資産運用する人の確定申告の注意点

資産運用で確定申告をした方がよいケース

資産運用で確定申告をした方がよいケース

初めて資産運用を開始する人が金融機関で口座開設手続きを進めると、最初に必ず戸惑うことがあります。それは、株式投資や投資信託の取引口座にも種類があるということです。

ファイナンシャル・プランナーとして資産運用に初めて取り組む人のサポートをする時も、まず最初にこの質問を受けます。

「一般口座と特定口座どっちがいいんですか?NISAも使った方がいいんですか?」

今回は、資産運用に関する口座の違いを確認していきましょう。
そして、年末に話題となる確定申告についても、申告をしたほうが良い3つのケースを紹介します。

資産運用をするための口座の種類

株式投資や投資信託の取引をする口座には、一般口座と特定口座があります。 投資に慣れていない人や出来るだけ手間をかけたくない人にお勧めなのが、特定口座(源泉徴収あり)です。

特定口座にも種類がありますが、一番手間がかからないのは、源泉徴収ありの特定口座です。これは、金融機関が年間の損益を計算してくれて、納税もしてくれます。つまり、個人では何もする必要がありません。確定申告も不要ということです。

一方の源泉徴収無しの特定口座とは、年間の損益は金融機関が計算してくれますが、納税は自分で行います。金融機関から送られてくる「特定口座年間取引報告書」を使って、個人で確定申告をすることになります。この源泉徴収無しの特定口座は、複数の金融機関で取引をしているケースやご自身で確定申告をすべきかどうか年末に判断をしたいという人にはお勧めです。

一般口座とは、年間の損益状況を自分自身で計算しなくてはいけませんし、納税の必要があれば確定申告も自身で行う必要がある口座です。一般口座を選択するメリットは現状ではありません。

NISA(少額投資非課税制度)とは2014年から開始された利益に対する税金がゼロになる口座です。投資できる金額は年間120万円(2015年までは100万円)までという上限がありますが、非課税で投資できるメリットは大きいので投資をするのであれば、利用した方がよい制度と言えるでしょう。

必ず確定申告が必要なケースとは

本来は、株式や投資信託の売買によりその年に利益を得た人は確定申告が必要です。NISA口座で取引しているケースは利益に対する税金が非課税なので、申告は不要です。それに、源泉徴収ありの特定口座を利用しているケースも税金の計算と納税が源泉徴収で完了しているため、個人で確定申告をする必要はありません。

一方で、一般口座や源泉徴収なしの特定口座で取引している場合は、基本的に確定申告が必要です。ただし、収入2000万円以下の会社員など給与所得者で給与以外の所得が20万円以下であれば申告を不要とすることができます。

確定申告をすることによってメリットがあるケース1

複数の金融機関で取引をしている場合は確定申告により税金の還付を受けられることがあります。

本来は、源泉徴収ありの特定口座での取引は、自動的に税金が引かれるので確定申告は必要ありません。ただし、儲けた金融機関と損をした金融機関がある場合、確定申告で損益通算(利益と損失の差し引きをして相殺すること)ができます。損益通算の確定申告をすることによって、儲けた金融機関で差し引かれてしまった税金が戻ってくることになります。

確定申告をすることによってメリットがあるケース2

損をしてしまったケースも、確定申告をすると次の年の節税になることがあります。株式や投資信託などでの損失は翌年以降3年間繰り越せます。損失を繰り越すとは、翌年以降利益が出たときに利益から繰り越した損失を差し引くことが可能です。つまり、翌年以降利益が出ても、繰り越したそれまでの損失分を引くことによって、税金計算上の利益が減り、支払う税額を減らすことができます。これを「損失の繰越控除」といいます。なお、損失の繰越控除は「源泉徴収ありの特定口座」でも確定申告をすることによって可能です。

確定申告をすることによってメリットがあるケース3

仕事をしていない、年金も受け取っていない専業主婦など収入が無い人で、株式や投資信託の売買による所得が38万円までの場合には、源泉徴収された税金を取り戻すことが可能です。

年間を通じた所得が、源泉徴収ありの特定口座における譲渡所得等のみで、基礎控除額である38万円以下の場合は、確定申告をすると源泉徴収された所得税が還付されることになります。

確定申告をすることによるデメリット

譲渡所得(売却益)や配当所得などを確定申告すると、それらの所得は原則として合計所得金額に加算されます。このため、確定申告をすることで受けられるメリット(節税額や取り戻せる税金の金額)以上に増税や社会保険料アップにつながってしまうケースもあるので注意が必要です。

また、本人だけでなく家族が確定申告する場合も同様に注意が必要です。配偶者や扶養親族が確定申告任意の所得について確定申告すると、合計所得金額が増える結果、配偶者控除や扶養控除の適用が受けられなくなることもあります。

実際に確定申告をする前に、シミュレーションを行ったり、税務署や税理士などに相談することをお勧めします。

資産運用を行っている人も取引の状況によっては確定申告をすることで差し引かれた税金を取り戻したり、翌年以降の納税を少なくすることが可能です。

確定申告をすることによるデメリットも考慮しながら、もう一度この1年間の取引を振り返ってみましょう。


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