途方もない時間をかけて大自然が創りだした驚異の景観に息を呑む
死ぬまでに1度は行きたい! と願う絶景は世界にも日本にも沢山ありますが、石川県にも金沢の兼六園や能登の白米千枚田、聖域の岬など世界に誇る絶景が点在しています。中でも今回ご紹介する加賀地方にある彼の松尾芭蕉を魅了した太古の海底噴火の跡と伝えられる奇岩霊石がそそり立つ遊仙境を有する那谷寺と砂岩の浸食によって形成された北陸随一の渓谷美を誇る鶴仙渓はまだあまり知られていない大自然が長い年月をかけて創りだした神秘の景観。
どちらも金沢から約1時間と金沢からの日帰り旅行や小トリップにぴったりな上、加賀は北陸を代表する伝統の温泉地が集まるエリアでもあるので、温泉で心身ともに癒されながら、美しい絶景に酔いしれてはいかがでしょうか?
四季折々に多彩に表情を変える山水画の世界に目も心も奪われて
古来、縄文時代より神まつりの霊地だった那谷寺。寺としての歴史は奈良時代初期の養老元年(717年)、泰澄法師が岩窟内に千手観音像を安置し「自主山厳屋寺」と名付けたのが始まりとされ、その後平安時代中期の寛和2年(986年)に花山法皇が行幸された際、法王が求めていた観音霊場三十三ヶ所すべてがここにあるとのことから西国三十三ヶ所の第1番・那智山の「那」と第33番・谷汲山の「谷」を取って「那谷寺」と改められました。
23ヘクタールにも及ぶ境内には本堂(本殿・大悲閣拝殿・唐門)を始め、三重塔、鐘楼など国指定重要文化財と名勝が点在し、奇岩遊仙境を中心とした自然溢れる絶景は松尾芭蕉もその景観に感嘆し、「おくのほそ道」で“石山の石より白し秋の風”と詠んだほど。
春には桜、初夏にはツツジ、冬には雪吊りと四季折々に様々な表情を見せる那谷寺ですが、特にイロハモミジ、ヤマモミジ、ハウチワカエデなど13種類の木が紅葉する秋は燃えるような紅やヴィヴィッドな黄色、目が眩むようなオレンジが白い岩肌と見事なコントラストを成し、観音浄土浮陀落山も斯くやというほど美しく、最もおすすめの季節です。
■高野山真言宗別格本山 那谷寺
住所:〒923-0336 小松市那谷町ユ122
TEL:0761-65-2111
拝観時間:3月~11月8:30~16:45 / 12月~2月8:45~16:30
休門日:無休
拝観料金:中学生以上600円 / 小学生300円
※特別拝観(重要文化財指定の書院&庭園)は一般拝観料+200円(幼児・小学生無料)