防災/防災関連情報

東日本豪雨、被災地に空き巣が多数発生。その対策は?

東日本豪雨の発生により茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊しました。被災地では1万戸を超える家屋が浸水被害に遭い、避難者数は一時6000人近くに及びました。そんな甚大な被害が発生した被災地で、あろうことか空き巣被害が頻発しているといいます。そこで災害時に発生する犯罪被害についてその実態と対策を考えてみましょう。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

 
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被災家屋に浸入被害が多発する事態に。


避難した家屋に空き巣が侵入


あるメディアと共に鬼怒川の決壊現場に向かいました。大型のビデオカメラと共に移動しているので、明らかに報道であると分かる人達とは別に、多くの野次馬と思われる方々が決壊現場に見に来ていました。複数で来て、お互いの記念写真を撮るなど、被災住民が片づけなどをしている中、無神経な行動が目に付きました。遠巻きに見ているだけならまだ無害なのですが、どうやら多くの被災家屋に不特定多数の人間が入っていったと聞いています。

被災数日後、非常に残念な報道がありました。常総市の被災家屋では空き巣被害が横行し、警察には十数件の被害報告がなされているとのことです。家屋が甚大な被害を受けた被災者に追い打ちを書けるような行為は決して許されることではなく、なかなかインフラが回復せずに、自宅家屋に戻れずにいるご家庭にとっては、さらに不安な日々を過ごさなければならない事態になっています。

意外に知られていないのですが、大規模水害の発生時には、地域への泥水の流入によって、上下水道が長期に渡って回復できません。これによって地域住民はなかなか避難所から自宅へと戻ることが出来ず、こういう場合に自宅への侵入被害が発生してしまいます。あまり報道されてはいませんが、東日本大震災では広範囲にこういった侵入被害が発生し、個人宅、企業、商店の被害は大変な規模に及んでいます。


被災時、侵入被害を防ぐには


東日本大震災の時には、東北の被災地全体に侵入、空き巣被害が多発していました。やはり広範囲に無人の家屋や建物が広がっていて、警察や住民の目が届かなかったのが被害を大きくしたと考えられます。その時、問題になっていたのは玄関に張り出す「安否確認」の張り紙。ここで「~の避難所にいます」などの情報を出してしまうと「不在」であることを示してしまうことになります。必要なケースもありますが、侵入被害を呼び込む原因になりかねません。

空き巣はたとえドアに鍵がかかっていても、窓ガラスを割って、クレセント錠を回して簡単に室内に入ってしまいます。鍵付きの雨戸を閉める、窓ガラスに防犯フィルムを貼る、窓枠にも二個目の鍵をつけるなどして「入りにくく」すれば被害リスクを軽減できます。停電時には難しいのですが、外出時にリビングや台所の電気を点けて外出する。短時間であれば、夜は電池式のランプを点けて置く、ラジオを点けっぱなしにして外出するなどの方法も有効です。

空き巣犯は必ず下見をして、入りやすそうな家屋に目星をつけます。ですから日中に普段見かけない人がいたり、県外ナンバーの車が止まっていたりしたら一言でも声をかけておきましょう。そうすることで、もしもその人物が下見をしている犯人であったなら、顔を覚えられることを極端に嫌いますので、未然に犯罪行為を防ぐことになると考えましょう。

地震被害や洪水被害などで地域全体が停電になった場合は、このような侵入被害が起きる可能性がいっそう高まります。災害発生時には地元の警察だけでは地域の安全は保てません。日頃から自治会などで災害発生時の保安対策などを話し合っておき、緊急の見回りなど、地域住民が一体となって監視の目を保つことが犯罪被害を防ぐことになります。

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