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渋谷に書店&カフェ「BOOK LAB TOKYO」がオープン!

コーヒーのおいしいカフェとイベントスペースを備えた書店、BOOK LAB TOKYO(ブックラボ トーキョー)が渋谷にオープンしました。コンセプトは「つくる人を応援する」。この書店をプロデュースした鶴田浩之さんにお話をうかがいました。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

ベンチャー書店&カフェの挑戦

BOOK LAB TOKYO(ブックラボ トーキョー)

BOOK LAB TOKYO(ブックラボ トーキョー)


渋谷・道玄坂のビルの2階に、カフェとイベントスペースを備えた書店「BOOK LAB TOKYO」がオープンしました。広い空間にゆったりしたソファ、オリジナルのテーブルや椅子が並ぶカフェは合計40席以上。口コミだけですでに多数の人々が訪れています。

コンセプトは「つくる人を応援する」。店名通りラボや工場を連想させる淡いブルーの書架に、クリエイター向けのIT関連技術書やデザイン書など、約1万冊に及ぶエッジの効いたセレクトの書物が並びます。

「『つくる』を広くとらえて、デザインやプログラミングにとどまらず料理、身近な趣味の分野も扱い、『文章を書いたりものを考えたりすることを考える』書店であることを理念としています」と、BOOK LAB TOKYOをプロデュースした「Labit」の代表取締役、鶴田浩之さん。

たとえば健康に関する本は「体をつくる」、子どものための絵本は「心をつくる」など、ストーリー性をもたせたジャンル分け。その棚の並びの面白さ。ゲノム解析書の隣に、料理の本。書架の前にたたずんで視線をさまよわせていると、ネットの検索では発見することのできない本に出会ったりもするのです。
コーヒーはこのカウンターで注文します。

コーヒーはこのカウンターで注文します。


マルゾッコのエスプレッソマシンが輝くコーヒーカウンターには、笑顔の新人バリスタ。コーヒーの監修は「私立珈琲小学校」が担当し、おいしいスペシャルティコーヒーを提供します。1杯ずつハンドドリップするコーヒーには現在、ONIBUS COFFEEのエチオピアやマンデリンが使われており、オリジナルブレンドも試作中とのこと。

「バリスタを含めた全スタッフが本のご案内もできるようトレーニングしていきます。インスピレーションやアイディアが湧くような空間をめざしたい」と店長の木村さん。
クラフトビールやオーガニックワインも週替り、月替りでさまざまな銘柄が登場。コーヒーに合う焼き菓子や、お酒のためのナッツやチーズも用意されます。

クラフトビールやオーガニックワインも週替り、月替りでさまざまな銘柄が登場。コーヒーに合う焼き菓子や、お酒のためのナッツやチーズも用意されます。


渋谷に書店をつくった理由

弱冠25歳でスタートアップ企業「Labit」を率いる鶴田さんに、なぜ渋谷に書店をつくろうと発想したのかと尋ねてみました。

「発端は個人投資家の西川潔さんに『若い人やクリエーターさんを支援したいんだけど、投資以外に何かできることはないかな?』と尋ねられたこと。そのとき、私の口から出たのが『渋谷に書店なんてどうですか』という言葉。それがすべてのきっかけでした」
「つくる」をテーマにセレクトされた書棚

「つくる」をテーマにセレクトされた書棚


20歳でベストセラー『Pray for Japan』を出版した経験を持つ鶴田さん。「紙の本は友達にも贈りやすい。相手のことを考えながら本を選んでいる時間が、いいなと思います」

住まいの近くにある大型書店に毎日のように立ち寄っていたそうですが――

「100回行くまでは素敵な場所だと思っていたんですが、あるときふと、その品揃えに『消費を喚起されている』と感じました。ライフスタイルを提案する本の陰に、ものをつくるための本が埋もれている。自分はこの書店のターゲットではないのかもしれない」

欲しいのは、つくる人を応援するような本が並ぶ書店。それが「かつてビットバレーと呼ばれ、昔も現在もカルチャーや新しい情報の発信地で、ベンチャー企業がひしめき、50年に一度と言われる再開発がおこなわれている渋谷の街」にあったら。

