トランプ大統領が誕生すれば日経平均株価はどうなる?
トランプ大統領誕生で、世界はどうなる!? 写真:AP/アフロ
当の共和党の幹部達が一番望まない候補者を渋々指名しました。トランプ氏は政治経験ゼロですので、過去米国が築き上げてきたグローバルな対外関係や歴史を理解しません。過激な発言もある同氏の真意は、そのホームページに書かれているように、「米国のビジネス・労働者の利益の為だけに(世界と)戦う」という保護主義にあり、大統領になれば世界が劇的に変わってしまうと思います。
多くの米国人はトランプ大統領を望んでいないようですが、それでも選挙で勝つ可能性は十分高いと見ています。相手のヒラリー・クリントンがあまりも不人気で、弱い候補者だからです。ヒラリーだけはご免だ、という消去法により、望まぬ大統領を生む可能性に注目しています。
支持されない大統領が勝つ事など滅多に起きないものですが、ヒラリーの弱さに加え、色々な条件(8年間のオバマ政権にうんざり、格差社会や現職政治家への不信・失望等)が重なった結果、よりひどい大統領が誕生してしまう可能性があるのではないかと思います。トランプ大統領が米国の利益だけの為に動くほど、米国人の利益を失うでしょう。
結局グローバル化とは米国化であり、その果実を最大限取ってきたはずなのに、なくなるのです。しかしそのような難解な仕組みを口にするより、直接的に米国人の利益第一に戦う、と言った方が分かりやすく、選挙で勝てます。グローバル化の果実は米国のお金持ちだけに落ちていたからです(そこから果実が底辺にまで拡がることは理解されません)。
トランプ大統領誕生でドルは直ちに2割下がるとの予想も
すでに一部のアナリストは、トランプ大統領誕生でドルは直ちに2割下がると予想しています。やや過剰な表現ですが、トランプ氏の最大公約は、米国のビジネスと労働者の為に戦うことであり、具体的にはドル安政策に直結します。中国を為替操作国と断言し、安い人民元によって被っている米国の不利益を取り返すと言っています。中国は為替操作によって米国から略奪しているという表現です。円安でコマツの建機が(キャタピラーに替わって)買われている事にも不満を述べています。TPPなどフリートレードにも反対で、メキシコには壁を作り、要するにドル安にして世界中に米国製品を買わせさえすれば、グローバリゼーションなど無くても良いというようにも聞こえます。実際にはどのような政権になるのか分かりませんが、少なくとも、米国はどこへ向かうのか全く分からないという不安から、ドルを売って円を買った方が安心という理屈にも繋がるでしょうか。不安な半年後を睨み、安全資産の代表である金価格も動き出しているように見えます。
【参考記事】
安値の金は今こそ買いか?金相場の今後の予想は?
仮にこのシナリオが正しければ、ドルインデックスは下落トレンドをより鮮明にし、反対に原油や商品価格とゴールドの上昇トレンドは確固たるものとなっていくでしょう。
もちろん、日経平均は大きく下落します。ドル安誘導は円高につながり、それは当然、日経平均にマイナスだからです。市場は半年先を読んで動くとも言われ、そろそろトランプ大統領誕生を織り込みはじめている頃です。
いずれにせよ秋の大統領選は歴史的なイベントになると思います。それが良い変貌なのか、悪い変貌なのか、何とも言えないところですが、世界の大きな変換点となる可能性を感じます。
参考:米国株通信
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