トリディオンセーフティセルとRRレイアウトを踏襲
新型スマートは吸気バルブ可変コントロールなどを搭載した1.0L直列3気筒の直噴ガソリンに、6速DCT「twinamic」を組み合わせたもの。このDCTは擬似クリープがなく、2ペダルだがDCT本来のMTに近い操作性が特徴だ。
もちろん、マニュアル操作も可能なDレンジが用意されるほか、ECOモード、SPORTSモードの切り替えもできる。軽自動車よりもはるかに小さなボディの割に940kgという車両重量は重めだが、街中ならECOモードでもとくに加速に不満はなく、むしろ6速DCTの変速が現在ではやや大きめに感じる程度。
SPORTSモードにすると活発な走りが楽しめるから、首都高速あたりを元気に走り回ることもできそうだ。RRレイアウトらしく後方に主な騒音源があるため、エンジン音などもそれなりに伝わってくるが、良く取ればスポーティな印象と受け取れるし、難点と言えばそうかもしれない。
期待以上の驚異的な小回り性能!
1875mmという短いホイールベースから想像できるように路面によっては跳ねるような乗り心地もあるが、これだけ短い全長とホイールベースの割にはかなり健闘している印象で、音対策も先述したエンジン音以外はかなり遮断されている。ただし、もう少し速度の高い領域でどうなるか分からないが、街中なら十分に納得できるのではないだろうか。
また、操縦性はフロントが軽く、アクセルを踏み込むとリヤにグリップが掛かるRRらしさは先代同様で、独特の軽快感を味わうことができる。そして、smart fortwoの大きな魅力である小回り性能は期待以上。
車外からデモンストレーションを見学した後に、実際にUターンなどを数回してみると感覚的にはCセグメント車の半分くらいのスペースがあれば転回できそうなほど。最小回転半径はわずか3.3mだから、実際には半分ではないのだが、大きなモデルでは躊躇しそうな場所でも取り回しが楽なのは同モデルを選ぶ理由のひとつになりえるほど。
大人2人にちょうどいい空間
トリディオンセーフティセルというボディ構造に包まれたキャビンは、先代同様にアップライトなシートポジションで、大人2人が無理なく座れる頭上空間とシート幅、そしてシート間の余裕が感じられる。
smart fortwoは上下分割式のテールゲートを採用し、荷室容量の260Lは普段の買い物なら対応できるものとなっている。ガラスハッチも採用するので狭い場所での開閉も楽だ。
なお、4人乗りのsmart forfourは、後席はそれほど広くはないものの、身長180cmくらいまでなら窮屈な姿勢にならず、普通に座れそう。こちらは通常の上開き式リヤゲートで、通常時は185Lとfortwoよりも狭いが、後席両側を倒せば730Lまで拡大。
smartは走りや使い勝手も気になるところだろうが、あまりクルマに詳しくない人にはデザインやツートンのカラーリングによる存在感が目を惹き、smartという存在を知っている人にとってはブランド力や、アイコン的なモデルともいえる。
逆に、200万円の予算があれば日本の軽自動車を買えばいい、という人には見向きもされないだろうが、それだけはイヤという人にとっては、輸入コンパクトカーのライバルであるup!やFiat500、MINIあたりと比べてどれにするか悩ましい選択肢なのは間違いないだろう。