高価な専門書も多いため、書架の本を席に持ち込むことはできません。

高価な専門書も多いため、書架の本を席に持ち込むことはできません。


「2016年3月、知人の不動産仲介業者に『書店をやろうかと思うんですが、いい物件があったら、いつか連絡してください』と言ったところ、その場で『いま、いい物件ありますよ』と案内されたのが道玄坂のこのスペースだったのです。場所が決まったらやるしかない――クラウドファンディングで資金を募り、6月25日にオープンを果たしました」

書店にはコーヒーが必要

「私立珈琲小学校」がバリスタのトレーニングも担当

「私立珈琲小学校」がバリスタのトレーニングも担当


あらゆるシミュレーションをしてみたが、本屋は絶対に黒字にならない、と鶴田さんは笑います。だからコーヒーが必要でした。

「本屋でお客さんにどういう体験をしてもらえるかと考えたとき、来店の動機のひとつとして、そこでおいしいコーヒーが飲める、カフェで待ち合わせができたり、軽い打合せができるというのはいいですよね。その上で、いかに本を手に取って買っていただけるかを研究していきたいなという思いがあります」

現在、本を2000円以上購入したお客さまにはコーヒーを無料でサービス。一般的なブックカフェの主体は「カフェ」ですが、BOOK LAB TOKYOの主体は「書店」なのです。

さらに、イベントスペースとしても充実した設備を備えています。「しっかりした音響設備と鮮明な大型プロジェクターを用意して、トークイベントの際に、話す人にとって気持ちいいと感じていただける、それが聞き手にも届く場所を作りました」

「使う側からつくる側に変わったときが、自分の分岐点だった」

ちょっと仕事をするにも便利なスペース

ちょっと仕事をするにも便利なスペース


さて、若くしてすでに多くの仕事を成功させてきた鶴田さんですが、その情熱の原動力はどこにあるのでしょうか。

「子どもの頃から体が弱かったんです。体が弱いと気が弱くなる。小学生のときに入退院を繰り返し、友達も数人の少数グループ。それでも、リーダーシップをとって何かやりたいという気持ちはたぶん遺伝子レベルで自分の中にあったと思います。思春期の頃、どうしたら気が弱い性格を変えられるのかを考え、人がやらないことをやるのが自分の生存戦略だと思いました。承認欲求とも似ていますが、微妙にニュアンスが違って、僕は黒子、影のプロデューサーでもいい。学級新聞を企画する、生徒会長に立候補してバンド企画をやるなど、無茶なことをとりあえず『やります』と言って、あとからやり方を考える。今もきっとそうです。世界には僕と同年代かそれ以下で、もっと多くの人々の生活を豊かにしていたり、より楽しい人生を送るためのものをつくっている人が多数いる。僕はまだ全然できていない。それでも、使う側からつくる側に変わったときが、自分の分岐点でした」

Labit代表取締役、鶴田浩之さん

Labit代表取締役、鶴田浩之さん


この書店の本棚の前を漂っているうちに、お客さまもそんな分岐点をみつけるかもしれませんね?

「それを強制したり、そっちのほうが人生いいですよ、ということはないです。ただ、居心地いいと思っていただけるお客さまにはまた来ていただきたいので、どんどん改善していくつもりです。まだ完成度は30%くらい。人とはちょっと違っていたい。なにか作りたい欲求がある。いつか表現者になりたい。そういう方々が来てくださって、帰ったときに考え方にちょっとした違いが生まれていたら素敵だなと思っています」

menu

ハンドドリップコーヒー 各600円
エスプレッソ 300円/d 400円
カフェラテ 650円
フラットホワイト 650円
クラフトビール 600円~
グラスワイン 800円~

shop data

BOOK LAB TOKYO(ブックラボ トーキョー)
【住所】東京都渋谷区道玄坂 2-10-7 新大宗ビル1号館 2F
【OPEN】8:00~24:00
【CLOSE】無休
【最寄り駅】JR・メトロ/井の頭線「渋谷」駅より徒歩4分


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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