ホンダが日本グランプリに帰ってくる
2015年、ホンダが英国のチーム「マクラーレン」とタッグを組み、F1に参戦をしました。80年代から90年代に栄華を極めた名コンビ「マクラーレン・ホンダ」の復活ですが、初年度となる今季はかつての栄光の日々とは程遠く、非常に苦戦を強いられています。ただ、ホンダがF1日本グランプリの舞台で走るのは2008年(富士スピードウェイ)以来7年ぶり。鈴鹿への凱旋は2006年以来9年ぶりということになりますので、成績は芳しくなくとも多くのホンダファンは鈴鹿での奇跡を信じているはずです。
苦しむマクラーレン・ホンダ 【写真:PIRELLI】
そんな中、久しぶりにF1の話題に目を向けるようになった人も多いでしょう。今回はかつてF1に興味を示していた世代の方にも今のF1を理解していただけるように、昔との違いを紹介していきたいと思います。
今はエンジンではなく、ハイブリッドのPU
かつて「マクラーレン・ホンダ」が16戦15勝を飾った80年代後半の時代と、現代F1の最も大きな違いは「動力源」のルールです。88年まではターボエンジンが主流、そして89年以降は3500ccの自然吸気エンジンという規定で、内燃機関(エンジン)を動力源にしていました。現在のF1は小排気量ターボエンジン(1600cc/V型6気筒)に加え、モーターの力を使って駆動するERS(エネルギー回生システム)を組み合わせた、いわゆる「ハイブリッドシステム」を使用する規定になっていて、「パワーユニット(PU)」と呼ばれます。
ハイブリッドといえば、日本のメーカーの得意ジャンルだと思うかもしれませんが、実はこれが非常に複雑なのです。ERSとは「運動エネルギー回生システム」と「熱エネルギー回生システム」の2つの組み合わせです。ブレーキの制動などで得られるエネルギーを再利用する「運動エネルギー回生システム」は街中を走るハイブリッドカーと同じ理屈のシステムです。
しかし、ターボエンジンから発生する熱を利用する「熱エネルギー回生システム」は市販車への転用がこれから期待されている技術で、参戦する自動車メーカーはこの技術開発をF1で行っているのです。
なんだか難しい話をいきなりしてしまいましたが、要は「F1は先を行くハイブリッド技術の戦い」だということです。
昨年(2014年)から始まったこの新規定ですが、昨年は「エンジン音が静かすぎて迫力がない」と騒がれました。その理由を次のページでご紹介します。