決裂したその日にすかさず再オファーを出したマリナーズ
マリナーズからFA(フリーエージェント)となっていた岩隈久志投手(34)が急転直下の残留となった。12月6日(日本時間7日)にドジャースと3年総額4500万ドル(約55億円)で合意したと報じられた。ド軍の身体検査を受け、12日(同13日)にも正式発表が行われる予定だったが、発表がなく、16日(17日)に破談が判明。米メディアによると、身体検査の結果、今季右広背筋を痛めて約2カ月半離脱したことなどを不安視し、2年契約への短縮を含む見直しを迫ったとみられ、決裂した。
大リーグでは身体検査後に合意が撤回されることは珍しくない。2013年にマイク・ナポリ内野手がレッドソックスと契約した際には、3年3900万ドル(約47億6000万円)で合意したが、腰に問題があると判明して破談。ナポリ側は大幅に譲歩して、1年500万ドル(約6億1000万円)で入団した。日本人選手では、2011年にヤンキースとマイナー契約で合意した岡島秀樹投手が身体検査で問題を指摘され、日本のソフトバンク入りした例もある。
マ軍は、岩隈側とド軍が決裂したその日にすかさず再オファーを出した。「真っ先に連絡をくれた」古巣に岩隈は感動した。しかも、オファーの内容は悪くない。契約ボーナス100万ドルに2016年の基本年俸1000万ドル、16年に162イニングを投げれば翌17年に年俸1400万ドル、17年も162イニングを投げるか、2年間で計324イニング以上投げれば18年の年俸1500万ドルが保証される。さらに各シーズンで150イニングから190イニングまでの10イニングごとに出来高が付く。
満額ならば、ド軍と合意していた3年4500万ドル(約55億円)を上回る3年総額4750万ドル(約58億円)を手にすることができるのだ。
チームメートからは「待っているよ」というメールが
岩隈は18日(同19日)に行われたシアトルでの会見で、まず「ハロー、エブリワン! ザ・ベア(クマ) イズ バック イン シアトル」と英語で喜びを表現した。そして、「一番必要とされるところでプレーしたいという思いがあったので、(マリナーズの)熱意、愛を感じてここでプレーしたいなという思いで決めました」と残留理由を語った。さらに、マ軍のチームメートから「待っているよ」という再契約を歓迎するメールをもらったといい、「このシアトルで戦う使命があると感じることができたので、来シーズン期待に応えられるようなピッチングをしたい。プレーオフ、ワールドチャンピオンを目指して頑張りたい」と力強く目標を口にした。
同学年でプライベートでも仲がいい青木宣親外野手(33)がジャイアンツからFAでマ軍へ移籍してきて、来季はチームメートとなる。「ノリと一緒にプレーできることは嬉しい」と強い味方を得た岩隈の右腕に注目だ。