実収入で高い伸び率。妻の収入も大きく家計に貢献
30代の家計調査の記事と同様に、総務省の家計調査(二人世帯のうち、勤労者世帯)、7月の速報値で見ていきます。まず最初に目につくのが、収入の大幅なアップです。全体平均が前年同月比で5.7%であるのに対して、40代前半で11.4%、40代後半で15.1%もの増加です。今回のアベノミクスの恩恵を受けたのは、部課長クラスの多い40代ということかもしれません。
また、40代後半では配偶者の収入の伸びが顕著で、平均で9万円を超えています。この金額は、いわゆる103万円の壁を超えた金額(月額8万5000円で103万円)になっており、子どもが中学校に入ったあたりで、本格的な復職やパート時間の大幅増なども要因になっているでしょう。配偶者控除などを気にした働き方から、現実的な収入アップを図る家庭が増えているのかもしれません。
一方、消費支出をみると、全体では約31万4000円で前年同期比1.0%の増加なのに対して、40代前半では12.5%もの増加とう結果に。収入が増えた分、消費に回した額も増えたということが言えます。これは、最後に貯蓄額、貯蓄率を紹介しますが、40代前半のお金の使い方には、要注意マークが付きます。かたや、同じ40代でも40代後半の世代は、収入が大幅に伸びたにも関わらず、消費は前年同月比でマイナス。その分、確実に貯蓄を増やすという結果になっています。賃金は増加したけれど、消費が活発化しない、というニュースを目にしたりしますが、財布のひもをぎゅっと締めたのは、この年代かもしれません。
費目別にみると、30代の調査でも家具。家事用品といった少々値のはる項目での支出が多くなっています。この年代で特徴的なのは、教養娯楽費。節約しようとするときに、最初に我慢するのは、趣味や娯楽。久しぶりに、映画を楽しんだり、家族で旅行、ゴルフをするなど、ずっと我慢をしていたことにお金をかけたという印象です。
平均貯蓄率は全体平均より高いが……
そして、問題の貯蓄動向ですが、収入が増えた分、税金や社会保険料が増えてはいますが、それらを差し引いた可処分所得でも、前年同月比で大幅な増加となっています。その分、本来の黒字になる額も増えているわけですが、実際の貯蓄純増は、40代前半ではマイナスの伸びという結果に。したがって、平均貯蓄率も▲11.9%の26.0%にとどまっています。それでも全体平均よりは高いのですが、収入が増えた分が直接貯蓄に結びつかないのは、住宅ローン返済に回った金額がほかの年代よりも、やや高い傾向にあるからかもしれません。実際に、持ち家比率は40代前半は前年同月比で11.4%(全体3.2%、40代後半3.2%)という数値からも見て取れます。40代後半の堅実さは、ここでも表れており、可処分所得の伸び率以上に貯蓄純増額が大幅にUP。平均貯蓄率も30%を超えています。定年退職まで、あと何年。これまで漠然としていたものが具体的なものとして感じ始める年代でもあります。収入が上がっても気を抜かず、節約するところは節約し、貯蓄に回す。そんな40代後半の家計ということでしょうか。
40代は、前半と後半でお金のかかり方がまったく変わってきます。40代前半は住宅を購入したばかりで、ローンの返済にあてる金額も多いでしょう。子どもも小学生で、なかなか手離れしないから、本格的な復職もできない。節約も限界。40代後半も状況は似ているかもしれませんが、住宅ローンの返済に目途が立ち始めたり、金利の低いローンに借り換えて、以前よりラクになったり、子どもも中学、高校となれば、妻もフルで働くこともできます。
人生には貯められる時期と貯められない時期がありますが、そうした状況を二分したのが、今回の結果とも言えます。それでも、家計に無駄な出費がないかは、今一度確認してほしいものです。特に40代前半は住居費を除く、すべての費目で前年比UPしています。自分の家計と見比べてみてください。
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