90年半ばに提唱されたこのコンセプトが、食の安全や自給自足、環境や社会貢献への関心の高まりと共に、改めて注目されているようです。
移住者を応援する島根式ライフスタイル
「畑を耕しながら自分流の暮らしを探しませんか」と、島根県が2010年度から推進してきた「半農半X」。自営・雇用の就農を目指す人だけでなく、県外からUIターンして農業+他の仕事(X)を組み合わせたスタイルを実践する移住者を応援しています。対象になるのは就農時65歳未満の人で、就農前の研修時と定住・就農初期の営農に必要な経費を、それぞれ最長1年間(合計最長2年間)助成する制度を設置。また「半農半X」を実践する人が営農を開始するために必要な施設整備についても支援しています。
現在では、農業+カメラマン、農業+除雪作業員、農業+酒造り、農業+スーパー勤務、農業+庭師など、の実践者も40名を超えています。
参考サイト>>島根県は「半農半X」を応援します
「農」+「X」のバランスがポイント
農的暮らしにあこがれ、移住と同時に就農を目指す人も大勢います。しかし、経験がなくても大丈夫なのか?最初に準備すべきモノ・コトは?将来的に続けていけるのか?と、様々な不安を憶える人も多いはずです。こうした心配を軽くするためにも、半分は農業・残り半分は別の仕事をする「半農半X」を実践してみましょう。一家族が自給自足するには二反位の田畑で十分といわれています。この規模だと耕運機等も必要ないし、作業に手間もかかりませんね。
朝から夕方まで畑に出ずっぱりの専業農家(育てて収穫して販売する)と違い、自分と家族が食べる分だけなら半日の作業で何とかなりそうです。残りの半分をどうするか?
もちろん別の仕事に当てて収入を増やすこともできますが、自分と暮らしのブラッシュアップに使うのが「X」。年間を通じて農業と「X」を半分づつ続ける、農閑期となる冬季などに「X」の比重を高める、反対に農繁期になると「X」を休んで畑に精を出す……
生活のためだけじゃなく、自分の好きなコトや大切のモノを優先する「半農半X」の田舎暮らし。人の数だけ「X」はあるはずです。
自分だけの「X」から地域のための「X」へ
「半農」と言っても“絶対に!半分を農業に当てる”と、シビアに考える必要はないと思います。里山で地元の人々と山菜採りをしたり、近くの農家の収穫を手伝ったり、家族の分だけ賄える家庭菜園でもOK。大切なのは、背伸びせず手の届く範囲で地域の自然と人々に触れ合うことを楽しみつつ実践し続けること。「半X」は現在までの自分のスキルであり、これから探す生きがいと捉えることができます。収入が減っても自分のやりたいコト、やっていきたいコトを優先するライフスタイル。まず、自分と家族で「半農半X」を実践してみる、次に友人知人とネットワークする、そして地元のコミュニティに提案してみる。
自分の得意分野(スキル)が活かせるか、地域のコミュニティに役立つか。自分にとっての「X」を見つけ出すことから、あなたらしい田舎暮らしを見つけることができるかもしれません。
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