経腸栄養剤とは
近年、問題になっている高齢者の低栄養。医薬品の経腸栄養剤の種類や効果はどのようなものでしょうか?
経腸栄養剤の種類・効果効能
医薬品の経腸栄養剤で現在使われているのは、主に次のものがあります。1. 剤型別の種類
【液状】
・エンシュア®・リキッド(アボット)
・エンシュア®・H(アボット)
・エネーボ™(アボット)
・ラコール®NF: 配合経腸用液(大塚製薬工場)
・エレンタール®、エレンタール®P(味の素製薬) など
【粉末】
・ツインライン®NF(大塚製薬工場) など
※その他、特殊疾患用には肝臓疾患用としてアミノレバン®EN配合酸(大塚製薬工場)、ヘパン®ED配合内容剤(味の素製薬)、アミノバクト®配合顆粒(日医工)、リーバクト®配合顆粒・配合経口ゼリー(味の素製薬)などがあります。
【半固形】
・ラコール®NF配合経腸溶液半固形剤(大塚製薬工場)
2. 内容成分
製剤によって少しずつ配合量は異なりますが、主な栄養成分次の通りです。
タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン類(ビタミンA、K、E、K、C、B1、B2、B6、B12、コリン、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、リン、微量元素(マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、鉄)
3. 効能・効果 (使用目的)
術後患者の栄養保持や、特に長期にわたり経口での食事摂取が困難な場合に使います。
医療現場で日常的に使われている経腸栄養剤の種類
腸が動いている場合、医療現場では半消化態栄養剤が日常的に使われており、その中でも代表的な2つの半消化態栄養剤の製品特徴をご紹介します。■エンシュア®
エンシュア®には、エンシュア®・リキッドとエンシュア®・Hがあり、形状は缶入りタイプです。
- エンシュア®・リキッド
1缶 250mLで、250kcal あります。バニラ味、コーヒー味、ストロベリー味の3つの味があり、日本で初めて液状の経腸栄養剤として発売された製品です。
- エンシュア®・H
1缶 250mLで、375kcalあります。エンシュア®・リキッドの1.5倍のエネルギーを摂取することができるので、カロリー摂取は必要でも水分制限が必要な方にはこちらを使うことが多いです。
慢性的な病気の場合は食事の代わりに毎日摂取する事になるので、味に飽きてしまう患者さんが多いようですが、バニラ味、コーヒー味、メロン味、黒糖味、バナナ味の5つの味があります。
エンシュア・リキッド
エンシュア・H
■ラコール®NF
アルミパウチタイプ(レトルト食品が入っている柔らかい容器)です。
- ラコール®NF 配合経腸用液
容量は2種類で、1パック200mLで200kcal、1パック400mlで400kcal があります。 味は、ミルク味、コーヒー味、バナナ味、コーン味があります。
- ラコール®NF 配合経腸用半固形剤
1パック300gで、300kcal あります。胃ろうから投与する半固形剤で、液状の経腸栄養剤と比べると投与時間が短縮できるので、例えばリハビリテーションの時間短縮にも繋がるようです。
ラコールNF配合経腸用液
経腸栄養剤の飲み方……口から摂取する場合
原則として医師の指示に従って服用してください。食事ができて補助的に服用する場合には食後や食間に服用することもありますが、特に医師の指示がなければ、1日の中で飲みやすいタイミングを見つけて服用するのもいいでしょう。
1本を1日3回に分けて飲む場合には、容器に直接口を付けず、コップに移してから飲むようにしましょう。口腔内の雑菌が栄養剤に入り腐敗しまいますので、開けたものは24時間以上保存しないようにして残りは廃棄しましょう。
経腸栄養剤は原則そのまま服用します。水で薄めたり、他の飲み物と混ぜてないでください。また、味が違っても中の栄養成分は同じです。味(フレーバー)に飽きないように医師と相談して選ぶのもいいですね。
経腸栄養剤の禁忌・副作用・注意点
処方の際に、医師や薬剤師から説明があると思いますが、いくつか重要なポイントがありますのでご紹介します。■禁忌(使えない方)
牛乳由来のカゼインが入っていますので、牛乳タンパクにアレルギーのある方は使えません。その他、持病がある方やアレルギーがある方、妊娠初期の方などは注意が必要ですので、受診の際に医師に相談しましょう。
■副作用
主な副作用は下痢、続いて胃部不快感や嘔吐です。下痢に関しては、色々な見解がありますが、特に飲み初めに現れることが多いようです。
下痢を防ぐためには、最初は少量ずつ使います。例えば1本を1日3回に分けて飲むなど最初は少ない量から始めるといいようです。
初めて飲む場合や慣れないうちは、コップに必要な量を移してから、少しずつ口に含みながらゆっくり飲むようにするのもいいと思います。
以上、今回は経腸栄養剤とその注意点について詳しくご紹介しました。今後さらに介護人口が増加すると予測される中で、少しでも高齢者の低栄養の問題に関心を持っていただけると嬉しいです。
なお、掲載した製品は医療用の医薬品ですので、使用には医師の処方が必要です。また、疾患によっては飲み方や注意が異なる場合がありますので、医師の指示を優先してください。不明な点や本製品が必要と感じられる方は、医療機関を受診してご相談ください。