新時代のborn to be wild.
最高峰のエンジンのパワーを余すところなく味わい尽くせる“史上最凶のハーレー”の呼び名が高いFLSS ソフテイルスリムS。街中を走り出しての中低速でのライディングは、悪くはないものの、「あれ?こんなもの?」という印象でした。確かに2~3速でスロットルだけを捻りながら回せばほどよいパワーでクイックに走れるものの、もっと強烈なパワーで振り回されることを期待していた者としては、少なくない肩透かし感が。
高速道路に乗ってからのハイウェイライドでも、どこか物足りない。5速、6速とミッションチェンジするにつれて速度域があがってくるのですが、以前のソフテイルスリム(ツインカム96Bエンジン/排気量1,584cc)をしのぐパンチ力や爆発力があるかと言われると、そこまでのインパクトは感じないのです。
その理由は明白で、日本とアメリカの排気ガス規制の違いによるパワーセーブなのです。日本の排ガス規制値が世界的に厳しいのは有名ですが、アメリカから入ってくる輸入車は押し並べて日本の規制値に対応したセッティングに変えられることになります。結果、本来のパワーを発揮しきれない設定になっているわけです。
その力強さが魅力のハイパワーモデルなだけに、規制によるパワーセーブ度合いは顕著に出てしまいます。ただ逆に考えれば、アメリカ本来のセッティングに戻してやれば、それだけ発揮できるパワーの余地が残っている何よりの証拠でもあるのです。そういう意味では、手に入れられたオーナーだけが、その極上のライディングフィールを味わえるということなのです。
かつて、1969年に公開されたモーターサイクルムービーの金字塔『イージー・ライダー』によって、ハーレーダビッドソンは全世界にその存在を知らしめ、多くの人に“自由を掲げるアメリカの象徴”として憧れられるようになりました。そこに登場したチョッパーハーレーの代名詞となった「キャプテン・アメリカ号」がもっとも印象に残ったハーレーらしいスタイルでしたが、今回登場したFLSS ソフテイルスリムSは、モアパワーを求めつつも伝統のスタイルを忘れないアメリカらしさが取り入れられた、現代のハーレーダビッドソンを象徴するモデル。まさに“新時代のborn to be wild(ワイルドに行こうぜ!)”と言えるでしょう。
[HARLEY-DAVIDSON FLSS SPECIFICATIONS]
全長/2,345mm
全幅/970mm
全高/1,080mm
ホイールベース/1,635mm
加重時シート高/650mm
車両重量/321kg
エンジン型式/Screamin’ Eagle® Twin Cam 110B™
排気量/1,801cc
フュエルタンク容量/18.9L
フロントタイヤ/MT90 B16 M/C 72H
リアタイヤ/MU85 B16 M/C 77H
【メーカー希望小売価格】(消費税込/2015年12月現在)
[ビビッドブラック] 245万円
[オリーブゴールドデニム] 248万5000円