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「本当は結婚したくないのだ」症候群の現在と未来

前回に引き続き、『本当は結婚したくないのだ症候群』の著者・北条かやさんと対談しました。後編の今回は、「東京と地方の結婚観や子育て」がテーマです。

大木 隆太郎

執筆者:大木 隆太郎

恋愛ガイド

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続編! 「本当は結婚したくないのだ」症候群の理由と未来とは

――前回に引き続き、作家・ライターの北条かやさんに、発売中の著書『本当は結婚したくないのだ症候群』をもとに、現代の女性の「結婚に関する本音」についておうかがいします。今回は「東京と地方の子育て・ライフスタイル」がテーマです。

前回「年収600万円のサラリーマンがモテる?」「男性のやまとなでしこ幻想」「理想も、結婚したいのかもがわからないアラサー世代」などについてお話しました。

生きるのに必死。だから、今の制度なら「結婚したくない」

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「本当は結婚したくないのだ症候群」著者の北条かやさん

ガイド:前回は、何が「理想」なのか、「結婚したいのか」もわからない方が増えているというお話をしました。それで思ったのですが、新聞で読んだんですけど、日本人って世界で2番目に平均睡眠時間が短いらしいんですよね。ひょっとして、みんな生きるのに必死で、恋愛に割く時間がなくなっちゃってるのかな、と思って。

北条:WLB(ワーク・ライフ・バランス)のバランスが、“ワーク”だけですよね。インタビューした女性の中で、WLBを重視して派遣で働いて……という方もいらっしゃったんですが、そういう方って結婚して夫婦で一緒に住んで共働きで家事もして……ってなるとむしろWLB悪くなっちゃうんですよね。実家に住んでいれば、少しは楽になると思うんですが。

ガイド:実家にいれば楽だもんね、お金も貯まるし。うーん、でも結婚するとWLBが悪くなってしまうというなら、そもそも今の結婚制度っていうのが破綻しているのかな、って思っちゃいますね。この状況で、今、国は子作りを推奨して、政策として希望出生率1.8というのを出してるわけですけど、道はかなり遠そうですね。

北条:国が求めているのはワーキングマザーかつ希望出生率UPなので……両立するのは難しいですよね。

ガイド:本当は結婚して子ども作りたい、という人はまだまだいると思うんですけどね。

北条:でも、それをするともっと生活が苦しくなるから、“今”ではない……。

ガイド:かといって金銭的に少し余裕が少し出る頃には、年齢的に厳しくなってしまっていたりする、と。やっぱりアレもコレもと全て取るのは無理ですよね。国は何を一番にやりたいのか、というのを明確にして思い切ったことをやらないと、こういう問題は解決しないと思います!

東京は「戦場」。一方で、賃金が安くても「幸せ」な地域もある。

ガイド:極論ですけど、もうエリアで分けちゃうのがいいかもしれませんね。逆経済特区みたいな(笑)。

北条:あはは、少子化対策特区とか……。

ガイド:そうそう。仕事はあまり無いけど、子育ての環境は整ってるというエリアでしっかり少子化対策して、都内は「結婚したくない」人が集中するっていう。

北条:確かに、沖縄は本当に少子化対策特区みたいになってるんですよね。出生率が一番高くて……離婚率も高いんですが。けれども最低賃金も一番安いし、貧困率も高い。親族の繋がりで子育てをしている。

ガイド:それでなんとかなってるわけですもんね。

北条:そうなんです。大変そうに見えて、「幸せは、幸せ」という人もたくさんいます。

ガイド:東京とか大阪の方がよっぽど孤独死とかの件数も多いわけで。どっちが幸せなのか、っていう話ですよね。……ちなみに、今回の著書では、東京メインで取材しているんですよね?

