セット初期は、水が落ち着いていないことから、最も魚の死亡率が高い時期です。ここでは、その時期を乗り越えるために知っておく必要がある知識、簡単に日常の管理について解説していきます。
購入直後の魚は、まだ、その環境に馴染んでいないために、通常脅え気味です。種類にも拠りますが、物陰に隠れたり、底に沈んだままじっとしていたりと、本来の活発な様子は余り見せてくれません。暫くは、餌を与えても食べないことが多いので、導入後2日目以降から少しずつ様子をみながら餌を与えます。また、水槽セット後から1~2ヶ月ぐらいは、残り餌や排泄物を分解するバクテリアが十分に定着していないため、不必要な給餌は水の悪化を早めてしまうので注意が必要です。
初めて魚を飼ったウレシサから、ついつい1日に何度も餌を与えがちですが、基本的に日に1度、食べ残しが無い程度の量を与えます。その際、魚の腹部を観察し、気持ちふっくらする位が適量です。餌が少なくて死んでしまうことよりも、餌の与えすぎによる水質の悪化や肥満が死亡の原因になることが少なくありません。
給餌以外の日常の管理として、各器具(フィルター、ヒーター)が作動していることの確認。特にヒーターの故障による水温の低下は、熱帯魚にとって致命傷になるため、毎日餌を与える時に水温計で確認しましょう。予備として、ヒーターとサーモスタットを買い備えておくといざと言う時に慌てなくて済みます。
さて、日常の管理の中で最も重要なのが、定期的な水換え。フィルターがついているので、水換えを行わなくても良いように思えますが、あくまでフィルターは水の悪化を遅延させるための機能しかありません。通常7~10日間隔で、水量の1/4~1/3を底床クリーナーを利用して、底床にたまった汚れを吸い出しながら交換します。
水槽内には、日々魚の排泄物や残餌によって汚れが溜まっていきます。ろか器の働きにより、それらは生物にとって比較的無害な物質へと分解されるのですが、それも過剰に蓄積すれば生物にとって有害になります。水換えには、それらを取り除き新鮮な水を補給する役割があります。
交換する量は、飼育している魚の匹数、与える餌によっても変わるので、1/4~1/3換水しても水が白濁したり、藻類の発生が顕著であれば、換水周期を早めるか、換水量を1/2を上限に調整します。上記の量は、あくまでも目安なので、アンモニアや亜硝酸など水の汚れの指標となる値を測定したり、pHの変化を測定するなどして、その水槽にあった換水量を把握するように努めてください。
ただし、標準的な飼育匹数で、適切な給餌を行っていれば、概ね上記の換水ペースで問題はありません。
日常の管理(餌の種類と与え方、フィルターの掃除、etc)については、続編の「熱帯魚の飼い方――実践編」にて詳しく解説する予定です!
Tips! 餌は、頻繁に与えない。1日1回、食べ残しの出ない程度の量で十分。 ろ過器が付いていても、定期的な換水は絶対必要。 |