婚活の「コスト」を少しまじめに考えてみる
婚活へのお金、どう考える?
今の時代はなかなか自由に相手を結婚探すのが難しくなっています(理由のひとつは選択肢がありすぎること、もうひとつは職場内恋愛の失敗リスクが高くなっていることだと思います)。
また、「30歳までには結婚しないなんてあり得ない」のような社会的プレッシャーもなくなりましたので(それはいいことですが!)、いざ結婚をと考えても、夏休みの宿題のようなもので後回ししてしまいがちです。
そんな中、結婚したい人が婚活サービスに登録するのはもはや珍しいことではなくなりました。むしろ、地元のおばさんがセットするお見合いに代わる現代的な出会いの場として機能し、社会的にも重要な役割を果たしていると思います。
しかし、お見合いおばさんと違って、婚活サービスはボランティアではありません。利用するにはお金がかかります。
他のFPはあまり書いてくれない「婚活とお金」の問題をマネーハック的に切り込んでみたいと思います。
婚活会社はあなたがのんびりするほど得をする
友人を頼って合コンする以外の婚活、つまり婚活サービスを提供している会社に登録するような場合、何らかの会費がかかります。どこかの婚活会社に登録をするとき、登録料を求めるケース、月会費を支払うケース、婚活のための出会いの機会(パーティ参加など)のたび会費を払うケースなどがあります。
婚活サービスによって費用体系は異なりますが、入会時に5~20万円くらい、月会費が1万円弱くらいだとすれば、1年間で20万円以上かかる、ということは普通というイメージです。
このとき、婚活サービスの基本的な仕組みとしては、「あなたが時間をかければかけるほど、相手は儲かる」という構図を理解しておくことが大切です。
婚活会社によっては「1年で決めましょう」というようなメッセージを送ったり、「多くの方は1年程度でゴールインしています」と事例を紹介していますが、マネープラン的にも1年くらいの集中した取り組みでゴールを目指すべきだと思います。
長くても短くても、どちらのゴールも納得できるものであれば、のんびりするほど(じっくり、と言えば聞こえがいいがダラダラしていると自覚するくらいがよい)、あなたはお金を多く使うことになるからです。
もっといい条件があるかもと悩むたび費用が増える
婚活サービス会社は、あなたがもたもたするほど得をするメリットがあるとしたら、もしかするとあなたを積極的に後押ししてくれないかもしれません。だとすれば、あなた自身がしっかり決断をして自分の「ゴール」を見つけなければなりません。
しかし、このゴール、なかなか見つけにくいものです。たくさんある選択肢から具体的な候補が挙がってきたとき、私たちは「もっといい候補を見逃したり、もっと良い候補がこの後やってくるのではないか」と考えてしまうからです。
実際に結婚しているカップルも「実はもっといい人が現れるかも」と心の底で思ったりしているのですが、自分に合った人をシステムがマッチングしてくれるだけに、結婚サービスの場合「もっといい人がいるのでは?」と考えがちです。
心理的にもこの決断は難しいものです。合理的判断は難しく、直感に頼らざるを得ない、という人もいるでしょう。
しかし、断るのも難しい決断です。「ここから先は結婚を前提に本気でつきあいましょう」という相手の誘いを断った場合、またゼロから別の相手と交際することになり、時計をリセットしてまた1からスタートすることになるからです。
つまり、また時間とお金(と精神的労力)がかかることになるわけです。お金を払い続けるキーパーソンは自分自身なのだ、ということも心に命じておくことが必要です。
基本的なスタンスは「短期決戦」「本音をちらつかせて勝負」
婚活とお金の問題を整理すれば、自ずと婚活への臨み方もはっきりしてきます。つまり「短期決戦」と「本音を出す」ということです。「短期決戦」はすでに指摘していますが、婚活を長引かせることは、年齢も重ねることになるうえ、費用もかさんでいきます。自分なりに期間を決めたら集中して活動することです。
就活や転職だって、永遠にするわけではありません。既婚者だって最後の交際相手と数年つきあってゴールインします。自分の精神的余裕と時間的余裕があるとき、1年くらいをメドに動けば、予算としても一定程度で収まるはずです。
「本音を出す」というのは先ほどの「いつまでも悩む」をしないための方法です。登録プロフィールやマッチングのためのデータ、自分の本性を「ちらつかせる」のです。
趣味や好みについて、オタク趣味を隠す人も多いのですが、私は「ちらり」と書くべきだと思います。相手も同じような趣味を持っていたら、むしろゴールインのチャンスになるからです。趣味はマニアックなものほど理解してくれる人が見つかればチャンスです。「ブラタモリ的街歩きが大好きで、古地図にあった消えた道筋を追いかけるのが趣味です」なんて書いて食いついた相手があれば、これこそ婚活サービスのマッチング機能が有効活用されたといえます。そんな人、洒落たバーでたまたま出会うことはあり得ないですから。
相手に対する希望や理想も、現実的に書くことで出会いのチャンスも広がってくるでしょう。このとき理想ばかり追うのではなく、「絶対に譲れない本音」をしっかり残し、それ以外はゆるく記入します。例えば「アルコール大嫌いな人はNG」「タバコ好きな人のほうがいい(私も吸うから)」「死ぬまで東京にいたい」というようにこだわりのある嗜好は隠すべきではありません。そうすれば、相手候補を最終決断するときも踏ん切りがつきやすくなるはずです。
――さて、ファイナンシャル・プランナーのアドバイスという割に趣味にこだわれ、というような実用的な話になってしまいましたが、これも「この相手なら、決めちゃおう!」と決断し、ずるずる会費を払って損をしないためのアドバイスだと思ってください。
最後にひとつだけファイナンシャル・プランナー的アドバイスをするなら「借金している人はNG」「買い物の金銭感覚、ムダづかいの線引きの感覚が近い人のほうがいい」ということはいえます。最後の数人の候補をどちらにするか悩んだとき、参考にしてみてください。
普通の人が普通の幸せをみつける、というのはとても大切で、とても素晴らしいことです。「本当は結婚したい」と思っているのなら、ぜひ婚活を活かして素敵なパートナーをみつけてみてください。がんばって!