ジュニアグランプリファイナル進出者が決定
ジュニアグランプリシリーズでは、全7大会が終了して、ファイナル出場者が決まりました。ジュニアグランプリの女子シングルでは、1つの試合に出場する選手数が30人超になることもあり、小さなミスをするだけで、順位ががくんと低くなってしまうことも少なくありません。そんな中からファイナルに進出できるのは、各カテゴリーともに6名(組)だけなので、ジュニアグランプリファイナルに進出するのは、それぞれに出場した2大会の両方で、ある程度安定した演技ができた選手たち。進出するだけで、とても素晴らしいことなのです。
第7戦だったクロアチア大会の女子シングルは、本田真凜選手は3位以上なら、樋口新葉選手も優勝ならファイナルに進出できるという状況にありました。ショートプログラム終了時では、樋口選手が1位、本田選手が3位でしたが、フリーで本田選手が素晴らしい演技を見せて逆転優勝。樋口選手は惜しくも2位に。表彰台では、2位の樋口選手がファイナルに行けなかったことに涙を抑えられず、本田選手がその涙をぬぐってあげる、というシーンもありました。
また、ジュニアグランプリシリーズのポイント数の7位(あと1人でファイナルに進めたという位置)には、坂本花織選手もいます。
ジュニアの日本選手たちは、夏の終わりから10月上旬まで、世界で結果を残してきました。
そして、男子シングルでは山本草太選手が、女子シングルでは、白岩優奈選手、本田真凜選手、三原舞依選手の計4名がジュニアグランプリファイナルに進出することになりました。ジュニアグランプリファイナルは、シニアのグランプリファイナルと同じく、12月10日からスペイン・バルセロナで開催されます。
世界各地、日本各地で、試合、試合、試合
10月になると、毎週末世界でも日本でも大小さまざまな試合が開催されており、結果をチェックするのに大いそがしになってきました。そんな試合のひとつが、羽生結弦選手の出場した、スケートカナダ・オータム・クラシック。カナダのバリーという街で開催されたこの大会ですが、試合の様子をストリーミング配信したところ、男子シングルのときには2万人超の人々がこれを利用。私もストリーミングで観戦しましたが、何の問題もなくきれいな映像で、試合を楽しむことができました。
余談ですが、世界中で2万人もの人たちが同時に試合を見ているという注目度の高さとともに、インターネット環境やスケート視聴環境が、この10年で劇的に進化したことに驚きました。
現在はJ SPORTSなどで生中継されている世界選手権ですが、ライブ放送がスタートしたのは2004年の女子シングルフリーから。それ以前は、会場で選手のジャンプ構成や演技内容を瞬時にアップできるようなインターネット環境が整っていなかったこともあり、ISU(国際スケート連盟)の公式結果ページを開いて、パソコンの前で、結果が更新されるのをただ待つだけ。自動更新が待ちきれずに、「更新」ボタンを連打したりしながら、結果が1つアップされるたびに、「技術点に5.6が多いってことは、ジャンプで1つ失敗したかな」といった想像をする、観戦とは言えないような観戦の日々からすると、隔世の感を禁じ得ませんでした。
国内では、9月下旬から10月上旬にかけて、全日本選手権の前の前の段階の大会、各地域の「ブロック大会」と呼ばれる地方大会が各地で行われ、さらに、シーズン最初の「全日本選手権」である、全日本ノービス選手権も開催されました。
シニア、ジュニアの下の、ノービスと呼ばれる9~12歳までの選手たちが出場できる全日本選手権です。小さな身体なのに3回転をいくつも跳んだり、観客を引き込む演技をしたり……ノービスといっても、それぞれに個性があって、とてもおもしろいものです。
グランプリシリーズが開幕
そして10月下旬、スケートアメリカスタートし、今週末には、第2戦のスケートカナダが、レスブリッジで開催され、羽生結弦選手やエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)らが出場します。11月下旬のNHK杯まで、毎週末、世界各地にある開催地と日本の時差とを何度も確認する時期になります。
アリョーナ・サフチェンコが競技に復帰できることに
上記3つとは少し趣が違いますが、こちらも10月の大きなニュースです。ソチ五輪で3位だったペアのアリョーナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコヴィー(ドイツ)は、2014年4月にペアを解消したのち、ゾルコヴィーはコーチになり、サフチェンコはフランス人のブリュノ・マッソと新しいペアを組みました。そのサフチェンコ&マッソについてのニュースです。
フランスのスケート連盟は、自国選手であるマッソがフランスの代表ではなくドイツ代表として滑ることを長く認めなかったため、ペア結成から1年8か月ほどの間、2人は試合に出場できないまま練習を続けてきました。それが、この10月26日、フランススケート連盟がマッソを手放すことを決めた(裏には、条件などあったようだが)ため、今シーズンから試合に出場できることになりました。
ペアやアイスダンスは、1人ではできないものです。そのうえ、ただスケートのできる男女が組めばいいというわけではなく、相性が合うかどうか、スケート技術やモチベーションが同じレベルであるか、ということがとても重要です。
そのため、違う国の選手同士でペアやカップルになることも少なくありません。日本でも、ペアの高橋成美&アレクサンドル・ザボエフや、アイスダンスの平井絵巳&マリオン・デ・ラ・アソンションなど、別の国の選手と組んでいる例もあります。
厳しい条件の中で、お互いに「この人をパートナーとして、競技をやっていこう」と決めた2人が、少しでも長く演技できるようにサポートする体制が整うことを切に願います。世界トップレベルで活躍できる期間がそんなに長くないスポーツなので、特にそう感じています。