iOS 9で引き出されるiPad Proの真価

iOS 9では、iPadシリーズ向けの新機能として「Slide Over」や「Split View」が搭載されました。

Slide OverとSplit Viewは、ひとつのアプリが全画面を占有していたところに、一部分か半分の領域を別のアプリと分け合う機能です。iPad Pro が出るまでは、Slide OverはiPad Air以降とiPad mini 2以降、Split ViewはiPad Air2とiPad mini 4でしか利用ができない機能でした。

タブレットの画面は表示装置と操作装置を兼ねているので、これらの機能を有効活用しようとすると、画面サイズが大きいに越したことはありません。となれば、iPad史上最大の画面サイズのiPad Proが最も有利で、そのために用意された機能と言っても過言ではないでしょう。

iPad ProとiPad mini。iPad miniは、iPad Proの画面半分程度の大きさ

iPad ProとiPad mini。iPad miniは、iPad Proの画面半分程度の大きさ


たとえば、iPad Air2でSplit Viewを使っても、分割された一方の表示領域が小さすぎて実用的ではありません。しかし、iPad ProではiPad mini以上の表示領域になるので、Safariでウエブページを表示したまま、もう一方でメールを書くと言った使い方が可能です。

Split Viewで画面を分割してもiPad miniよりも多く表示できる

Split Viewで画面を分割してもiPad miniよりも多く表示できる


また、大画面を活かすためかiPad Proのソフトウエアキーボードには、数字キーが追加される改良が行われています。これまで、数字を入力する時は入力モードを切り替える必要がありましたが、その必要がなくなりました。

キートップとキーピッチも、フルキーボードと遜色のないサイズになっています。感触が得られないのでハードウエアキーボードと同じように使えるとは言えませんが、入力時のストレスが軽減されました。

ソフトキーボードは、フルキーボードと同等の大きさ

ソフトキーボードは、フルキーボードと同等の大きさ


キーボードのアップ。大きさが分かるだろうか

キーボードのアップ。大きさが分かるだろうか


これらの要素から、iPad はコンテンツを消費するための端末から、コンテンツを作り出すことが可能な端末となり、活用の幅が広がりました。これを支えるのがiOS 9で追加されたSlide OverやSplit Viewなどの新機能です。iPad Proの真価は、こうした機能によって引き出されているとも言えます。

能力を活かせるかどうかは、アプリの対応次第

ただ、現時点でiPad Proが最高かつ最強のタブレットであるとは言い切れない部分があります。その不安材料は、今後の対応アプリの数です。

たとえば、アプリがiPad Proに対応していないと画面解像度を活かすことができません。未対応のアプリは、全体的に引き延ばされた感じで文字が大きく表示されます。iPhone 6 Plusが発売された直後は、対応アプリが少なく文字が大きく表示されるアプリがあり、「らくらくフォンのよう」と比喩されたことがありました。iPad Proの非対応のアプリも同じような状況です。また、先で紹介したSlide OverやSplit Viewも、アプリ側の対応が必要になります。

これは一時的なもので、時間の経過とともに解消されていくはずですが、iPad Proの購入を検討されているのであれば、お気に入りのアプリがiPad ProやiOS 9に対応しているのか確認しておくのも良いでしょう。

iPad Proであれば、Split Viewで画面を分割してhuluを見ることもできる

iPad Proであれば、Split Viewで画面を分割して、ピクチャ・イン・ピクチャでhuluを見る、なども可能


単なる大きなタブレット?iPad Proがもたらすもの

iPad Proの大きさは慣れるのに少し時間がかかりますが、これが当たり前になれば良さが見えてきます。表示装置かつ入力装置のディスプレイは、大型化されたことで表示できる情報量が増えただけではなく、操作範囲も増えて楽に操作ができるようになりました。
iPad ProとApple Pencil

iPad ProとApple Pencil


しかし、こうしたことは表面的なことで、本当の価値は別の部分にあります。

iPad Proには、外付けキーボードの「Smart Keyboard」やスタイラスの「Apple Pencil」の周辺機器が用意されており、ノートPC・ペンタブレットの代わりになるのではと考えてしまいます。これは悪いことではありませんが、いまある道具と同じ価値が得られるかを値踏みしたのでは、本当の良さは見えません。

これまでのiPhone・iPadがコンピューターとの距離感やライフスタイルを変化させたように、何か大きな変化のキッカケを与えてくれたときこそ、iPad Proの真価が発揮されたと言えるでしょう。

iPad Proは、次の5年を創造するために送り出された新しい製品です。iPadがこれまで浸透しきれなかった福祉や教育、食などの分野へも、iPad Proをキッカケに浸透する可能性は十分に考えられます。また、身近なところでは、PCはプロの道具となり、多くの人が使うコンピューターはiPad Proのような製品になることで、PC特有のトラブルに悩まされることがなくなり、もっとシンプルな付き合い方になる可能性も考えられます。

筆者は、iPad Proの大きさは可能性の大きさだと感じています。

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