有形文化財に指定された築80年超の住宅

京都市左京区の白川疎水近くの住宅地に京都市の有形文化財に指定されている「駒井家住宅」があります。落ち着いた住宅街の中にあって、ひときわ木々の緑が豊かで、広い庭のある住宅です。現在は財団法人日本ナショナルトラストによって保存・管理され、一般公開されています。
切り妻屋根の外観は当時アメリカで流行していたスパニッシュ様式を基調としたもの

切り妻で瓦葺き屋根、モルタル仕上げの外観。これは、当時アメリカで流行していたスパニッシュ様式を基調としたもの

駒井家住宅は主棟が約30坪の木造2階建て。1927(昭和2)年建築されたので、もうすでに築80年を超えています。設計したのは米国人建築家として有名なウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏率いるヴォーリズ建築設計事務所です。

この家の主だった駒井卓氏は京都帝国大学(当時)の理学部の教授だった人で、アメリカに留学経験もあったそうです。静江夫人はクリスチャン活動に熱心だった人。ヴォーリズの妻である満喜子夫人と学生時代の友人だったことから、自宅の設計を依頼したようです。

使いやすく開放的なリビング・ダイニング

建物は約272坪の敷地の西寄りに建てられ、東南に広い庭が確保されています。日当たりがよいことに加え、開口部を大きく取った設計も手伝って、開放的で明るい住まいです。
ダイニングとリビングの間にある折れ戸は必要に応じて開閉できるようになっています

ダイニングとリビングの間にあるガラス入りの折れ戸は、必要に応じて開閉できるようになっています

間取りは1階にキッチンとリビング・ダイニング、和室があり、2階に主寝室、個室、書斎など。東南部分は1階も2階もサンルームになっています。

1階の大半を占めるのは、ダイニングからリビング、サンルームが連続した大きな空間です。3つの空間はつながっていますが、必要に応じて区切ることができます。例えば、食事中に来客があった場合は、リビングとの間にあるガラスの入った折れ戸を閉めるという具合です。お客様は、玄関ホールから直接リビングへ入ることができるので、視線を合わすこともありません。サンルームは和室とも引き戸でつながっているので、そちらから行き来することもできます。非常に細やかで、生活のしやすさを考えた設計だと思いました。

また、リビングの南側に隣接したサンルームは明るく、居心地のよさそうな空間。天気のよい日の午後に、ここでお茶やおしゃべりを楽しむのにもってこいのスペースです。

次のページでは、2階や、私が気に入った場所について紹介しましょう。