線香花火は大きく分けて二つ
線香花火は大きく二つに大別できます。ひとつは、和紙をこよりにして火薬を包んだ「長手」といわれるもの。「長手」は東日本を中心に使われてきました。もうひとつは、わらなどの先に火薬をつけた「すぼ手」。「すぼ手」は西日本で普及したようです。
「長手」は下を向けて花火を楽しむのに対して「すぼ手」を火先をやや上に向けて花火を行います。今回紹介する撮影方法は、どちらの線香花火でも行うことができます。
通常のシングルショットで線香花火を撮ったもの。ここから撮り方にアレンジを加えていく。
多重露光で線香花火を撮ってみる
線香花火は普通に撮ってもきれいな作風に仕上がります。しかし今回は、通常の撮影方法に少しアレンジを加えていきます。画面全体に線香花火を入れて豪華に見える画像に仕上げていきましょう。
打ち上げ花火の撮影でよく用いられている手法が「多重露光」。多重露光とはわかりやすくいえば「重ね撮り」です。通常は一回シャッターを切って画像を記録させるところを、複数回重ねてひとつのフレームに画像記録させる方法を指します。その多重露光を利用して線香花火を撮影していきます。
まず撮影するためのセッティングについて流れを解説します。
使用するデジカメは、バルブモードなど長時間露光ができる機能がある機種を準備します。撮影時間をコントロールするために、レリーズシャッターやリモコンシャッターがあったほうが撮りやすくなります。
三脚にカメラを取り付けます。ピント合わせは、暗いところではオートフォーカスではピントが合わせにくいことがあるので、マニュアルフォーカスで事前に合わせておくのがお勧めです。レンズからのピントの合致点を把握しておきましょう。
多重露光では長時間露光でシャッターを開いたまま、レンズ面をボードなどで覆ったり外したりして、複数回画像を記録させていきます。ボードはレンズ面を覆える平たい板のようなものであればなんでもかまいません。うちわなども応用可能です。ただ、光を通さない厚さ、色のものを選びます。線香花火の明りを完全に遮断できるものを使います。
ここまで準備ができたらいよいよ撮影をしていきましょう。
次のページでは線香花火の多重露光撮影で撮った写真などをご覧ください。