関東地方では水不足が懸念されている

日本各地で水害が起きる一方、首都圏では水不足(渇水)が深刻となっている。異常気象として片付けられがちだが、突き詰めればこうした事態のきっかけは人間自身が作ったものだ。過去の事例と対策について考えてみたい。

現在起きている水不足(渇水)の状態

いま首都圏で直面している水不足の問題だが国土交通省関東地方整備局によれば、18日現在での利根川上流ダム群の貯水率は合計で54%。平年の約6割しか量がない。しかも最大規模の矢木沢ダムはたった29%の貯水率という深刻な状態だ。

首都圏の水瓶の貯水率

首都圏の水瓶の貯水率


過去の水不足

日本では過去にも同じような問題が起きてきた。

首都圏では昭和39年の「東京オリンピック渇水が有名だが、この他にも何度も渇水が起きている。一例として53年福岡渇水(287日間)、56年那覇の渇水(326日間)、59年木曽川(213日間)、62年首都圏渇水(71日間)、そして平成6年に四国から九州で起きた列島渇水(最大295日間)などがある。

水不足が招く問題

水不足が深刻なのは、たんに水が少ないだけでは済まされず、場合によっては命に関わる問題になるからだ。

過去に渇水により給水制限が起きた際、衛生状態の悪化から食中毒が多発したり、清潔な水が十分に確保できず病院での手術などにも影響が出たりした。
きれいな水が豊富にあることが大前提となっている現代社会では水不足は死活問題だ。

ちなみに1961年から1965年まで約42ヶ月にわたって給水制限が継続された通称「東京砂漠」の時には下記のような影響が出た。

・パン主体の食事
・入浴や洗濯の制限
・消防活動への支障
・医療への支障(手術ができないなど)
・理髪店、美容院、クリーニング店への支障
・プールへの注水禁止
・魚の食中毒の多発

水害と水不足は表裏一体

なぜこんなことが起きるのか。理由の一つに地球環境の破壊がある。とりわけ「地球温暖化」だ。

気温や海水温が上昇すればそれだけ大気中に含まれる水蒸気の量が増え、気圧の状況が従来通りでも降る雨の量が単純に増える。これが世界各地で起きている水害の一端との指摘がある。

いっぽう、温暖化したために山の降雪量が減る。しかも早く溶けてしまうため、本来であれば春から夏にかけてゆっくりと溶けて水を放出してきた自然ダムとしての役目を担えなくなる。こうして夏場の水が不足する。

日本がもつ固有のマイナス事情

日本ではさらなるマイナス要因がある。それは山林に関する行政の失敗だ。

戦後の高度成長期に木材の需要が増したことを受け、国は木材として加工しやすいスギなどの針葉樹を積極的に日本中の山に植林した。

これが全国で起きている花粉症のもとだが、それだけでなく、広葉樹とちがって針葉樹は落ち葉によって雨を山に留める保水機能がなく、また根を深く張らないため、豪雨の際には山肌もろとも滑り落ちてしまう。つまり針葉樹に偏ったことで保水機能が失われ、同時に山崩れの原因ともなっているのだ。
すでに行政はその反省に立ち、山林で広葉樹の比率を元に戻していく試みを行っている。

個人として取れる対策

野菜一つも水なしでは作れない。シャワーを一度浴びるだけでも60リットル以上を使う。言われれば「ああそうか」と思うが、自覚しないとつい資源の無駄をしてしまうのが人間だ。

今起きている環境破壊はそうした一人ひとりの小さなエゴが積み重なった結果である。

月並みな対策だが、炊事や洗面の際には水を流しっぱなしにしない(これだけで数十リットルが毎日節約できる)、洗濯は風呂の残り湯を使うなど、出来ることやるしかない。

焼け石に水に見えるかもしれないが、そうした努力を一つひとつ重ねることで人間のエゴを一つ一つ打ち消していくしかない。時間はかかるが仕方ない。長い時間をかけて壊してきたものは直すにも長い時間を必要とするのがものの道理だからである。

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