結婚を決めたら愛を語るよりまず語るべきことがある
6月は結婚が話題になる季節です。実際の入籍は11月が多いそうですが、その場合も今頃に両親にパートナーを紹介したり、結婚式場の打ち合わせをするのは6月前後だと思います。何らかの愛情があって、ずっと一緒にいようと決めたふたりにとって、何も心配も不安もない、という気持ちはよく分かります。しかし、結婚すれば今までの人生と同じかそれ以上の年月を一緒に過ごすパートナーになるわけです。30年も無批判の愛情だけで生きていくことはできません。
マネーハック的に発想を転換してみると、結婚について話し合うべきは、愛情ではなく「お金」の問題です。
お金の問題をはっきりさせずに、愛は維持できない
お金の問題もなく、愛情も維持される関係が好ましいわけですが、マネープランの観点からいえば、「お金の問題がこじれているカップルは、愛情でそれを維持することはほとんど不可能」です。どんなに愛し合っているカップルであっても、お金のトラブルや価値観の相違が積み重なると結婚生活を円満に維持することは難しくなります。
特に、ガマンしているほうのストレスは大きくなる一方です。片方は夫婦生活に問題があると感じているのに、片方は何の問題もないと感じていれば、そのギャップは広がる一方で、ガマンするほうばかり辛くなっていきます。
たとえば、共働きのふたりが結婚5年後、妻は日々の買い物も節約をがんばって貯金200万円増やしたのに、夫は貯金ゼロで好きなものを好きなだけ買い物していたとしたら? それどころか夫にはキャッシングやカードローンの借金が100万円あったとしたら? それでも仲良く夫婦を続けていく自信がありますか?
結婚「前」のそれぞれの財産を分けるために確認しておく
最初に確認しておきたいのは「結婚前」にそれぞれが持っている財産や家族の状況です。「貯金額をオープンにするほうが危ないのでは?」と思うかもしれませんが、結婚後の生活に、結婚「前」のお金をそれぞれが持ち寄った場合、きちんと認識しておくべきです。そのためにもスタートラインでのそれぞれの資産額はお互いにカミングアウトしておくべきでしょう。
相手が実は貯金がほとんどないとか、相手が実は借金がある(こういう場合金額を過少申告する場合が多いので、きっちり確認しておきたい)という場合も、これを知らずに結婚するなんて危険なことです。
婚姻届を出す前に、お互いの貯金額を探り合うなんて、無粋な感じもします。しかし婚姻届を出したあとは、お金の責任も共同で対処しなければなりませんし、片方が増やした借金は夫婦の負担になることもあります。
結婚「前」によく、健康状況をお互いに知り合っておこう、といいます。同じようにお金の健康状態についてもお互いに知り合っておきたいものです。
結婚「後」の出費の割り振り、お金の貯め方についてふたりでコンセンサスを作る
結婚「前」のお金の問題がすっきりしたら、結婚「後」のお金の問題について積極的に話し合っていくことが必要です。たとえば家はどうするのか、買うならどれくらいのグレードでいつ頃買うのか、そのための頭金の準備はどれくらいのペースで行うのか、貯金のペースはそれぞれいくらずつとするかなど、家を買うという問題ひとつでもお金の問題は様々です。
こどもは欲しいのか、いつ頃、何人くらい欲しいと願っているのか、うまくいかない場合不妊治療も視野に入れるのかなど、愛情とお金がリンクしてくるテーマもあります。こどもが生まれたら、今度は学費の問題も考えることになります。
結婚「後」のお金の問題は夫婦それぞれの価値観とも密接にリンクしています。ある程度価値観の近いふたりが結婚するとしても、一度の会話では一致点はみつからないはずです。
お金の価値観がズレると相手を否定的に考えてしまうこともあります。むしろ愛情がたっぷりある新婚の時期にこそ、本音で語り合い、結婚「後」のお金の問題をすっきりさせておきたいものです。
ふたりで仲良く、ずっと暮らしていくためにこそ、お金の問題をはっきりさせておこう
今回は結婚前後のお金の問題について話し合うヒントを紹介しました。しかし1万円単位で細かく考える必要はありません。お金がかかるいくつかの問題をふたりでどう乗り越えていくのか、おおまかにコンセンサスを作っておくことが大切です。
結婚したあと、何回か一緒に協力して乗り切るべきお金の問題がやってきます。そのとき、結婚したことを後悔ではなく、正解だったなと思いたいものです。