東京メトロ表参道駅から徒歩4、5分。パレスミユキという、ちょっと秘密めいた個性的な店の集まるビルの3階にあります。階段を上るのにやや勇気がいるかもしれませんが、入り口はガラス扉から中の様子が見え、明るい雰囲気で入りやすいです。

ビルの1階に看板があります。こちらを目印に。

ビルの1階に看板があります。こちらを目印に。

シンプルな入り口。

シンプルな入り口。


築地さんは、かつて東京・五本木に「biotope(ビオトープ)」という北欧ヴィンテージをメインとした雑貨の店を開いていました。北欧雑貨というと、ムーミン、IKEA、マリメッコなどのカラフルで明るく可愛いイメージがどうしても先行してしまいますが、築地さんの選ぶものはいつも独特で他にはなく、素朴で懐かしい感じがありつつも、モダンでシャープな印象を併せ持ったものが多くて、当時あまりまだ知られていなかったヴィンテージ食器なども紹介していました。

お店にはたくさんの食器や道具があちこちにごちゃっと積まれていて、掘り出し物を探すようなワクワクした雰囲気でした。また、築地さんが各商品についての時代背景や作り手のプロフィール等をかなり深く調べていて、質問すると店の奥から古い書籍を引っ張りだして丁寧に説明してくれたことも印象に残っています。

店内の様子。内装はiimaの小林夫妻。

店内の様子。内装は設計事務所ima(イマ)の 小林恭さん、マナさん。


そんな築地さんがbiotopeの原点に戻りつつ、現在も模索しながら始めたのが、この新しい店です。店名である「t-b-d」とは、「to be determined(後日決定)」という意味。実はこの店、まだセレクトのコンセプトをはっきりと言葉にはしていないのです。あれこれ試しながら方向を決めていく、いわゆるラボ的な店でもある。築地さんが頭の中で考えている今の過程を、この店で一緒に体感していくような。だからセレクトのコンセプトが固まったら、店の名前は変更するかもしれないとのこと!

オープンするにあたって、フィンランドとスウェーデンへ買い付けに行ったそうですが、行く前はまっさらな状態で何も決めず、フラットな目で現地を訪ねることによって、今興味が湧くもの、面白いと思うものはなんだろう?の答えを自然に導きだすことを試みたそうです。

「今、北欧雑貨は当たり前のように日本の日常に浸透していて、これだけ広がりを持っているからこそ、北欧の違った側面、まだ知られていない物事を掘り起こしたい。そもそも自分の役割はメジャーではないから、もっとインディペンデントなことがしたいと思っています」

独特の深いブルーとゴツゴツした質感が特徴的。Annikki Hovisaari等の作品。

独特の深いブルーとゴツゴツした質感が特徴的。Annikki Hovisaari等の作品。


今回の買い付けで築地さんが集めてきたものの多くは、プロダクトとは言い切れない、手仕事の趣が感じられるヴィンテージ品でした。人の手跡が残り、各作り手の個性が表現されている上に、その時代の普通の人々の暮らしが垣間みられるようなアイテムです。11月3日まで行われる企画展では、50~70年代のARABIA(アラビア)とHöganäs (ホガナス)のアートセラミックを中心に紹介しています。Raija Tuumi(ライヤ・トゥーミ)、Francesca (Mascitti-) Lindh(フランチェスカ・マスティッティ=リンド)、Annikki Hovisaari(アンニッキ・ボヴィサーリ)等、アラビア社に在籍していながらいわゆる量産のプロダクトはあまり作らず、アート作品を多く手掛けた作家達です。これらはアート性が高いながらも工芸的な要素があり、ゴージャスで高価な手の届かない芸術品とは違った、日常の暮らしに寄り添うアート、といった風情のものが多いのも特徴的です。

「作家の背景について自分でも色々調べて、また直接会いに行って質問して、彼らが何を目的に、どう使おうとしてこれらを作ったのか?を紐解いていく作業は本当に興味深いことです。例えばダークで落ち着いた雰囲気の色合いを持つアラビアのデザイナーが重用したコバルトブルーの釉薬は、フィンランドの人達が元来持つ、陰翳礼讃的な感覚がでている深い青だと思う。夏を過ごす山小屋の中に差す光だったり、暗い部屋にキャンドルを灯して、そこに飾ったからこそ引き立つ深い青なんじゃないかな、とか。パキっと明るい色使いだけじゃない、まだそれほど知られていない北欧の暮らし方や民族性などの背景部分を、これらの作品から伝えられたらいいなと思っています」

ひとつひとつの文化的背景などを聞いてみるのもこの店の楽しみ方。

ひとつひとつのアイテムについて文化的背景などを聞いてみるのもこの店の楽しみ方。


さらに築地さんが注目しているのは日本の工芸品。といっても築地さんの視点はきっと他の人とは違うから、普通にイメージする工芸品ではないかもしれません。和洋取り混ざった現代の日本の生活文化に合う、今だから作られる工芸とは?また北欧のものと日本のものには共通点も多く感じられ、その両方に響く心地よさのようなものを模索しているそうです。漆、真鍮、木工など、扱いたい候補は上がっています。

棚にずらりと並ぶ北欧ヴィンテージも捻りの効いたセレクト。

棚にずらりと並ぶ北欧ヴィンテージも捻りの効いたセレクト。


毎月テーマを決めたイベントも開催していきます。アート、工芸、民族、地域性などのキーワードが、築地さんのやりたい方向の輪郭をかたち作ってはいるものの、未知の部分も多々あり、今後何か出てくるか分からない驚きと楽しみが感じられます。まだはっきりとはまとまってないんですよね、と言いつつ、既に考えている企みはあるようで、築地さん自身が、意欲的に夢中になっている様子。ちょっと視点をずらした新しい感覚で紹介される北欧や日本のアイテムから浮かび上がるその土地や時代の生活文化、今後の展開にも期待が持てそうです。

陶芸家でありながら幅広い活動を行う人気の作家、鹿児島睦さんのポップアップストアもあり。

陶芸家でありながら幅広い活動を行う人気の作家、鹿児島睦さんのポップアップストアもあり。


t-b-d
東京都港区南青山5-3-8 パレスミユキ301
tel 03-6712-5492
open 12:00 – 19:00 水休
http://t-b-d.net


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