相談から約1週間ほどで住宅を購入した友人の話
2015年11月初旬のことでした。大学時代からの友人から突然、「ようやくお前の仕事が役に立つときが来た! 俺、家を買いたいっちゃけど相談に乗って!」と電話がありました。で、話は急展開。驚くことに、彼はそこから1週間ほどである2階建ての分譲住宅を購入しました。方言からおわかりのように、彼は福岡県内に住んでおり、実家は福岡市近郊のニュータウンにあります。購入したのは、その実家から数件隣に新たに建てられた、あるローコスト系ハウスメーカーの分譲住宅。購入の決め手は、ズバリ「実家に近い」ということでした。
断っておきますが、彼の決断や購入した分譲住宅についてどうこう言うつもりはないのです。住宅取得のあり方は人それぞれ。色んなスタイルがあっていいはずですし、住むのは本人。ですから、納得ずくの購入なら良いのです。ただ、もう少し異なる決断の仕方があったのではないか、ということです。
電話があった際、色んな話をしたのですが、本人やご家族の中ではすでに様々な検討をしたとのことです。彼は長男ですから、元々は二世帯同居、つまり実家の建て替えが検討の初段階にあったのだそうです。
二世帯住宅は近い将来、使い勝手が悪くなること、つまりご両親が亡くなった場合に、親世帯のスペースをどのように活用するかに難しさがあることなど、そうした点ではある程度、時間をかけて検討はしていたようです。
で、「こんな物件(彼が購入した分譲住宅)があるちゃけど」と、地元の不動産会社が作成したペラ紙一枚の広告を私にメールで送ってきて、「意見がほしい」とのことでした。彼はその時点でほぼ購入を決めていて、最終的な一押しを私にしてほしい、そんな雰囲気でした。
さて皆さん、思いませんか。広告だけで物件の善し悪しなんて分かるでしょうか。いくら私でも判断しかねます。常々申し上げていますが、必ず物件を詳しく見て、その上で判断するべき。彼はその過程をおろそかにしようとしていました。
友人が購入を急いだ背景とは
一見して、どこにでもある、特徴のない分譲住宅であることは確かでしたから、「分譲住宅の善し悪しを判断するポイントってこんなところにあるよ」などと一通り説明。さらに私がこれまでに書いた記事も紹介しました。ちなみに記事についてはこちらをご覧ください。このほかのアドバイスとしては、「別にすぐ近くでなくてもいいじゃない。周りにある少なくとも10件くらいの分譲住宅を見てからでも遅くないよ」と話しておきました。それに対して、「特に急いでいるわけではないんだけど」と彼は言っていました。
最近は、親元の近くに住む「近居」のニーズが高まっていますが、別に他県や他の市内に住むわけではないのです。彼は、クルマの販売会社に勤めていてもちろん運転ができますから、クルマで30分以内に範囲を広げれば、より良い分譲住宅の選択肢は広がるはず。
しかし、彼は遅いと判断したようです。というのも、不動産会社から「早く購入を決断しないと売れてしまいますよ」とせかされたとのことです。不動産会社のよくあるセールストークで、今の時代あまりありえないことですが、彼はまんまとそれにはまっちゃったみたいです。
まぁ、真相は今となっては不明ですが、このような過程で彼は住宅取得の決断をしたわけです。くどいようですが、それ自体は別にいいのです。問題は、これから20年、30年後にこの決断が本当に正しかったのかと彼が思わなければいいな、と思うのです。
友人のケースには私たち消費者が陥りやすい典型的なことが見えてくるように感じます。次のページで説明します。