株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

2015年は「資源安」、2016年の投資のトレンドは?

2015年のトレンドは「資源安」でした。一方、2016年は資源安や中国株安が材料となって危機的な状況が起こりやすい一方、各国の金融政策次第では急騰もあり得えます。あえて言えば「ボラタイル」がトレンドでしょうか

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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2015年のトレンドは「資源安」

今回は2015年の金融市場の状況を確認し、2016年のトレンドと注意すべき点を見ていきたいと思います。2015年の主な株価指数、資産別の騰落状況をまとめますと下図のようになります。 各国の株価指数に関しては、S&P500指数のほぼ0%(-0.7%安)を中心に、概ね一桁台のプラス、マイナスにばらけました。原油安メリットもある先進国株が比較的堅調で、新興国やカナダ、ブラジルなどの資源国に下げ目立つ格好です。一方、下図をみてもわかるとおり、とにかく資源価格の下落が目立っており、2015年は資源安が最大のトレンドでした。原油や天然ガスだけでなく、金属、そして穀物価格も金融危機以来の安値をつけています。
2015年は資源安がトレンドだった

2015年は資源安がトレンドだった

これまでの金融市場の流れを確認すると、2008年から米国が大規模量的金融緩和政策という、かつてない政策で景気を立て直そうとしたところ、低金利で調達できる米ドルが大量に発生し、これが高いリターンを求めて、新興国や資源、その他の大規模開発に流れ込みました。これに加え、同じく2008年から行われた中国の4兆元の大規模景気刺激策を初めとする各国の景気刺激策によって、世界の至る所で大規模な投資が行われました。これが現在の供給過剰に繋がっています。

更に、商品価格と反相関の動きとなる米ドルの上昇や米国の利上げ開始に伴う米国への資金の環流、景気刺激策の効果が切れたことに伴う、世界経済のスローダウンによる需要減少が加わることで、CRB指数(米国の商品先物取引所等で売買されている価格から算出される国際商品先物指数)は金融危機後の安値を大きく下回るような状況となっています。
CRB指数は金融危機後の安値を割り込んで下落が続いている

CRB指数は金融危機後の安値を割り込んで下落が続いている

2016年のトレンドは「ボラタイル」!?

2016年は激しく揺れ動く相場になりそうです。しかし、そういう時だからこそチャンスもあります

2016年は激しく揺れ動く相場になりそうです。しかし、そういう時だからこそチャンスもあります

さて、2016年の株式市場は世界同時株安からのスタートとなりました。世界同時株安の震源地はまたも中国で、2016年より導入されたサーキットブレーカー制度が、1月4日(月)の初日からCSI300指数(上海と深センの大型株300銘柄構成)が7%下落して発動。また人民元安も進み、同国からの資本流出懸念も出ています。

年始から日本株急落! 今後の株価の見通しは?でも書きましたが、現在の中国経済の苦境や世界の株式市場の脆さは、前述の米国の大規模量的金融緩和政策や中国の4兆元の景気刺激策の反動でもあります。資源価格については世界中が一気にアクセルを踏み、巨額の投資が行われて供給過剰状態となる一方、景気刺激策の効果が切れての需要減が重なって資源価格下落につながりました。

更に、ここに来て米国は利上げに転じてきました。安いドルを調達して中国を初めとした新興国や資源株、資源企業への投資に向かっていた資金が、米国に環流することになるわけですが、前述のように物の値段が下がって資源企業や資源国は苦しい状態です。また、人民元をドルに連動させることで資金流出を回避してきた中国もドル高に連動した人民元高で、輸出に悪影響が出て経済が苦しくなっており、ドルに人民元を連動させ続けるのは苦しい状況です。実際、中国は12月に通貨バスケット制への移行を発表し、人民元は大きく下落しています。今後、新興国の通貨安競争は一段と激しくなる可能性もあります。つまり、新興国や資源株、資源企業から資金は一層逃避しやすい状況であるわけです。

このような状況の中で、破綻やデフォルトなどが発生して、株価が更に大きく急落するリスクは十分あります。もっとも、一時的に暴落が起こったとしても、日本や欧州の追加金融緩和や、米国が利上げペースを緩めれば、大きくリバウンドする可能性があります。足元の状況を見ても、現在は世界的に株価が急落していますが、1月下旬には米国のFOMC、ECB金融政策会合、日銀金融政策決定会合が控えており、そこから発信される内容次第では短期間で相場の風向きはガラッと変わる可能性も十分にあるわけです。

2016年の予想をあえて一言で言えば「ボラタイル」(相場の値動きが激しいこと)ということになるのではないかと思います。しかし、値動きが激しい相場だからこそ、チャンスもあるはずです。慎重に買い場や売り場を探って行きたい年になる、とも言えるでしょう。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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