妻からの呼び出し、そして恫喝
――彼とはずっとつきあっていくつもりでした?レイコ:何も考えてなかったけど、40歳になったころには、もう子どももあきらめなくてはいけない、でも彼がいるからいいかと思ってた。彼も、「レイコとは一生つきあっていく」と言ってたし。私、ひとり暮らしなので、彼は週に2回くらい来てましたしね。 ――でも、もうひとつの家庭というわけではなかった?
レイコ:私は彼の身の回りの世話もしないし。彼は来ると料理を作ってくれたりしていましたよ。仕事の話をしたり、映画を観たり。彼にとっては、夫とか父親とかの役割を果たさなくてすむ、もうひとつの素でいられる家庭だったかもしれませんけど。そんなようなことを言ってたこともある。
――彼の妻からは直接連絡があったんですか?
レイコ:半年くらい前かな、ある日突然、携帯に電話がかかってきたんです。知らない番号だったけど出てみたら、「〇〇の妻です。あんた、うちの夫とつきあってるでしょ」って。焦って思わず切っちゃったんですが、すぐまたかかってきて、「逃げるな」って怒鳴られました。
――怖かったでしょう。
レイコ:けっこう強烈な感じの人だったから、すごくびびりましたね。「とにかく会え。会わないなら会社に言う」って高飛車に出られて。会う日だけ決めて、すぐに彼に電話したけどつながらない。あとから聞いたんですが、彼、妻に携帯を取り上げられていたそうで。
――それで、妻に会ったんですか?
レイコ:会いましたよ。約束の直前に、彼が公衆電話から連絡してきたんです。でも、「ごめん」って言うばかりで、具体的にどうしたらいいかは言ってくれなかった。
――妻はどんなタイプの女性でした?
レイコ:いやあもう、怖かった。先方がとってくれたホテルの部屋で会ったんですが、座るなり、「あんた、人の夫を取っておいて、どうやって落とし前つけるつもり?」って。怖かったです。
「何年つきあったの?」と聞かれたから、「1年です」ってウソついたら、「へえ、うちの夫は7年って言ってたけどね」って。彼、全部、正直に話してるんですよ。なんだかんだ言って、奥さんには頭が上がらないんだなって思ったら、今までの7年間、なんだったんだろうと思った。
――結局、お金で話をつけたんですか?
レイコ:ええ。妻からの要求は300万。あわてて知り合いの弁護士に相談したら、裁判になってもそんなにとれないから、もっとねぎれますよって。「ねぎれる」っていう言葉にも笑いましたけどね。
最終的には100万。奥さんとふたりで公証役場に行って証書を作りました。なんだか奥さん、慣れている感じでしたねえ。浮気していた若い女性からもとったみたいですしね。
――彼とはそれっきり?
レイコ:手紙が来ました。あれこれ言い訳が書いてあったけど、なんかもう、途中で読むのもイヤになりました。あの7年はなんだったんだろう……。この半年、そればかり考えています。気づいたら、こんな年になってしまったし、私は7年という歳月を無駄にしてきたんだろうか、と。
――なかなか気持ちを切り替えられないですよね。
レイコ:事業を興したいという夢も、なんだかしぼんでしまった。何も新しいことをやる気が起こらないんです。一時期は眠れない、食べられないで本当につらかった。今も会社の近くの心療内科に通っています。
最近、こういった話をよく聞く。
既婚者同士であろうと女性が独身であろうと、相手の妻から訴えられたり直談判されたりするケースは珍しくない。それだけ、不倫が多いのだろうし、妻たちが我慢しなくなってもいるのだろう。
7年間の不倫からの「嫁バレ」、ここから立ち直っていくのは大変ではあるが、人生はまだまだ続く。どう巻き直すか。人間力が問われるところかもしれない。
■短期集中連載【アラフォーの“傷跡”。ずっと誰かに言いたかった】
次回最終回、「肉親の死…」波瀾万丈な人生をおくる女性の告白です。
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