伝統スタイルを重んじるダーティなハーレー FLS ソフテイルスリム

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム

大きなフューエルタンクに極太前後タイヤと、オートバイの取り回しに慣れていない方からすれば、すでに重そうな FLS ソフテイルスリム。「一体どこがスリムなんだ」という声が聞こえてきそうですが、初めてこのモデルを目にし、かつ乗った際、あまりの軽やかさにちょっとした感動を覚えたほどです。というのも、このソフテイルファミリーのラインナップには、さまざまな装備を備えた FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシックやディッシュホイールという特殊なホイールを備えた FLSTF ファットボーイなど、伝統的なスタイルを重んじるあまり、取り回しやすくするための軽量化という選択肢はほぼ取られてきませんでした。

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム

まるで悪口のように聞こえてしまうでしょうが、ハーレーダビッドソンの各モデルには、他メーカーがもっとも重視する“オートバイとして軽くしてやる”、いわゆる軽量化という考え方が希薄です。現ラインナップでもっとも軽いスポーツスター XL1200X フォーティーエイトで車重が250kgと、「できるだけ200kgを切るように」と腐心する他メーカー開発陣が聞いたらビックリする重さです。このソフテイルスリムも、ソフテイルモデル中ではもっとも軽量ながら、その車重はというと318kgにも及びます。この数字だけ見れば、誰がどう聞いても重量級モデルです。

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / レフトビュー

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / レフトビュー

当然ながら、オートバイはなるべく軽い方がいいに決まっています。しかし、ハーレーダビッドソンというモーターサイクルの基本概念は他メーカーと一線を画しています。重心を低く保ち、絶妙のディメンションでその重量を感じさせない取り回しを生み出すところに意義があるのです。111年という歴史が生んだ“ロー&ロング”という、もっとも美しいとされるスタイルを象りつつ、扱いやすさに対するアプローチも忘れない。そこがハーレーダビッドソンの各モデルの魅力なのです。

FLS ソフテイルスリムは今流行りのボバースタイル

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / ライトビュー

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / ライトビュー

この FLS ソフテイルスリムは、前述したとおり、ソフテイル中もっとも軽量なモデル。カンパニーが目指したスタイルは、カスタムシーンで流行とされるボバースタイル。いわゆるビンテージレーサーのことを指し、このスリムはハーレーの伝統的スタイル“FL”をベースとしつつ、無駄を削ぎ落としたチョッパー型ビンテージレーサーというわけ。それで必然的に車重が軽くなっているのです。チョッパーの語源は、チョップする(削り落とす)ですからね。

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / フロントビュー&リアビュー

ハーレーダビッドソン FLS ソフテイルスリム / フロントビュー&リアビュー

フロントマスクやタンクのゴツさから、かなりおデブちゃんなイメージを持たれがちなスリムですが、よくよく見るとリアタイヤが実に細長い。サイズは150mmと、スポーツスターと同じ幅なんです。FXSB ブレイクアウトの240mmなど、極太タイヤが増えつつある現ラインナップにおいて、まったく真逆に向かっているスリム。ちょっとオートバイに詳しい方なら、細くて長いリアタイヤが“ビンテージスタイルのスポーツバイク”のディテールであることに気づかれるでしょう。目指したテーマに沿ったのはもちろん、オートバイとしての扱いやすさを考慮したポイントと言えます。

そんなソフテイルスリムの乗り心地は、というと……正直、「これがビッグツイン?」と驚かされるほどスポーティで軽やかだったのです。そのインプレッションを次ページにてご紹介しましょう!