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ポケモンGOで任天堂はどこまで上がる?

ポケモンGOが大ヒットして、社会的なブームになりつつあります。この影響から任天堂や関連銘柄の株価は急騰しています。では、実際のところ、任天堂の業績にはどの程度のインパクトがあるのでしょうか? 

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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40億ドル規模のゲームに成長か?「ポケモンGO」

米国では大ヒットの「ポケモンGO」40億ドル規模のゲームに成長か?

米国では大ヒットの「ポケモンGO」40億ドル規模のゲームに成長か?

ニュースなどで報道されている通り米国にて7月7日にリリースされたスマートフォンアプリ「ポケモンGO」爆発的ヒットとなり、任天堂<7974>や関連企業の株価が急騰しています。米国におけるスマホゲームの一日当たりの利用者数は、米国スマホゲーム史上最大の2100万人を記録しました。リリースから3日でTwitterの一日利用者数を抜き去り、アップルストアの売上ランキングトップに浮上しています。

発生した売上額は、米国調査会社のレポートによると、配信4日間でおよそ1400万ドル。ちなみにこれは米国だけの売上で、その他、EU、そしてこれからリリースの日本での売上が加算されてくることになり、ある大手証券会社は年間40億ドル規模のゲームとなると予想しています。世界でヒットしたキャンディクラッシュのスマホピークユーザー数が2000万人(2013年)で、ポケモンGoはこれを4日で突破しているのですが、キャンディクラッシュやパズドラの売上規模が15億ドル~20億ドルということを考慮すると40億ドルは現実味があると思います。

開発は、世界初位置情報ゲームを産んだGoogle発ベンチャー

この「ポケモンGO」を開発したのは、2015年Googleから独立したゲームベンチャーのNiantic社です。Niantic社は、世界で初めて位置情報を活用したゲームという新ジャンルを生み出し、現実世界と仮想世界がリンクする「イングレス」を開発しました。「イングレス」はGoogleマップの位置情報を活用して現実世界の舞台で戦う陣取りゲーム。現在世界最大の位置ゲームです。

「ポケモンGO」は、このイングレスを進化させ、ポケモンの登場によりAR(Augmented Reality:拡張現実)の魅力を引き出したゲームです。位置情報を活用し、現実世界をゲームの舞台に、道端に現れたポケモンを捕まえる、地図上に表示される「ジム」と呼ばれるところでバトルをする、「ポケストップ」でアイテムを集める、卵をかえす、ポケモンと記念撮影する・・・ということができるゲームです。基本無料のアプリですが、ポケモンをおびき寄せるアイテムなどが課金され、売上となります。

イングレスの位置情報ゲームについてのノウハウに、ポケモンの知名度や世界観が融合したことで、ゲーマーをとりこにしているのでしょう。その証拠に、「イングレス」の売上がリリースから今までで総額110万ドルであることに対して、「ポケモンGO」の売上はリリース4日で1400万ドルを突破しています。

任天堂の利益寄与はどれくらいか?

「ポケモンGO」の開発・販売はNiantic社によるため、同社が直接このゲームから利益を得るわけではありません。Niantic社には、Google、任天堂、ポケモン社の3社で2000万ドルが投資されており、一定水準を達成した場合に1000万ドルの追加出資が行われます。ただ出資比率は非開示のため、どのくらいが任天堂の利益となるのかは、推測になります。7月27日(水)に決算発表があるのでその時に明らかにされると、株価を評価しやすくなると思います。

「ポケモンGO」の開発・販売はNiantic社によるため、同社が直接このゲームから利益を得るわけではありません。ゲームの売り上げのうち、アプリストアを運営するアップルないしグーグルの取分を除外したゲーム収入をNiantic社とポケモン社で分けることになると思います。ポケモン社は、任天堂の持分法適用会社(議決権比率:32%)であるため、ポケモン社が同タイトルから得る収益について、任天堂は持分法投資利益として計上することになります(任天堂にはさらにNiantic社の持分法投資利益も)。

アプリ内課金以外にも収益源

Niantic社は、アプリ課金以外にも収益源を確保しようとしています。これも俗にいう「ポケモノミクス」を生み出しているもの。ポケモンをゲットするには、外出しなければなりません。これまで外出せずに遊んでいたゲーマー達も家から出てくるようになります。それによって経済活動が促され、外食や交通が恩恵を受けるのではないかという経済の連鎖が期待されています。

ポケモンが出没するところには人がよく集まりますが、この原理が、飲食店などで活かされています。具体的には「ルアー」というアイテム購入すれば店の周辺のポケモン出現率が高くなり、客を引き付けるというわけです。「ルアー」は1時間で1ドルです。

また、「スポンサード・ロケーション」(スポンサー付き場所)を設定します。プレイ中に画面に表示される特定の場所をスポンサー企業に販売し、小売店や飲食店など実店舗の集客に役立てるというものです。スポンサーとなった場合受けられるメリットは明らかにされていませんが、スポンサーとなった企業の店舗などを「ポケストップ」や「ジム」に指定してもらえるということになると予想されています。

ポケモンGOの爆発的ヒットぶりを見ると、スポンサードロケーションを利用した集客を望む企業は多く出てくると思います。増えすぎると差別化できないので気を付けなければなりませんが、普通課金で稼ぐのも大変なのに人気タイトルを利用して、うまいことやるな、と思いました。日本ではマクドナルドとの提携が報道されています。

任天堂の収益に直接寄与するもの

対応玩具の「ポケモンGoPlus」の販売収益ですが、アプリ課金に比べると購入回数が1度で済むことや金額から考えると限定的になると思います。とはいえ、ポケモンにはポケモンパンを食べながら3DSでポケモンをする熱狂的なファンが世界中に存在し、ファンは買いに走ると思います。値段も35ドル程度で安いものです。仮に5000万個を販売できれば、卸価格50%、粗利率30%程度と仮定すると、200~300億円の粗利益寄与が期待できます。

「ポケモンGoPlus」は、リストバンド型やクリップ型でスマホと連携するデバイスです。近くにポケモンがいると振動・LEDが店頭して知らせたり、ポケモンをスマホよりも簡単に捕獲できるものです<ポケモンGoPlusの価格は34.99USドル、日本では3500円(税別)>。

タイミング難しいが、調整時には購入を検討も

以上、飽くまでも予想ですが、仮にアプリの月間収入が仮に40億ドル以上の規模に達した場合、2018年3月期の純利益は700~1000億円規模に到達する可能性もあると思います。仮に1000億円の場合、予想PERは33倍となります(株価27765円の場合)。

ちなみにポケモン以外にも、任天堂は「どうぶつの森」や「ファイアーエムブレム」のスマホ向けゲームのリリースを今秋予定しており、出遅れていたスマホゲームでの巻き返しが期待されるところです。また、2017年3月には新型ハード「NX」を発売予定です。NXの具体的な内容については「2016年に発表」とされ、詳細は分かりませんが、スマートフォンやタブレット端末と連動するゲームのプラットフォームといったところだと推測されます。これらは全て同社に直接利益寄与するため、それぞれがヒットすれば実際のところ業績へのインパクトが大きいと思います。

任天堂の株価は7月7日の米国でのポケモンGOリリースから2倍の水準となりましたが、新規投入案件の利益寄与を考慮すると、妙味はまだあると思います。以前のガンホーのように市場を代表する銘柄に育つ余地もあると思われることから、購入・売却タイミングの見極めは非常に難しいところですが、調整時には購入を検討しても良いと思います。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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