相性のいいカップルには凸凹がある
凸凹があるカップルは相性がいい
自己主張の強い人同士がパートナーになったら衝突してばかりになるでしょう。自己主張の強い人には、自己主張の弱い人が、パートナーとしてはバランスがいいのです。感情にまかせて猪突猛進をするような人には、冷静沈着なパートナーがちょうどいいのです。
人生における根本的な価値観については一致していないとパートナーになりようがありませんが、もっと表面的な、「物事に対するアプローチ法や判断基準」については、相性のいいカップルほど正反対だったりするものです。夫婦となる男女も、そうやってお互いの凸凹を補い合っているのです。
いかにも合理的です。しかし、子供ができると、かみ合っていたはずの凸凹が、衝突の原因になることがあります。
例えば父親のほうが厳しさを好み、母親のほうが優しさを好む場合。父親は子供に厳しく接しようとします。厳しい人間になってほしいからです。でも、母親は子供に優しく接しようとします。優しい人間になってほしいからです。そのとき、父親は母親に対し、子供への接し方が甘いと感じます。母親は父親に対し、子供への接し方が厳しすぎると感じます。
父親と母親が二人でパートナーとなっている場合はかみ合っていた凸凹が、子供という対象を通すことでぶつかり合うのです。だから、もともと相性が良かったカップルほど、子供ができると衝突が増えることがあるのです。
夫婦の価値観の違いは子供の個性の幅になる
「子供ができてから、子供に対する接し方で、意見が食い違ってばっかり!」という夫婦は、二人きりのときは息もぴったりのラブラブカップルであったということが多いのです。だからこそ、意見が衝突すること自体に驚いてしまい、「こんなはずじゃなかった……」となってしまいがちなのです。そう考えると、いつも喧嘩ばっかりしている相手でも、ちょっぴりいとおしく思えてきませんかね(笑)。
では、相性がよいからこそ生じる葛藤に、どうやって対処すればいいのでしょう。上の例では、父親は厳しさを、母親は優しさを、子供に教えようとしています。子供には、厳しさも、優しさも必要です。どちらも厳しかったり、どちらも優しかったりしたら、バランスがとれません。両親が、それぞれに違うメッセージを伝えるから、バランスのとれた子供の個性が生まれます。
つまり、夫婦がお互いに、「自分にはないものを、パートナーが子供に伝えてくれている」と思えばいいのです。二人の対応をそろえる必要はないのです。
逆に、夫婦がそろってまったく同じ「物事に対するアプローチ法や判断基準」をもっていたら、子供は夫婦のコピーロボットになってしまいます。良いか悪いかは別として、両親と同じような人生を歩むしかなくなるでしょう。
よく考えてみると、自然界は良くできた仕組みなわけです。ちょうど良く「物事に対するアプローチ法や判断基準」の凸凹がかみ合う男女を引き合わせ、子供を授けます。その子供に、両親がそれぞれ競うように凸凹を伝えようとするから、子供は凸だけにも凹だけにもならず、両親の間を取って新しい個性を形成することができます。
凸凹の幅が広ければ広いほど、子供の選択の幅も広がります。つまり、子供の可能性は広がります。さらにきょうだいがいる場合、きょうだいの中で、個性のバリエーションの幅は広がります。生物学的にいえば、それだけ子孫が生き残る確率は高まるのです。
だから、子育て期間中に、よく夫婦で衝突しちゃうなら、「私たち、相性がいいのね」なんてのろけながら、「でも、負けないわよ!」なんて言い合って、夫婦それぞれの価値観を子供に伝えるように、いい意味で競い合えばいいのです。
【関連記事】
夫婦は安定期と不安定期をくり返して進化する
産んでほしい夫と、産みたくない妻
男はなぜ最後まで話を聞けないのか