免許は不要でも法律は守らなくてはいけない
道路交通法改正から1年。自転車に乗るときに気を付けるべきことは?
だが現実には、信号無視をはじめ、車道の逆走、歩道での暴走などの違反行為が繰り返され、重大事故も起きている。
そんな背景もあり、道交法が改正されてから1年。
警察庁の調べによれば全国の警察が確認した自転車運転者による「危険行為」は1万5,131件。
最も多かったのが信号無視で、遮断機を無視して踏み切りへ立ち入る行為がこれに続き、3番目に多かったのが「安全運転義務違反」である。
何気なく行われてきた行為が取り締まりの対象に
安全運転義務違反とは、現場の警察官が危ないと判断した行為は基本的に対象となる。例えばイヤホンをしながらの運転、ケータイやスマホを操作しながらの運転などはよく見かけるが、これら、本人にとっては何気ない行為でも安全運転義務に違反する行為と見なされる。ちなみに、違反行為を3年以内に2回以上繰り返した場合は講習の受講が義務化されている。
「学生」「若者」が気をつけるべきこととは?
まず、学生や若者がついやってしまいがちなものとしては、やはり例に挙げたイヤホンしながらの運転が挙げられる。当人にしてみれば、まわりの音がしっかり聞こえる小さな音量であれば危険ではないと考えてしまうかもしれないが、道路という公共の場所では他人から見て危険と見なされる行為はNGというのが基本的な考え方だ。
ケータイやスマホをしながらの運転に関しては、いわゆる"歩きスマホ"でさえ事故の元なのだから説明するまでもない。
特に「ママ」が気をつけるべきこととは?
さらに、ママに関してはとくに気をつけてもらいたいことがある。それは、いわゆる"電動ママチャリ"の増加と関係している。子育て中のママには電動自転車の前と後ろに子どもを乗せた3人乗りをする人も増えている。しかし電動自転車は、名前こそ自転車だが実際はバイク並みのスピードが出ることがある。これが危険を高めているからだ。
バイクであれば歩道を走ることはないが電動自転車は歩道も走れてしまうので、事故を起こした場合、歩行者に甚大な被害を与えかねない。もちろん乗せている子どもに大怪我をさせる可能性もある。
電動自転車を利用している人は、くれぐれもスピードを出し過ぎないよう気をつけることが大切だ。
傘をさしながらの運転はどうなのか?
気になるのが「傘をさしながらの運転」だ。傘を片手で持っての片手運転は従来から危険とされてきたことから、器具を用いて傘をハンドルに固定して運転をしている人もいる。しかし、関係者を取材したところ、それもOKとは断言できないらしい。
全日本交通安全協会に問い合わせたところ、自転車にも荷物の積載条件があり、車両(自転車)から極端にはみ出すものを取り付けての走行がダメな場合もあるという。つまり傘を広げた場合、自転車から横幅がかなりはみ出すため、それ自体が危険と見なされれば、傘をハンドルに固定し、両手で運転していてもOKとはならない。
これについて警察庁の広報にも重ねて取材したところ、「交通法規の運用は都道府県の条例も関わってくるため都道府県に確認してほしい」とのことなので、雨の日にも自転車に乗る方はご自身の生活する都道府県の警察に問い合わせてみるとよいだろう。
自転車保険の有用性
誰でも一度や二度は自転車に乗っていてヒヤリとしたことがあるだろうし、歩道を歩いていて自転車から危険な目に遭わされた経験があるはずだ。世の中では自分がどんなに気をつけていても防ぎようのないことがある。交通事故はまさにそんな時に起こる。その前提に立てば、自転車保険に入っておくことがオススメだ。(ちなみに、昨年の法改正を機に私も自転車保険に加入した)
自転車保険には幾つかのタイプがあるが、自分が怪我をした場合にも、自分が相手に怪我をさせてしまった場合にも、どちらも補償されるタイプがいいだろう。
保険料は年間3000円~5000円が相場だが、事故で数千万の損害賠償となるケースさえあることを考えると決して高くはない。一度検討をおすすめしたい。
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