北条:そうです。あえて東京でしか取材していないんですよ。他のエリア、特に地方だと結婚へのプレッシャーが強いので、「結婚と出産がセットで当たり前」という、東京とは全く違う答えが返ってくると思います。私も実家(石川県)に帰ると結婚してる人が多くて。東京と30年くらいのタイムラグを感じますね。

ガイド:僕はいま東京の品川に住んでいて、実家は埼玉県の浦和にあるんです。両方関東ですし、そこまで距離はないんですが、教育とか生活の環境は圧倒的に浦和のほうがいいんですよ。

子育てに関して言うと、東京って何も無いんですよね。文化という文化も、地域の密着性も薄い。今の東京はまるで仕事だけの“戦場”っていう感じ。本当に東京は子育てするところじゃない。

北条:東京は戦場、というのは感じますね。私、実家でも仕事はしてますけど、実家にいると同じことをしていても、戦ってる感じがしない。東京の女性たちは、東京に住んでいるから結婚する気にならないのかもしれませんね……。

中途半端な結婚をして「不自由」「不幸」になるならしたくない?

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「自由ってキーワードがすごく出てくるんです」と語る、北条さん。

北条:今の女性……とくに東京の女性は、とにかく「自由」でいたいんですよね。話を聞いていると「自由」ってキーワードがすごく出てくるんです。

ガイド:自由? 何を指して自由って言っているんだろう?

北条:実際に「自由じゃないってどういうこと?」って聞くと、「結婚しなきゃいけない」とか「仕事と家事を両立して子供を生まなきゃいけない」とか……いろんな雑誌に書いてあるような「“理想”に従わなくてもいい」っていうことが、「自由」でいるっていうことみたいです。

ガイド:他人に関与されたくない、っていうことかな?

北条:それに近いかもしれません。押しつけられない、と言うか。

ガイド:なるほど……。自由にもいろんな自由がありますよね。経済的な自由とか、人間関係の自由とか。でも、全部を取るのはすごく難しい。でも、僕はやっぱり人間らしく生きること……家庭があって、自分の居場所があることが一番幸せ、という考えかな。

僕のまわりの企業家たちで経済的な自由を持っている人が一番欲しがっていてなかなか手に入れられないのが、やっぱり“家庭”なんですよね。お金があっても逆に人間的な自由が薄らいでしまうこともある

北条:高収入の人の未婚率が高い、という話は前回も出ましたね。

ガイド:一方で、家庭を持っていたり、持とうとしている人たちが、経済的な自由を確保するために苦労している現実がある。その中間点を狙わなきゃいけないんだけど、これが難しい。まれに全ての幸せを手に入れる“成幸者”もいますけどね。

北条:そうですね。だから「中途半端に結婚しちゃって不幸になるくらいなら、結婚したくない」っていう感じはすごく伝わってきますね。やっぱり今の結婚制度だと女性への負担は大きいので。

この本を読んで、「未来予想図を描いてもらえたら」

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ガイドと北条かやさん、2人それぞれの視点での対談をお届けしました!

北条:さっき、エリアの話が出ましたが、今後、子育てしたい女性は郊外に出て行くようになって、子育て世帯が多いエリアと独身女性が多いエリアと、より住み分けされていくと思うんです。

だから、「独身女性は安心してくださいね」っていうのを本の最後に書いたんですよね。既婚女性と自分を比べて、「私は子どもを産まなかったから不完全だ……」なんて思わなくていい。

ガイド:東京って、結婚しなくても「大丈夫」な場所ですよね。

北条:はい、それを言いたくて。やっぱり、自分の生き方を肯定できないっていうのは本当につらいと思うので。「なんとなく結婚しなかった」というのもアリだし、「専業主婦になりたい」っていうのもアリ。したい人はすればいいし、「するな」って言いたいわけじゃないんです。結婚について決めかねている人たちがこの本を読んで、同世代の結婚観とか、恋愛や結婚の歴史を知って、「自分はこうなるのかな?」っていう未来予想図を描いてもらえたら嬉しいな、と。

ガイド:なんとなくでも、自分の“先”が見えるって大事ですよね。

北条:そうなんです。独身女性はいま責められがちなんですけど、「このまま一生独身なのかな」とか「差別されちゃうのかな」って恐れているなら、これからはゲーテッド・コミュニティ化(住み分け)していくから、「大丈夫だよ、あんまり怖がらないで」ってことを伝えたいですね。

ガイド:しっかり伝わるんじゃないかと思います。北条さん、今日はありがとうございました。

北条:ありがとうございました。

>>前編では、現代女性の「本当は結婚したくないのだ」症候群について対談しました。

【出演者プロフィール】北条かや(ほうじょう・かや)。1986年、石川県金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『こじらせ女子の日常』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く! ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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