情報のアンテナを張り巡らす
高金利社債の探し方
2015年9月発行の個人向け国債の利率を見ても、3年固定=0.05%、5年固定=0.05%、10年変動=0.28%に過ぎません。確定利付きの商品はまさに八方塞がり近い状況です。そのような環境下、一筋の光明が個人向け社債と言えるでしょう。一時期新規発行が途絶えつつありましたが、9月の声を聞いた途端、新規発行が急増しているのです。
新規発行の個人向け社債は情報が命。情報のアンテナを張り巡らし、いかに素早く発行情報を手に入れるかが鍵と言っても過言ではありません。個人向け国債と異なり、発行が少ないことから条件のよい個人向け国債は瞬く間に売り切れとなってしまうからです。詳しく見ていくことにしましょう。
引受主幹事証券が買いやすい
2015年9月8日現在で、個人向け国債の新規発行を決めているのは4社、5本です。クレディセゾンは、利率0.538%の7年債を9月4日から9月24日まで募集します。発行額は200億円、引受主幹事は大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。
ふくおかフィナンシャルグループは、利率0.30%の3年債を9月7日から9月18日まで募集します。発行額は100億円、引受主幹事はSMBC日興証券、ふくおか証券です。
イオンモールは、利率0.57%の7年債を9月7日から9月17日まで募集します。発行額は300億円、引受主幹事はみずほ証券、SMBC日興証券です。
三井住友フィナンシャルグループ(劣後特約、実質破綻時免除特約付)は、2本の個人向け社債を発行します。1本は利率0.92%、発行額810億円の10年債。もう1本が償還期間は10年ですが、発行されてから5年後に期限前償還される可能性がある債券です。利率は当初5年が0.59%ですが、以後5年は5年物円スワップミッドレート+0.37%となっています。発行額は990億円です。
2本の債券(劣後債)共に、国際的な自己資本規制に適合するバーゼル3劣後債と呼ばれる商品。三菱UFJフィナンシャルグループが7月に発行した個人向け社債に次いで、わが国で2番目に起債される債券になります。注意したいのは、バーゼル3劣後債は発行体が実質破綻したと認定された際には、投資家も元本削減などの責任を求められるケースがあることです。
各個人向け社債、引受主幹事証券会社を記載しましたが、引受主幹事会社が新規に発行されるかなりの部分の募集に携わることになります。言い換えれば、引受主幹事証券会社は取扱いが最も多いので購入しやすいということになります。引受主幹事会社は大手証券が独占傾向にあるので、条件の良い個人向け社債を手に入れるには、大手証券会社に口座を開設しておくべきでしょう。
また、募集期間中でも売り切れになることがあるのは言うまでもありません。