連載:「アラフォーの“傷跡”。ずっと誰かに言いたかった」第六回
「これまで誰にも言えずに、苦しんできたこと」をテーマに、アラフォー女性が背負っている様々な事情や悩みを聞く連載、第六回。婚約を破棄された女友だちが、要求もしていないのに、相手から慰謝料として100万円を渡されたと言っていたことがある。長く続けた不倫の恋が相手の妻にバレて、慰謝料を請求されたレイコさん(42歳)。男のずるさをわかってつきあっていたつもりだった。だが、実際、自分が矢面に立たされた今は、「ただ虚しさだけが残る」と嘆く。
「私との結婚は、この100万円で肩代わりできるようなものだったのよね」
彼女はため息をつきながらそう言った。そのお金は、海外秘境の旅で使い切ったそうだ。潔い。
人は往々にして、自分の愛情をお金ではかられることに、すっきりしない感覚をもつ。もらう場合も払う場合も。ただ、痛手を何と引き替えにするかといえば、やはり金銭しかないのかもしれない。
7年の不倫を経て、最後には相手の妻に慰謝料を請求されたレイコさん。彼女が失ったと感じているのはお金だけではない。
不倫7年、なぜバレたのか
――どうして今さらバレたんでしょう。レイコ:彼が間抜けなんですよ。実は彼、私以外にも若い女性とちょっと遊んでいたらしくて。それもすごくショックだったんですけど、その浮気がスマホから妻にバレた。そこから妻は徹底的に調べたみたいで、芋づる式に私も浮かんでしまったみたい。妻の言い分によれば、若い女性との浮気は今回が初めてじゃなかったらしいし……。
――彼とはどうやって知り合ったんですか?
レイコ:8年くらい前に異業種交流会で名刺交換したのが最初。その後、別の知人のパーティーで再会して、縁があるなとお互いに思っちゃったんですよね。
――運命の人だ、と。
レイコ:彼はよくそう言ってました。ま、私もそう思ってた。双方の親の出身地が近いとか、誕生日が一緒だとか、いろいろ偶然が重なったし。
――彼はおいくつ?
レイコ:ひとつ年上でした。知り合ったときは彼が35歳で、4歳年上の妻と結婚して10年、子どもがふたりいましたね。
――レイコさんは不倫は初めて?
レイコ:ええ。既婚者とつきあう女なんて「倫理観なさすぎ」「許せない」と糾弾するようなタイプでした。だから、最初はつきあったらいけないと思っていた。でも彼に「食事くらいいいじゃない」と言われて、それもそうかな、と。次はお酒くらいつきあってよと言われ、いつの間にかホテルまでつきあってしまった(笑)。彼と一緒にいると楽しかったし、自分にも未来があるような気にさせてもらえたんですよね。
――未来がある?
レイコ:彼、小さいながら自分で事業をやっていたんです。私もいつか起業できたらと思っているので、いろいろ教えてもらったし励ましてももらった。そういう意味でもつながりが強かったんですよね。彼の楽天的な性格にも影響されましたし。
――当時、レイコさんには恋人はいなかったんですね。
レイコ:別れたばかりだったんです。結婚するつもりで4年つきあっていた恋人が仕事を辞めて、半分引きこもり状態になってしまって。悲観的な考え方の人だったんですよね。だから、既婚の彼の明るさが心地よかった。
――身も心も惹かれました?
レイコ:そう、身も(笑)。これが案外、大きかったですね。セックスが楽しいって初めて知ったし。3度目くらいのセックスで、私、それまで感じたことのないようなぶっ飛んだ快感を知って。彼となら、もっともっと気持ちよくなれると確信しました。自分が盛りのついた獣みたいに思えたこともあったけど、「それでいいじゃん」って彼に言われて……。
>>突然の妻からの電話。そして…