サニタリー空間はうっかりミスのないように
浴室・洗面室・トイレなどのサニタリー空間は一般的に狭いところです。その中で立つ、かがむ、腰をかける、服を脱ぐ・着るなどのさまざまな動作をします。そのため、基本となる広さや寸法をおさえながらも安心・安全への配慮はかかせません。他のスペースと違い、狭い空間でのさまざまな動作に対して快適寸法が求められます。したがって、うっかりミスはとても使い勝手を悪くしてしまうのです。
基本となる広さと寸法をおさえる
まずは浴室・洗面室・トイレの広さや寸法の目安を確認しましょう。【浴室】
- 浴室のスペースは1.8m×1.8mまたは、1.8m×1.6mを目安に考える
- 浴槽縁の高さは40cm程度を目安に
- 出入口の幅は65~75cm
- 将来を考えバリアフリーの視点も考慮する
【洗面室】
- 2畳(1.8m×1.8m)を目安に
- 風呂上がりに使用したバスタオルをかけられるタオルバーを取り付ける壁があると便利
- 天井の高さは2.4m以下でも問題はない
- 使用する時間帯に2人いるならツインボウル(洗面ボウルが2つ並んでいるもの)にする
【トイレ】
- 幅1.0m×長さ1.5mの広さが目安
- 介護スペースを確保するのであれば、便器側方に50cm前後のスペースを確保する
- 介助を考えるのであれば、扉開口有効幅は80cm以上確保する
工夫やアイデアを考えてみる
次に、各スペースごとに心地よい空間をつくるための工夫やアイデアを考えてみましょう。【浴室】
浴室では窓や戸、出入り口といった開口部のデザインが天井高の感じ方を大きく左右します。浴室からの眺望を生かすなら開口部を大きく設けて景色を取り込むことです。しかし、都市部でそういったことが難しい場合、サイズの小さい開口部を欄間のように天井面に合わせて設けるとよいです。自然光が多少なりとも差し込み、換気窓としても機能します。
手が届く高さとして、窓の種類は内倒し窓、あるいは外倒し窓などを選択します。
【洗面室】
一般的に洗面カウンターの高さは80cmです。正面に三面鏡を兼ねた収納を設け、その上下に開口部を設けると収納力を保ちつつ明るさと換気を確保することが可能です。
収納上部の開口部は開閉が大変なので、FIX窓とする。下の開口部は引違い窓とする。
【トイレ】
トイレは換気を考慮すれば外壁面への配置が理想的です。しかし、間取りの関係で開口部が確保できない場所に配置することもあるでしょう。それでも換気対策はもちろん他の部屋と欄間で連続させるなど、少しでも明るさを確保することを心がけることです。
トイレは狭いので高さ方向のスペースを有効に使う。収納や手洗いカウンター、アクセサリーなどを飾りたい。
実例
■実例の設計:(株)佐川旭建築研究所