株式戦略マル秘レポート/西村剛の「統計で勝つトレード」

12月の株式市場の傾向は?

12月相場は、株価動向に影響を与える重要なイベントが数多く控えている月です。米国ヘッジファンドの買戻しや、個人投資家の節税対策売りが出やすく、売り買いが交錯することで、値動きが荒くなる傾向があります。今回は、12月の株式市場にどのような傾向があるのか調べてみました。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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12月の株式市場の傾向は?

12月は、米国の投資信託やヘッジファンドの決算が11月に終わり、手仕舞った株の買い戻しが入るといわれています。一方で、個人の節税対策の売りが出やすいことから、売り圧力が強まる月でもあります。その後、個人の節税対策の売りが一巡し、売り圧力が弱まると買いが入りやすく、株価は年末に向けて大きく上昇に転じると言われています。こういった12月相場の流れは、相場のアノマリー「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」として投資家に広く知られています。今回は、12月の株式市場の動向について、実際に上昇するか過去の株価データから統計的に検証してみました。

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検証対象:全銘柄
検証期間:1990/03/01~2015/10/28
1銘柄当たりの投資金額:20万円

買い条件
・11月末の最終営業日の寄り付きで買い

売り条件
・25営業日経過後の翌営業日寄り付きで売り
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11月末に全銘柄を購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に、勝率が50%以上で、損益がプラスならば、12月は株価が上がりやすい月となります。反対に、損益がマイナスであるならば、12月は下がりやすい月といえます。

以上のルールで、過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。

■12月株式市場の検証結果
システムトレードの達人

システムトレードの達人

勝率: 50.67 %
勝ち数: 36,491 回
負け数: 35,529 回
引き分け数: 1,962 回

平均損益(円): 244 円  平均損益(率): 0.12 %
平均利益(円): 17,086 円  平均利益(率): 8.54 %
平均損失(円): -17,040 円  平均損失(率): -8.52 %

合計損益(円): 18,078,137 円  合計損益(率): 9,039.30 %
合計利益(円): 623,478,437 円  合計利益(率): 311,747.82 %
合計損失(円): -605,400,300 円  合計損失(率): -302,708.52 %

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 1.030
平均保持日数: 27.96 日

以上が、株式市場の傾向(12月)の検証結果です。検証結果を見てみると、勝率は50.67%、平均損益は0.12%です。勝率は5割を上回り、1トレードあたりの平均損益も0.12%とプラスになっていることから、12月は、株価が上昇しやすい傾向の月と言えそうです。過去のデータによると、7月から11月までは例年株価が下落しやすい傾向があります。12月は、7月以降の下落トレンドから一転して、上昇トレンドを形成しやすい月と言えるでしょう。

一般的に、12月相場のアノマリー「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」は、個人投資家の節税対策の売りが落ち着いた12月20日頃から始まると言われています。そこで、12月20日に全銘柄を保有して、年末に売却した場合について簡単な検証を行ってみると、勝率は56.11%、平均損益は1.13%と大きく上昇する傾向が確認できます。よって、12月の投資戦略を考える上では、「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」を利用した投資戦略を組むことで、利益になりやすいトレードを行うことができるでしょう。

また、年末年始の大納会や大発会の時期には、ご祝儀の意味を込めた買いが入りやすいことから、「ご祝儀相場」と呼ばれ、株価上昇しやすいと言われています。「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」と合わせて、年末年始の株価上昇する傾向を利用することで、トレードチャンスの幅も大きく広がるでしょう。

次に、上がりやすい傾向のある12月相場の中でも好調な銘柄を確認してみましょう。

12月好調銘柄ランキング

システムトレードの達人

システムトレードの達人

上の表は、先ほどの検証によって出された高勝率銘柄のランキングです。12月相場は「センチュリー21・ジャパン<8898>」「福山コンサルタント<9608>」「きょくとう<2300>」「プラマテルズ<2714>」「クエスト<2332>」「エイジア<2352>」などの銘柄と相性がいいようです。

これらの銘柄には業種の関連性はありませんが、上場している市場が新興市場である点が共通しています。ジャスダックやマザーズといった新興市場は、個人投資家の動向が表れやすい市場です。そのため、個人投資家による節税対策の売りが一巡した後は、個人投資家に人気の銘柄には再度、買いが入る可能性が高いといえるでしょう。

また、12月はボーナス月でもあることから、個人投資家の投資資金が増えることが予想されます。個人投資家の資金量が増えることも、上記のような新興市場銘柄の成績が好調である要因の一つと言えるでしょう。12月は、ジャスダックやマザーズなどの新興市場の銘柄に注目してみてはいかがでしょうか。

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(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします。)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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