ビジネスリムジンとしての機能にこだわった

メルセデス・マイバッハS600

ステレオカメラとミリ波レーダーセンサーなどで構成されるセンサー類を装備。そのデータから状況を判断し、アクセル/ブレーキ/ステアリングを自動でアシストしてくれる


マイバッハS600を実際に借り出してみた。Sクラスだと思って近寄ると、さすがに、でかい。マイバッハほどの威圧感はないにせよ、大きさは実感できる。太いクロームのウィンドウ枠が特徴だ。

Sクラスロングのまとまったスタイリングは、マイバッハになってやはり破綻してしまったと思う。もっとも、リムジンの格好よさというものは、そもそもその破綻のさせ方にこそあると思うので、どうせならプルマンぐらいはちゃめちゃにロング&トールに見えた方が格好いい。

メルセデス・マイバッハS600

6L V12ツインターボは530ps/830Nmを発生、7ATと組み合わせる。4.7L V8ツインターボは455ps/700Nmとされ、こちらは9ATに


カタチが破綻しているとはいうものの、走りの方はというと、まるで破綻していないというのが、メルセデスらしい。Sクラスの、ドライバーズカーとしての優秀さを保ったまま。長いクルマを運転していることさら意識させない仕立てなどは素晴らしい。長いな、と感じるのは、交差点を直角に曲がるときと、高速のレーンチェンジするときくらいのもの。完成度は、非常に高いと思う。どこぞの改造屋が仕立てた単なるロングホイールベースとはワケが違う。

さすがに、すばらしい後席が備わっていた。Sクラスと同じデザインだが、ゆったり休むには最高のスペースだ。

メルセデス・マイバッハS600

カメラで捉えた路面状況に応じて足回りを制御することで乗り心地を高めるマジックボディコントロールを搭載


けれども、あえて苦言を呈せば、乗り心地が、Sクラスのロングボディに比べてやや悪化しているように思われた。特にフロアからの微振動がいただけない。両足をオットマンにのせてしまえばそれでいいのかも知れないが、そういつもいつもクルマのなかで寝そべってばかりいるわけにはいかないし、正直、リムジンの後席で寝そべっている姿は、さほど格好のいいものじゃない。

正直に言って、インテリアの仕立てが“長い”ということ以外にさほど変わらない新型マイバッハに、Sクラスロング+200mmで+1000万円はいかがなものか?と、思ってしまった。どうせなら、メルセデス・マイバッハを全てプラグインハイブリッドモデルにでもしてくれていれば、新時代のリムジンとしてもっと称賛できたのに……。買える立場にない人間の意見だから、説得力はあまりないかもしれないが。

メルセデス・マイバッハS600

専用デザインの20インチアルミホイールを装着。Cピラーには三角形の中に2つのMをあしらった(Maybach Manufaktur)エンブレムが備わる


以前のマイバッハシリーズもSクラスがベースではあったけれども、内外装の見せ方にメルセデスとは本来無縁というべき“荘厳な貴族性”を付加しようとして、結局、成功には至らなかった。今回のマイバッハでは、スリーポインテッドスターの旗頭、メルセデスの名のもとに、ビジネスリムジンとしての機能にこだわった。なるほどその方が、真にメルセデスらしい手法であるというべきだろう。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。