株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

株式市場の暴落局面は終了したのか?

1月22日(金)の日経平均は+941円と、急反発。しかし、前日比で出来高を減らしての上昇であり、今のところは長期下落トレンドの中での短期的な反発の位置づけと見る方が自然で、油断はできないと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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ようやく反発した株式市場ですが、油断はできない

急反発した株式市場。しかし、まだまだ油断はできない状況だと思います

急反発した株式市場。しかし、まだまだ油断はできない状況だと思います

2016年第3週の世界の株式市場は、ようやく年初来で初めての反発週となりました。米国のニューヨークダウは+0.6%の上昇、ナスダック総合指数は+2.29%の上昇となり、欧州株も概ね週間で2~3%高と反発しました。週中まで弱い地合いが続き、1月20日(水)にはニューヨークダウが一時565ドル安、原油価格もその時点で週間11%安となる$28ドル割れとなったのでしたが、終値では下げ幅縮小し、長い下ひげを形成していました。

そして大きく下に突っ込んだこのタイミングで、1月21日(木)のECB(欧州中央銀行)会合後の会見で、ドラギ総裁が追加緩和を示唆しました。得意の口先介入がまたも功を奏したのかは不明ですが、下がりに下がったところであっただけに、売り方の買い戻しを促すきっかけとなり、週末は各国株式市場、商品相場とも大幅高で終える事ができました。

ただし出来高を下げての上昇であり、いまのところ、あくまで下落局面の途中に出た一旦の反発にすぎません。ナスダック総合指数は50日移動平均線、200日移動平均線からともに約10%下に乖離したところで反発しました。2011年や昨年夏場の暴落時も、大体これに近い位置で反発したのでした。個別銘柄では2015年来の最安値をつける銘柄続出で、1月20日はナスダック、ニューヨーク証券取引所合わせて1,900を超える銘柄が新安値をつける異常事態ともなりました。一方、昨年来高値を取る銘柄は日々数銘柄程度に留まっています。

買いはフォロースルーを確認してから

一方、2016年第3週の日本株も続落とはなったものの、1月22日(金)の日経平均は+941円という大陽線で引けています。その上昇幅は2015年9月9日に21年7ヶ月ぶりの大きさを記録した1,343円高以来のもので、その時と同様、暴落相場途中に出る一時的な反発と思われます。2015年9月も月末まで下落相場は続き、大幅反発後も平気で700円安や500円安などあり、まだ予断を許さない状況です。また、日経平均は2015年高値から一時▼23.6%下がっており、高値から▼20%以上下落しておりますので、一般的な定義上もベアマーケット(弱気・下落相場)入りしたことになります。200日移動平均線も下に向かっており、長期下落トレンドを示唆しています。

このような相場状況の中では基本的には手出し無用と思います。なぜ今手を出さない方がいいかと言いますと、底が全く分からないからです。確かに1月22日(金)の大幅高前日には、明らかに大底を示すシグナルが多数出ていました。しかし、2015年までなら反発したシグナルは1月12日にも、そして1月15~22日でも出ています。つまり、2015年までなら、どこで買ってもボトム・フィッシングと言えた日が続いたわけですが、結果は22日のみ反発しました。長期下落トレンドに入れば、そのような底打ちシグナルは全く役に立たなくなります。

ちなみにリーマンショック後はあり得ない下げ位置からさらに何倍も下がっていました。長期下落トレンド中は、状況によって底は幾らでも深くなり、ここで必ず底打つと言える日はないのです。今はリーマンショックとは違うと思われるかもしれませんが、米国の石油関連株の下がり方は、リーマンショック時の相場を超えています。

買いを入れるのは、たとえば、米国のFRBが金利上昇ラウンドの中止を示唆したり、日銀や欧州中央銀行が追加金融緩和を発表するなどして状況が一変し、出来高を増しての上昇があり、その後の反落で直近安値を下回らずに、更に出来高を増して上昇する、いわゆるフォロースルーを確認したあとで良いと思います。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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