マイナス金利導入で銀行株が急落
銀行株を買うのはまだ早い・・・のですが、安値を待つと言う意味で、注目しておく価値はあると思います
もっとも、全ての当座預金にマイナスの金利がつくのではなく、3段階の階層構造に分かれます。簡単に書きますと、まず、日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければいけない最低金額(=所要準備額=約9兆円)などについてはこれまで通りゼロ金利が適用されます。次に、2015 年1月~12月における平均残高(基礎残高=約210兆円)までの部分にも、これまで通り+0.1%のプラスの金利がつきます。そして、これらの部分を上回る部分(政策金利残高=2月末時点で10兆円程度)には▲0.1%のマイナス金利が適用されるというものです。
なお、日銀が買いペレーションで市中の銀行に年間約80兆円のペースで供給する異次元の金融緩和による当座預金の増加については(マクロ加算残高)、3か月の頻度で適宜見直しがあるとさりますが、このままでいけばゼロ金利が適用されます。したがって実際にマイナス金利が適用されるのは当座預金の中で一部(政策金利残高のみ)であり、インパクトはそれほどには大きくありません。もしもマクロ加算残高や基礎残高にマイナス金利を適用すれば、それこそバブルになる可能性もありますが、仮にそれを少しでも始めてしまうと、一気にバブル発生→崩壊の波が発生し、金融システム崩壊を止められなくなるおそれがあって踏み込めないと思いますし、マイナス金利の金利幅だけを拡大しても、適用部分は少しで、経済にどこまでインパクトを与えられるかはわかりません。
結局はマイナス金利は景気に好影響を与えられるほどの領域には踏み込めない(やってしまったら確実にバブルになってしまう)と判断されているのだと思います。マイナス金利発表当日に急騰した不動産株が、その後急落して元の株価に戻ってしまったのはそういうわけと思います。つまり、経済全体にはそれほどインパクトはありません。しかし、リスク資産の中でもマイナス金利でダイレクトに業績の下がる(金融業の儲けは金利です)銀行、保険株は、真っ先に投げ売られる構図となっています。
急落した銀行株の配当&株主優待に妙味はある?
しかし、株価が下がってくれば、長期的には買いの妙味が増してくるのも事実です。たとえば、国内最大の民間金融グループである、三菱UFJフィナンシャル・グループ(東証1部<8306>)を見てみましょう。以下、銘柄データです。【銘柄データ】三菱UFJフィナンシャル・グループ(東証1部<8306>)
予想配当+予想優待利回り:5.7%
【2016年2月19日株価】 486.2円
【株主優待獲得最低投資額】 100株=4万8620円
【今期予想現金配当(1株あたり)】 18円
【株主優待権利確定月】 9月末日
【優待内容】詳細は同社のHPをご覧ください
今回は100株を購入し、三菱UFJ信託銀行がイメージキャラクターとして採用している「ピーターラビット」のオリジナルグッズを獲得したケースを想定しています(株主優待は仮に1000円で評価して利回り計算しています)。
ちなみに、同社のHPを見ると、下記のようなコメントが。ちょっとワクワクするようなコメントですよね。
【当社では、株主さまの日ごろのご支援に感謝するとともに、より長期に当社株式をご保有いただけるよう、株主優待制度(「MUFG株主倶楽部」)を導入しました。 MUFG株主倶楽部では、株主さまにMUFGグループの総合力を実感していただけるよう、グループ会社の商品・サービスを中心に、各種優待サービスをご用意しています~同社HPより~】
もっとも、今すぐ買うべきというわけでもありません。株価は2015年6月につけた高値936.8円から、2016年2月には一時、半分以下の431.9円を付け、高値から見ると値頃感は確かにあります。しかし、 2016年は銀行株の下落が新たなトレンドでも書きましたが、マイナス金利導入によって長期金利が急激に下がってきていますので、銀行の儲けの源泉である「長期金利と短期金利の金利差」が縮小傾向である以上、銀行株はまだまだ下がる可能性があり、値頃感だけで買うと酷い目に遭う可能性があります。今は、状況を確認しながら、虎視眈々と安値を待ちかまえる体制で良いと思います。
参考:日本株通信
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