信念
いかがでしょう?今の株安への不安がやわらぎ、未来の果実に対する期待がふくらんだでしょうか。株安にかかわらず、長期的な視点に立って、投資マインドを維持できるあなたなは、必ず豊かになる資格があります。株価の回復を祈るより、自分の心を強くすることが大切です。もし、株価が永遠に下がり続けたら、上記の解釈は成り立ちません。私は、超長期の株価推移の事実から、10年スパンで株価が上がり続けることを信じています。この株価右肩上がりの歴史を信じることができない人は、投資をしないに限ります。