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不発の黒田バズーカ、何が失敗だったのか?

15年12月18日(金)に日本銀行は「追加緩和の補完措置」としていくつかの小規模な追加緩和策を発表。しかし株価は乱高下の末に下落。政策発表は不発に終わったわけですが、何がいけなかったのでしょうか?

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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不発の黒田バズーカ、何が失敗だったのか?

黒田バズーカ不発!?一体何があったのか!?

黒田バズーカ不発!?一体何があったのか!?

15年12月18日(金)に日本銀行は、「追加緩和の補完措置」として、いくつかの小規模な追加緩和政策を発表しました。主だった具体的な内容を書きますと、ETF(上場投資信託)の新規枠設定、長期国債の買い入れの残存期間の長期化、J-REITの買い入れ限度枠を5%から10%に拡大、適格担保の拡大(住宅ローン債権、外貨建て証書付債券を追加)などの内容です。

しかし、株式市場は発表後、ややトリッキーともいえる値動きとなりました。12月18日(金)の日経平均は、日銀の金融政策発表前に、前場で一時前日比▼150円ほど下げ、そこから発表直後に前日比+500円超まで急騰したものの、その後は急激に下落して前日比▼366円で終わりました。一日の値動きの幅は1万9869円から1万8982円まで、実に887円に及びます。

発表の遅れ、誤解、アルゴリズム暴走

このような株価の値動きとなった結果、黒田バズーカの不発ともいわれますが、実際には違うと思います。まず、今回の発表は飽くまで補完措置ですから、前回の追加緩和とは明らかに違うもので、黒田バズーカ第3弾ではないのです。実際のところ、日銀HPのタイトル記載も前回の追加緩和の時のタイトルとは異なるものでした。

ではなぜ、このような事態になってしまったのでしょうか? 結局のところ、不運が重なってしまったものと思います。まず、今回は通常後場の寄り付き(12時30分)前に「現状維持」と発表されるものが12時30分を過ぎても発表がなかったため、発表前の段階から「追加緩和第3弾」への思惑買いで金融株が上昇していました。

そして前述の政策が発表されると、(発表が遅れて期待が高まっていたこともあり)「ETF(上場投資信託)の新規枠設定(年3兆円の増額から年3兆3000億円の増額に変更)」という部分に注目が集まり、瞬間で買いが入って株価が上昇。そして、自動売買におけるアルゴリズムがこの短時間の急変に反応して買い上がり、結果として過去の追加緩和発表と同様の急騰ぶりとなったのではないかと思います。

しかし、実際には今回の発表内容はあくまでも補完措置であり、特に注目されたETFの買い入れ年3000億円増額については、実は実質的には相殺されて効果がないものでした。というのも、日銀は、過去に金融不安を防ぐために金融機関から買い取り、保有していた株式の売却を、予定通り2016年4月から年3000億円規模で売却するという発表も同時に行ったため、結局、相殺されて実質的な買い入れ額の増額はゼロになってしまうのです。まるで偽物のサンタクロースが登場し、観客のボルテージがあがったところで、すぐに偽物であることが判明したような感じです。そして、急騰したところから売り叩かれて、今度は売りのアルゴリズムが作動して、結局大幅安で引けたというのが実際のところと思います。

来年こそ本物の黒田バズーカ第3弾に期待

今回の補完措置は内容としては別に悪い内容ではなかったと思うのですが(確かに第3弾だったら不十分な内容ですが、そうではないので)、発表がやや遅くなったことと、「ETF(上場投資信託)の新規枠設定」という記載が勘違いされたこと、そして自動売買のアルゴリズムの暴走という不運が重なってしまい、不発という受け取られ方になってしまったのだと思います。伝え方次第では、相場にあまり影響を与えなかった(むしろプラスに影響できた)可能性もあるのではないかと思います。

もっとも、今回の発表が黒田バズーカ第3弾ではありませんでしたから、来年にかけて、今度こそ本物の第3弾の発射を期待できるところでもあります。

参考:日本株通信

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