亀山早苗の恋愛コラム/亀山早苗の恋愛情報

好意をもった人との距離のとり方とは

恋愛感情を抱くと、人はどうしても精神状態がフラットではいられなくなる。だが、その「近づき方」「距離のとり方」が相手に不快感をおよぼしたら、なんの意味もない。また、急速に近づいて来る、思い込みの強い人からは、どうやって身を躱せばいいのか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

  • Comment Page Icon

快適な距離感と恐怖を感じる距離感、その違い

相手の距離

相手の距離感に恐怖を感じるとき。

恋愛のもつれなどから、相手がストーカー化したり、暴力沙汰になったりする事件が後を絶たない。つきあっていた相手、一方的に思いを寄せていた相手など、状況はさまざまだが、被害に遭うほうからすればたまったものではない。

こういった事件から見えてくるのが、「人との距離」の問題。快適な距離感、あるいは親しくなるときの距離の縮め方が、人によって違いすぎるのだ。

いったい、人とはどういう距離感をもって接すればいいのだろう。あるいは相手が恐怖を感じる距離の縮め方とはどういったものなのだろう。


彼の思い込みが怖くなって……

恋愛のもつれから、ストーカー化する心理とは。

恋愛のもつれから、ストーカー化する心理とは。

友だちだと思っていた男性が、急に彼氏面をするようになった、と話してくれたのは、ユキコさん(仮名・33歳)。

「異業種交流会で知り合ったグループで、よく飲みに行ったりしていたんですが、その中のひとりが私に興味があったようで。1年くらいたってから、突然、やたらと個人宛のメッセージが来るようになった。『この前は楽しかったですね。あなたの笑顔は最高です』という感じの。でもそれ、グループで遊びに行ったときのことなんですよ。私は特に彼と親しくしたわけでもない。少し気味悪かったけど、そのままにしておいたんです」

しかし、彼のメッセージは一気に踏み込んでくるようなものになった。

「今度はあなたの出身地に一緒に行ってみたいとか、僕に話しかけてくれるときのあなたの表情が愛らしい、気持ちは同じですねとか……。怖くなってきて、グループの他の人に相談したんです。どうやらその彼、他の人には私とつきあっていると話していたみたい。あわてて否定しましたよ」

ユキコさんは、彼のメッセージなどを見せ、ようやくつきあっているわけではないことを信じてもらった。彼と会わないよう、グループの集まりも欠席し、携帯の番号も変えた。すると彼は、名刺に書かれていたユキコさんの会社のメールにも、あらぬ妄想を送りつけてくるようになった。

「このままだととんでもないことになりそうな予感がしました。『そのうちあきらめるよ』と言った友人もいたけど、私が感じている恐怖は、おそらく他の人にはわからない。結局、会社の上司に打ち明けました。偶然だったんですが、上司の娘さんが、やはりストーカー化した彼氏に恐怖を覚えたことがあるそうで、その上司が真剣に取り組んでくれたのがありがたかった。彼の勤める会社および警察にも相談。私には近づかないという誓約書を書いてもらいました。彼、泣きながら『ひとりぼっちでつらかった』と言ったそうです。私なら自分の気持ちをわかってくれると思い込んでしまったみたい」

当時の彼は、部署異動による合わない仕事で神経をすり減らしていたようだが、誰にも相談できなかった。そこで出会ったユキコさんに、「この人ならきっと話を聞いてくれるはず」という勝手な思い込みが起き、彼の精神の歯車を狂わせていったらしい。

もしそう思っているなら、もっとごく普通に距離を縮めていく方法をとればいいのに、そのあたりがコミュニケーション下手な証なのだろう。


早めに相手の距離感を見きわめる

業務中の休憩が思わぬ方向へ。どうやって防げばよいのか。

業務中の休憩が思わぬ方向へ。どうやって防げばよいのか。

自分には自分の距離の取り方があり、相手には相手のそれがある。自分から距離を縮めたいと思ったら、相手の好む距離感を察することが重要だ。

逆に、相手が距離を縮めてこようとしたら、自分の距離感をいち早く伝え、その縮め方が嫌だと思ったら、さっさと逃げるしかない。悪く思われたくないから、となんとなく曖昧な態度を繰り返していると、ぐいぐい踏み込まれ、相手に誤解を植えつけることにもなりやすい。

そのあたりで困ったあげく、会社まで辞めざるを得なくなった男性もいる。

「取引先の女性と、どうしても時間を潰さなければいけなくなったために、ふたりだけでお茶を飲んだんです。なんてことない世間話をしただけ。だけど、その日から彼女は『ものすごく楽しかった』というメールをじゃんじゃん送ってくるようになった。仕事でのつきあいだから、邪険にするわけにもいかない。それから一緒に仕事をしていても、急にプライベートな話をしてきたりするようになってきて。僕は聞きたくないのに。あるとき思い切って、『ビジネスライクにいきましょう』と言ったんです。それが彼女の癇に障ったようで、僕の上司に『あんな仕事のできない男はいない』とメールしてきたり、会社のファックスに『あの男は女にひどいことをしている』とか怪文書を流してきたり……参りました」

カズヨシさん(36歳)は苦笑する。彼女との仕事からは外してもらったが、相手の会社は、カズヨシさんの会社にとって重要な取引先。しかも、彼女はその会社の重役の娘だったことがわかる。取引先との揉めごとを避けるために、彼女のことは極秘にするよう上司から口止めされた。

彼女はその後も、会社の前で待ち伏せしたり、カズヨシさんを尾行して自宅をつきとめたり、つきまといをやめない。どうにも耐えられなくなった彼は、尾行してきた彼女の前にたちはだかって怒鳴りつけた。それを見ていた人が警察を呼んでひと悶着。結局、彼は会社を辞めた。

「そのままじゃ、なんとも腹の虫がおさまらない。彼女の親にも連絡しましたよ。弁護士に相談して、メッセージやメールなどの証拠を添付して、手紙を送ってもらった。いろいろ揉めましたけど、最終的には彼女も会社を辞めることで和解しました。僕が悪かったわけではないことを、前の会社にわかってもらいたかった」

心にためこんだ恋愛感情は、人との距離感を狂わせるのかもしれない。

だが、その気持ちをどうやってうまく相手に伝えられるか、相手の好む距離感を測れるかは、大人なら当然、考えなければいけない。

周りが見えなくなっている人が近くにいたら、それとなくアドバイスすることも重要なのかもしれない。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます