Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

上質な走りを体感。新型アウディA4の魅力とは?

欧州Dセグメントのブランド中核モデル、ライバルと少々おもむきも異なる4WD&FFをラインナップする、A4がモデルチェンジ。高級感漂うエクステリア、機能性の高いインテリア、上質な走りをもつサルーンの魅力やオススメグレードは?

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

しのぎを削るジャーマンプレミアムの中核モデル

アウディA4

日本には2016年2月に登場。まずはFF(前輪駆動)の2.0TFSI(518万円)と2.0TFSIスポーツ(556万円)、4WDの2.0TFSI クワトロ(597万円)と2.0TFSIクワトロ スポーツ(624万円)をラインナップする


ジャーマンプレミアム3(アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ)の中核モデルといえば欧州セグメント分類におけるDとEを指す、という状況は、BやCといったコンパクトクラスがもてはやされるようになった今でも、基本的には変わらない。

プレミアムブランドたるもの、基本のサルーン&ワゴンで勝負! と、3社があらかじめ申し合わせて競い合っているかのようだ。実際、DとEの両メインセグメントに属するモデルは、この3社がまるで持ち回りするかのようにフルモデルチェンジさせている。そんな抜け目なさもまた、ドイツ自動車産業の底力、というものかもしれない。

8年ぶりにフルモデルチェンジしたアウディA4は、欧州Dセグメントに属するサルーン&ワゴン(アバント)だ。A4としては4世代目で、“B9”という型式名からも分かる通り、1965年に登場したアウディ80時代から通算すると9世代目にあたる。50年の歴史があるというわけ。
アウディA4

フルタイム4WDシステムのクワトロ。セルフロッキングセンターデフにより、トルクを通常は前後60:40に振り分け、路面や走行状況に応じてフロントに70%、リアに85%まで振り分けることが可能に


ライバルは、BMW3シリーズとM・ベンツCクラス。パワートレインのラインナップやグレード体系、価格帯は、必然、それぞれを意識したものになるわけだが、アウディのアドバンテージは何と言っても“クワトロ”、つまりは四駆。他のFR系2ブランドのサルーン&ワゴンにももちろん4WDグレードは存在しているけれども、ブランドイメージと伍するほどのインパクトは正直に言って、ない。4WD=クワトロは、アウディが80年代に乗用車用として先鞭をつけ、着実に進化させてきた珠玉のテクノロジーなのだった。

当然、新型A4にもクワトロと、そうではないグレード(FF)がある。いずれにしても、FR(後輪駆動)が主体のBMWやM・ベンツとは少々おもむきも異なる。端的に言って、このなかではA4が、サイズ的にも余裕がある。

高級感漂うエクステリア、機能性の高いインテリア

アウディA4

ボディサイズは全長4735mm×全幅1840mm×全高1430mm、ホイールベース2825mm(2.0TFSIクワトロ スポーツ)


見た目に旧型からの変化が、さほど無いように見えるかも知れない。なるほど、基本的なデザインメソッドは大きく変わっていない。けれども、それもまたイメージを確立させたプレミアムブランドならでは、の戦略、というべきだろう。

逆にいえば、モデルチェンジのたびにころころデザインを変えてしまうメーカーなどよりも、いつでも安心して購入の検討ができる。それが信頼関係というもの。デザインの変わらなさを批判する人は、いつだって、何に対しても、該当モデルにまったく縁がないか、真剣に欲しいと思ったことのない人である。

で、本当にA4のデザインが変わっていないかというと、実はそうでもない。見た目の質感はかなり上がっていて、高級感の漂わせ方は新型が圧倒的に強い。キレイなプレスラインや、さらに攻め込んだ隙間合わせ、ベンツやビーエムも敵わないペイントクオリティのなせるワザだろう。

最新のLED技術を詰め込んだ灯火類の豪華さも、最新アウディの魅力のひとつ。現物を見る機会があれば、ぜひともじっくり観察して欲しい。

アウディA4

水平基調にまとめられたインテリア。12.3インチモニターを用いた多機能ディスプレイシステムのバーチャルコクピットをオプション採用する


うってかわってインテリアは、まったくもって新しい。収納タイプのナビモニターが固定式になってしまったことを除けば、すべてにおいて旧型を過去に置き去った。特に、TTから採用されている全面デジタルメーターの“バーチャルコクピット”や、ギアセレクターまわりのデザインが秀逸。新型A4のダッシュボードデザインと見映え質感、機能性の高さは、クラス随一でもあると思う。

アウディA4

室内は旧型より広くなり、前席のヘッドクリアランスが11mm、ショルダー部の幅は24mm拡大

アウディA4

後席シートはマグネシウムやワイヤーフレームを用いることで軽量化。後席のレッグスペースは旧型より23mm広くなった


素直で上品な走りは上質のひとこと

アウディA4

衝突軽減ブレーキのアウディプレセンスシティをはじめ、ドライバー支援システムも充実。渋滞時にはアクセルとブレーキだけでなく、ステアリング操作にも介入してドライバーの負担を軽減してくれるトラフィックジャムアシストなども備える


実際に購入を検討するにあって、セダンかワゴン(アバント)はすぐに決まるとしても、FF(190ps)かクワトロ(252ps)か、足元をノーマルかスポーツのどちらにするか、あたりが悩みどころになるだろう。見映えのスポーツさを演出するSラインパッケージは、お好みで。

降雪地方のユーザーには、もちろん、クワトロを勧めるが、それ以外の人にとっては、四駆というよりも余裕のエンジンパワーを取ってクワトロにするか、CP重視でFFにするか、という選択になる。

アウディA4

クワトロには252ps/370Nmの、FFには190ps/320Nmの2L直4ターボを搭載。FF搭載エンジンは低中負荷領域で吸気工程を短縮、圧縮比を高く(11.8:1)とすることなどで、燃費とパワーを両立させた


オススメは、FFのノーマルアシ。つまり、最廉価グレードだ。もちろん、252psエンジンは捨て難い。ここイッパツの中間加速においては、やはりミラーサイクルのFF用TFSIエンジンではモノ足りなさを感じる場面もある。とはいえ、街中での実用域においては、そのトルクフィール(力強さ)にさほど違いはなく、むしろ、190ps仕様のほうが扱い易いと思えるほど。それでいて、クルーズ時の上質な乗り心地や、きわめてスムースな動作フィールなど、最新A4の長所はFFであっても全て堪能できてしまう。クワトロのエンブレムに強烈な憧れでもない限り、そして四輪駆動の恩恵を日々受ける環境にない限り、FFを選んで間違いはない。

アウディA4

減衰力可変機構を用いたダンピングコントロール付きスポーツサスペンションをオプションで用意。好みの走行特性に変更できるアウディドライブセレクトは5つのモード(Comfort/Auto/Dynamic/Efficiency/Individual)が選択できる


とにかく、新型A4の走りは上質のひとこと。けれん味はまるでなく、素直で上品なドライブフィールがすべてにおいて貫かれている。あまりに特徴がなさすぎて、かえってドライブ後の印象が薄いほど。気軽に脱ぎ着できるオーダーメードジャケットのようなフィット感と機能性の高さが、A4の魅力だと言っていい。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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