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まさかの日銀ゼロ解答で急落の日経平均の今後は?

追加緩和の期待が高まった4月の日銀金融政策決定会合でしたが、結果はまさかのゼロ解答。結果として急激な円高と日経平均の下落を招きました。ファンダメンタルを見る限り、今後もあまり明るい展望は開けません。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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まさかの日銀ゼロ解答で急落の日経平均の今後は?

まさかの日銀ゼロ解答で急落した日経平均。今後の見通しは!?

まさかの日銀ゼロ解答で急落した日経平均。今後の見通しは!?

1万8000円が視野に入る日経平均、この上昇は本物か?
でもお伝えした通り、4月22日(金)に「日銀が金融機関の貸出にマイナス金利を検討か?」というサプライズ報道がありました。関係筋からの話で、しかも「検討の可能性」、という怪しいものでしたが最も業績に影響する銀行株をはじめ、日経平均は大幅高となっていました。記事に加え、元より景気鈍化&業績減速、そして震災もあり、もはや追加緩和なしではすまされない(ありえない)雰囲気の中で4月28日(木)の日銀の金融政策決定会合の結果を迎えました。

ところが、結果はまさかの「追加緩和無し(現状維持)」となり、日経平均は暴落しました。金融機関の貸出にマイナス金利については、検討したことも無かった模様です。4月28日(木)前場終了時点の日経平均は17,533円(前日比+243円高)でした。そこから昼休みに前述の発表があり、後場開始直前の先物は16,710円~16,680円あたりで激しく推移し、後場寄り付きと共に現物も殆ど売り気配一色で暴落。そのまま安値引けして終えました。一日の高値から安値までの値幅は▼920円でした。ドル円為替レートも昼休みに111円から108円へと急騰しました。まさに、逆サプライズとなってしまったわけですが、このあたりは、マーケットと神経質に対話し、サプライズを起こさせないようにしている米国のFRBとは対象的です(もっとも、今回は4月29日(金)に米国財務省が為替報告書の中で「監視リスト」を設け、日本も指定されていることを考えると、米国の意向で追加金融緩和ができなかったのかもしれませんが)。ともあれ、29日(金)から日本は連休に入り、海外市場では一層の日経先物急落(シカゴ日経先物は15860円まで下落)&円高(一時106円35銭まで円高が進む)が起きています。ゴールデンウィークでの投機筋による一段の売り仕掛けも気になるところです。

円高で日本の大企業は大幅減益、下方修正ラッシュ

振り返ってファンダメンタルズを見ると、いよいよ出てきた2016年3月期の日本企業の決算によって、輸出企業を中心とした日本の大企業は大幅減益、下方修正ラッシュとなっています。これは為替が円高に振れていることが大きな要因です。ファンダメンタルズだけ見れば株価は下がるとみるべきなのですが、ここに追加緩和の可能性という中央銀行の政策が絡み、事態をややこしくしています。下にいくべきものが上に無理矢理上げられるような感じになるので、結果、投資家は振り回され、痛手を被る確率が2016年は大と思います。

2015年は「資源安」、2016年の投資のトレンドは?でもお伝えしたように、2016年のキーワードは「ボラタイル」(相場の値動きが激しいこと)だと思います。休むも相場と言いますが、2016年のような変動の激しい年においては、要所において相場を休む事は重要な「戦略」となってきているように感じます。2016年1~2月の波乱の年初相場時も、しっかりと休めた人と、手出しをしてしまった人のパフォーマンス差は相当大きかったと思います。

大型株に関しては休むも相場か

今回の日銀金融政策決定会合の結果にしても、たとえば、上に行くか、下に行くか、という丁半博打的な投資を考えたとします。一見、当たる確率は50%なので、そう悪い投機話でもないように思えます。しかし実際は、どちらか一方向へ行くのみという単純な目は出てきません。4月中旬からのように「大きく上がってから急落」するか、或いは反対に「大きく下がってから急騰」という事ばかりで、買い・売りの両方ともが痛手を被る結果になることが多いのです。今回は前述の関係筋のリーク情報が、投機筋に縦横無尽に暴れる機会を与えました。そのような嵐に乗じて利を上げる事はかなり困難と思います。特に今回の場合、下げの大半は昼休み中に起きてしまい、捕まった者は動くことなどできないよう仕組まれたも同然です。
乱高下する日が多い日経平均。このような時はすくなくとも質の良い上昇相場ではない

乱高下する日が多い日経平均。このような時は少なくとも質の良い上昇相場ではない

上に4月の日経平均の日々の動きをまとめてみました。500円前後も上がる日、下がる日が多くあり、このような時は決して質の良い(本格的な)上昇相場でないと断言できます。4月中旬からの上昇は、長期下落トレンド中に短期上昇トレンドが出ただけの形です。そして乱高下した挙げ句、4月の終値は3月の終値を下回って引け、何もしないのが正解という結果でした。

参考:日本株通信

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