袋掛けを行わない呉羽梨の最大の特長は甘みとシャキシャキ感
晩夏から秋は梨(ナシ)のおいしい季節です。実は富山県にも幸水で有名な梨の一大産地があるとご存じでしたか? そこで今回は、秋の富山旅行で一緒に味わいたい県産の呉羽(くれは)梨の魅力を、直売所や呉羽梨スイーツの情報などと併せてまとめたいと思います。県の東部と西部を分ける目印として、富山平野の南北に呉羽丘陵が横たわっています。そのなだらかな呉羽山の西側斜面一帯には梨の産地があり、香水(8月下旬から出荷)を中心に豊水(9月中旬から出荷)、新高(10月上旬から出荷)が栽培・出荷されています。
梨の産地というと全国的に千葉や茨城、鳥取が有名で、各地ともに収穫量2~3万tを誇る一大産地となっています。そうした主要産地と比較すると呉羽梨の収穫量規模は1/8程度と少ないのですが、他の産地に劣らず甘くてみずみずしい味が特長だと言われています。
もともと産地である呉羽山は水の便が悪く、稲作に適していませんでした。その土地に合う作物はないかと、呉羽に住む一人の農民が明治30年、試行錯誤の末に日本梨の苗木を植えました。
数年後には品質の極めて優れた果実が収穫できたために、近隣の農家がまねをし始めて、梨の栽培が一気に広まったという歴史があります。
呉羽梨の最大の特徴は“無袋栽培”で、他の主要な産地のように病虫害を防ぐ袋掛けが行われていません。無袋栽培の梨は果実が太陽光や自然の空気を十分に浴びられるために、甘みやシャキシャキ感が強まるというメリットがあります。
その反面、病虫害のリスク対策が余分に必要になってきますが、同地の全農家はエコファーマー認定をされている点からも分かるように、化学肥料や農薬の使用をできるだけ避け、木そのものの健康管理など通して果実を守る取り組みを一貫して続けています。当然ですが、果実を大きくする植物成長剤も使っていません。
そうした独自の努力は、富山県農業振興賞(環境にやさしい農業部門)、全国環境保全型農業推進コンクール優秀賞などの受賞を通して、高く評価されています。
甘みが強くてシャキシャキ感もあり、安全という三拍子そろった呉羽梨は、呉羽の梨農家独自の取り組みによって成り立っています。
○呉羽梨について
越中とやま食の王国 富山県のホームページ
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