セックスに飽きるのは、想像力の欠如?
セックスしない夫婦。彼女の反応はどうなのか?(c)Viva Palestina
彼女の反応をちゃんと見ているのだろうか。
「彼女は本当に気持ちいいって思ってる? すごく感じてる?」
彼女と「しなければならない」ときは、顔を見ずに別の女性を想像していると聞いていたが、それでも思わず、そんなふうに尋ねてしまう。
「さぁ?」と婚約中の彼は首を傾げる。自分ができるかどうかにしか関心がないのだろうか。彼女の反応には興味がなさそうだ。
それほど彼女とのセックスは、彼にとって苦行以外のなにものでもないのだろうか。
「大事なのは、彼女がセックスをどうとらえているか。あなたと同じ考えかどうか、じゃないかなぁ」――私はそう言ってみた。
彼女もセックスが好きではなくて、生殖のためのものだと割り切っているなら、それでもいいが、彼女がふたりの関係において、セックスを重視しているとしたら問題だ。子どもが大きくなったら、彼女が浮気することだって考えられる。
彼は、「それはそれでしょうがないですよね」と。
妻の浮気を容認できるなら、そういう関係もあるのかもと、こちらも納得するしかない。
ただ、彼が本当に10年後、20年後の妻の浮気を容認できるかどうか。それは現実にならないとわからない。彼の心の中には、妙な平等意識があって、もし浮気されても文句は言えないと「理屈」で考えているだけのように見えたから。
彼らが「妻」に求めるのは、母か女中か
ずっと黙っていた、彼の仲間のひとりがぽろりと言った。「結婚ってなんなんだろうって思いますよね。こういう話を聞くと」
想像ではあるが、無意識か意識的かはわからないが、相談者の彼にとっては、家庭を任せるのに最適なのが今の彼女なのだろう。しっかり者で明るくて、子育てもうまくやってくれそうだと踏んでいるに違いない。ただ、男としての自分を奮い立たせたり、一緒に楽しんだりするのは別の女性。
なんだ、若くても根っこは結局、大昔からの「日本の男」の域を出ていないんだ――と、私は心底がっかりした。
昭和最末期から平成元年あたりに生まれた男性たちも、大正から昭和初期の我が父親世代と変わらない。ということは、100年間で、男たちの結婚観はまったく進歩してしないということだ……。
家庭を守り、身の回りの世話をすることだけが「妻」の役目か。(c)Luxt Design
結婚相手を「伴侶」というが、彼が妻を対等な立場として見ている感じはなさそうだった。
彼は、結婚の話が出てすぐに5000万の都内新築一軒家をローンで購入したそうだ。
結婚、新築一戸建て、安定した生活。
20代でそんな家を買える彼の仕事と収入。
これだけ形が整ったら、少々の不満があったとしても、「完璧な人はいないのだから、セックスに重きを置かなくてもいいかもしれない」と女性が考えても不思議はない。セックスすること以上に、私を大事にしてくれると思える要素が詰まっているのだから……。
ただ、それでもやはり気になるのだ。
快楽のセックス、子作りセックス、愛情確認のセックスと、分けて考えている彼のセックス観が。それはそのまま、彼の女性観、ひいては人生観につながるものだから。
一生、夫の「女中 兼 母」でいいの? 女として、ひとりの人間としてきちんと彼と向き合わなくていいの? 彼女に対して、そう問いかけたくてたまらなかった。