低糖質ダイエットの課題を解決する「スローカロリー」の考え方

スローカロリーの考え方を知っていますか? 肥満や糖尿病の医師たちが提唱している糖質制限に代わる新しいダイエットの考え方です。どのような考え方なのか詳しくお教えします。
しかし、低糖質ダイエットを行った場合、たんぱく質や脂質をエネルギーに変換しなければ活動に必要なエネルギーを確保できません。もちろん、たんぱく質や脂肪をエネルギーに変換するからこそ、ダイエット効果があるのですが、このときに問題点が1つあります。脂質をエネルギーに変換する際はケトン体がつくられ体が酸性に傾き、「ダイエット臭」と呼ばれる悪臭を放つなど、体はかなりの悲鳴を上げてしまいます。
ここで発想を転換しましょう。低糖質ダイエットの利点が「血糖値の急上昇が起こらないこと」であるならば、血糖値の上がりにくい糖質を摂取したり、糖質を摂取しても血糖値の急上昇が起こりにくい生活を送ればよいのではないでしょうか? これが今回ご紹介する「スローカロリーダイエット」の基本の考え方です。
スローカロリーダイエットとは・方法
スローカロリー研究会のウェブサイトによると、スローカロリーを実行するには6つのポイントがあります。- 規則正しい食生活
- サラダを先に食べる
- よく噛んで食べる
- 食物繊維の多い献立
- 糖質の量や質を吟味する
- 小腸からの消化吸収がゆっくり
以下で詳しくご紹介しましょう。
1. 規則正しい食生活
血糖値が上がりやすいのは生まれ持っての遺伝の影響もありますが、それ以上に「生活習慣」の影響が大きいとされています。食事の時間をできるだけ毎日同じ時間にする、起床時間と就寝時間をそろえるなど、一定の「生活リズム」で生活することが大切です。「遅い時間にしか食事できない人が健康を保つ秘訣」などを参考にして、生活リズムを整えるよう心がけてみてください。
2. サラダを先に食べる
具体的な順番としては、
- サラダなど食物繊維の多い野菜料理
- 肉・魚などたんぱく質の多い「メインディッシュ」
- ご飯・パン・麺など糖質中心の主食
3. よく噛んで食べる
食べ始めてから、脳の満腹中枢が働くまで約20分かかるといわれています。ゆっくり噛んで食べないと満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまいます。よく噛むためには柔らかい料理だけではNG。玄米、雑穀、押し麦といった食物繊維の多い食材がダイエットに効果があるといわれるのはそのためです。
4. 食物繊維の多い献立
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、血糖値の上昇を抑えるのは水溶性食物繊維だといわれています。水溶性の食物繊維は食物繊維のイメージから少し離れているかもしれませんが、水に溶けるため「ぬるぬるした食感」になります。具体的には海藻類、きのこ類、こんにゃくなどに多く含まれています。
不溶性の食物繊維は噛みごたえを得るのに役立ちます。また胃や腸の中で水分を吸って膨らむ性質もあるので、満腹感を得られたり腸を刺激したり便のかさましになるため、便秘解消に効果があります。さらに、腸内細菌のエサにもなるため、腸内環境を整えるのに役立ちます。
5. 糖質の量や質を吟味する
再三、糖質だけが血糖値を上げると繰り返していますが、糖質の質によって血糖値が上がりやすいものとそうでないものがあります。簡単に説明するなら「精製度の低い糖質」は血糖値の上昇を抑えるといわれています。白米よりは7分精米、玄米と精製度が下がるたびに血糖値は上がりにくくなります。パンや砂糖なども同様です。精製度の低い原材料を使ったものを選んでください。
スローカロリー研究会では「オリゴ糖」や「パラチノース」という糖質を薦めています。ただし、甘いものを食べるのは「クセ」だといわれています。オリゴ糖やパラチノースであればどれだけ食べてもOKとはいえません。ご注意を。
6. 小腸からの消化吸収がゆっくり
小腸からの消化吸収が遅ければ、急激な血糖値の上昇は起こりません。小腸からの消化吸収をゆっくりにするためには、これらの6つがポイントです。
ダイエットに王道なし! 選びたいのは堅実で効果的な方法
「スローカロリー」は糖質制限と違って「肉はいくら食べてもよい」「お酒は蒸留酒なら飲んでかまわない」などの魅力的な言葉がありません。さらには以前からよくいわれているダイエット方法の寄せ集めのような6つの項目が並んでいるだけですので、これまで大きな注目を集めることはありませんでした。ここまで読んでくださった方も目新しい項目が何もないのでガッカリされたのではないかと思います。しかし、このように長く続けられてきたことというのは、健康を害さず、しかも効果があるからこそ続けられてきたのです。
肥満解消も生活習慣病の治療も、目新しいことに飛びつくよりも「当たり前のことをバカにしないでしっかりやる」ことが大切なのです。