前田の投球にメジャーの15球団が熱視線
複数の球団が広島の前田健太に注目をしている。
負けたら終わり。プレッシャーのかかる決勝トーナメント初陣である準々決勝のマウンド。日中の気温は30度を超す熱い台湾。しかし、前田は涼しい顔で変化球を散らし、強力打線を翻弄した。前田にとってプエルトリコは因縁の相手。2013年の第3回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準決勝、プエルトリコ戦に先発し、5回1失点ながら、チームは敗れた。
「負けられない戦いだった。(海外で)日本と同じ環境にするより、その環境が慣れることが大事。そのことを前回のWBCで学んだ」
まるでメジャーで投げることを意識しているような発言。その証拠にネット裏にはメジャー15球団のスカウトが熱い視線を送った。今オフにポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー移籍の可能性のある右腕に対し、ダイヤモンドバックス、オリオールズ、レッドソックス、カブス、ヤンキース、ドジャース、ジャイアンツの7球団がとくに興味を持っているといわれている。
先発枠を空けて「マエダ」にラブコール
なでもご執心なのは、ダイヤモンドバックスだ。メジャー通算168勝を挙げたかつての名投手、デーブ・スチュアートGМは、「アイ・ラブ・マエダ! 彼には、日本で得た成功と同じくらいの成功を米国でも期待できる」と最高の評価をし、14日(日本時間15日)には、2011年の新人王で今季9勝12敗の先発右腕ジェレミー・へリクソン投手をマイナー投手と交換にフィリーズへ放出、前田のために先発枠を空けた。米メディアでは、2000万ドル(約24億6000万円)の入札金の上限額に加え、ダ軍は5年総額6000万ドル(約73億8000万円)を用意していると報じている。
また、チェン(元中日)のFAでの移籍が確実視されているオリオールズは、先発陣の強化が今オフの最大課題で、デュケット編成本部長は「先発投手は少なくとも1人は取りたい。マエダは獲得候補のリストに入っている。何度も見たことがあるが、制球力のあるいい投手だ」と絶賛。各チームとも獲得候補リストの上位に入っているため、かなりのハイレベルな争奪戦が展開しそうだ。
ただし今オフは、ザック・グリンキー、デビッド・プライス、ジョニー・クエト、ジョーダン・ジマーマン、岩隈久志らエース級がFA市場に出揃っているため、長期戦となる可能性が高いが、いずれにしても前田から目が離せない。