首脳陣も「グレート!」と口を揃える投球
ドジャースはアリゾナ州グランデールでキャンプを行っているが、前田が初めてブルペンに入ったのは2月21日(同22日)のことだった。ストレートはもとより、カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップとすべての持ち球を惜しげもなく披露しての39球。「(満足度は)100%。すべての球種をしっかりとコースに投げ分けられた」と胸を張った。これには、デーブ・ロバーツ監督を始め、レイズでGМを務めていたアンドリュー・フリーマン編成最高責任者、ファハン・ザイディGМ、昨季までブルージェイズのGМだったアレックス・アンソポロス副社長の3首脳も「グレート!」と口を揃えた。
しかし、23日(同24日)に行った2度目のブルペンの方がさらに上をいった。前回よりも制球が安定し、「ちょっと斜めに落ちる」という新たに取り組んでいるツーシームも披露。宝刀スライダーに関しては、受けた2番手捕手のエリスいわく、「彼のストレートの制球力の凄さは知っていたが、スライダーがこれほど破壊的とは思わなかった。チェンジアップも印象的だった。そういうボールを投げる彼の奥深さときっちりストライクゾーンに投げる制球力には感銘さえ受けたよ」と34歳のベテラン捕手は前田の40球に脱帽した。
メジャーのレジェンド“ミスター制球力”も前田にアドバイス
制球力を限りなく磨き、追及する前田にとって、これ以上ない“朗報”がある。今季からド軍の編成最高責任者特別補佐を務めるグレッグ・マダックス氏がキャンプに合流し、選手にアドバイスを送ることになった。マダックス氏といえば、メジャー通算355勝を挙げて殿堂入りも果たしているレジェンドの1人。しかも、制球力を最大の武器にして「精密機械」の異名をとった。何しろストライクゾーンの四隅にすべての球種を投げられるほどのコントロールの持ち主で、ボール球をほとんど投げなかった投手。この“ミスター制球力”からのアドバイスは、前田にとってはまさに「金言」であり、今後のメジャーリーグ生活になくてはならないものになるだろう。
メジャーで絶好なスタートを切った前田に、早くも今後のスケジュールが見えてきた。リック・ハニカット投手コーチがオープン戦初登板を3月5日(同6日)のダイヤモンドバックス戦と明言したのだ。先発で2回の予定。その後、中4日の登板に慣れさせ、順調にいけば、公式戦初戦は開幕3試合目となる4月6日(同7日)のパドレス戦(サンディエゴ)になる。
「ゲームで投げるまでまだ時間はある。組まれた日程に対し、しっかりと自分で合わせてゲームに入れるようにしたい」
デビューまでの青写真が見えて来て、新天地でいよいよベールを脱ぐ前田に全米中が注目する。